王者 ビタリ・クリチコ VS 挑戦者 ディレック・チゾラ
クリチコ 判定勝利
考察 ~クリチコ~
左手にトラブルがあるというジョー小泉の観察はおそらく正しい。
なぜなら復帰後のビタリの哲学はpunishment first(ダメージ優先)だから。
ボクサーとしてスタイルが噛み合わないというのではなく、
もともとテンション高めで常にラップを口ずさんでいそうなタイプが
人間的に苦手なのだろうか。
(政治家を目指す上では克服すべき課題だと思うが)
それはさておき、左を使えないハンデは予想以上に大きく、
しかし決定的なハンデとはならなかった。
重厚なボクシングを展開することはできないまでも、
ディフェンス面でこれまで見られなかった(見せる必要のなかった)
フットワークを披露し、またショルダーブロックにスウェーバック、
打ち終わりにカウンターの右をショートで放ったりと、
まるでテクニックのショーケースのような試合になった。
とくにスウェーは毎回見せていながら、それらは反射神経だけで行なっていたが、
今回は相手をじっくり観察し、その中で軌道、タイミングを読みきった上で
文字通り鼻先で避けていた。
初めてコンディション不良のなか戦ったわけで、
言葉の本当の意味に置ける経験の勝利。
この王朝の支配は今年中はまだ続くことだろう。
考察 ~チゾラ~
軽量後のFace-Offでなんらかのアクションを取る場合、
おそらくpromotional purposesがある。
つまり、ある程度事前に示し合わせているのがほとんどだと考えられる。
なぜなら、素手によるパンチで相手を負傷させれば傷害罪が成立し、興行も不成立。
莫大なキャンセル料や承認団体からの罰金、コミッションからの制裁もある。
ゆえにバレラ-モラレスのような例外的な=突発的なパフォーマンスはあったにせよ、
この手のパフォーマンスはどこまでもパフォーマンスなのだ。
(日本にも例外的な=確信犯的なパフォーマー一家がいるけれど)
ではチゾラのビタリへのslapping、そしてウラディミールへのwater spitting。
21世紀随一のパフォーマーの名誉をこれだけで得たと思われるが、その効果も大きかった。
ひとつにはナチュラルに威嚇的なオーラを放つビタリ相手に
まったくビビっていないということを本人に印象づけたこと。
これで王者の心理的な優位がいくぶん崩れたようだ。
ふたつに、カムバックからこれまで、相手をじっくりと痛めつけ、
後半にトドメを差すというペース配分に狂いを生じさせたこと。
最も警戒すべきは打ち落としの右ではなく、その前に突き上げられる左ジャブ。
その手数を減らせるのならば罰金もなんのそのだろう。
そして最後にウラディミールへの挑発。
勝っても負けてもクリチコ兄弟に絡めるという、
lucrativeな将来を見据えた行為だろう。
(たどり着くのに時間はかかるだろうが)
のしのしと前進し、頭を振り、左フックをワイルドにぶん回すさまは
かつてサミュエル・ピーターがウラディミール相手に初回だけ実行したプランと同じ。
そのフックは中盤には早くも見切られ、ここから二の矢三の矢があるかと
観る者に期待を抱かせたが、結局はワンパターンに終わってしまった。
L・ルイスの警告ほど一方的にはならなかったものの、
終わってみれば前に出てくるK・ジョンソンとでも言おうか、
テンションだけ高いクレイジーなボクサーという印象だ。
D・ヘイよりは楽しませてくれたが、それでもクリチコ王朝は揺るがない。
クリチコ 判定勝利
考察 ~クリチコ~
左手にトラブルがあるというジョー小泉の観察はおそらく正しい。
なぜなら復帰後のビタリの哲学はpunishment first(ダメージ優先)だから。
ボクサーとしてスタイルが噛み合わないというのではなく、
もともとテンション高めで常にラップを口ずさんでいそうなタイプが
人間的に苦手なのだろうか。
(政治家を目指す上では克服すべき課題だと思うが)
それはさておき、左を使えないハンデは予想以上に大きく、
しかし決定的なハンデとはならなかった。
重厚なボクシングを展開することはできないまでも、
ディフェンス面でこれまで見られなかった(見せる必要のなかった)
フットワークを披露し、またショルダーブロックにスウェーバック、
打ち終わりにカウンターの右をショートで放ったりと、
まるでテクニックのショーケースのような試合になった。
とくにスウェーは毎回見せていながら、それらは反射神経だけで行なっていたが、
今回は相手をじっくり観察し、その中で軌道、タイミングを読みきった上で
文字通り鼻先で避けていた。
初めてコンディション不良のなか戦ったわけで、
言葉の本当の意味に置ける経験の勝利。
この王朝の支配は今年中はまだ続くことだろう。
考察 ~チゾラ~
軽量後のFace-Offでなんらかのアクションを取る場合、
おそらくpromotional purposesがある。
つまり、ある程度事前に示し合わせているのがほとんどだと考えられる。
なぜなら、素手によるパンチで相手を負傷させれば傷害罪が成立し、興行も不成立。
莫大なキャンセル料や承認団体からの罰金、コミッションからの制裁もある。
ゆえにバレラ-モラレスのような例外的な=突発的なパフォーマンスはあったにせよ、
この手のパフォーマンスはどこまでもパフォーマンスなのだ。
(日本にも例外的な=確信犯的なパフォーマー一家がいるけれど)
ではチゾラのビタリへのslapping、そしてウラディミールへのwater spitting。
21世紀随一のパフォーマーの名誉をこれだけで得たと思われるが、その効果も大きかった。
ひとつにはナチュラルに威嚇的なオーラを放つビタリ相手に
まったくビビっていないということを本人に印象づけたこと。
これで王者の心理的な優位がいくぶん崩れたようだ。
ふたつに、カムバックからこれまで、相手をじっくりと痛めつけ、
後半にトドメを差すというペース配分に狂いを生じさせたこと。
最も警戒すべきは打ち落としの右ではなく、その前に突き上げられる左ジャブ。
その手数を減らせるのならば罰金もなんのそのだろう。
そして最後にウラディミールへの挑発。
勝っても負けてもクリチコ兄弟に絡めるという、
lucrativeな将来を見据えた行為だろう。
(たどり着くのに時間はかかるだろうが)
のしのしと前進し、頭を振り、左フックをワイルドにぶん回すさまは
かつてサミュエル・ピーターがウラディミール相手に初回だけ実行したプランと同じ。
そのフックは中盤には早くも見切られ、ここから二の矢三の矢があるかと
観る者に期待を抱かせたが、結局はワンパターンに終わってしまった。
L・ルイスの警告ほど一方的にはならなかったものの、
終わってみれば前に出てくるK・ジョンソンとでも言おうか、
テンションだけ高いクレイジーなボクサーという印象だ。
D・ヘイよりは楽しませてくれたが、それでもクリチコ王朝は揺るがない。