BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

2009年度 京都大学 英作文

2010-02-27 18:19:09 | Private
今年も懲りずにトライしてみる。

(1)子供のころには列車での旅行というのは心躍るものであった。年に一度、
夏休みに祖父母の家に行くときには、何時間も列車に乗ると考えただけでわく
わくした。今では長距離列車を見ても、子供のころのように気分が高まること
はないが、大きな駅のホームに日本各地に向かうさまざまな列車が並んでいる
光景は鮮明に覚えているし、発車の瞬間の独特の高揚感を思い出すこともある。

Traveling by train was something that would get my heart excited when I was a kid.
For the once-a-year visit to my grandparents during the summer holiday seasons,
I was hyped up with just an imagination of being on board a train for hours.
Being at this age, a sight of long-distance trains doesn't give me excitement anymore.
The scene is, however, clearly on my mind, of various kinds of trains bound for
each and every part of Japan which were sitting alongside the platforms of a large station,
and that unique sensation of the moment the train began to move sometimes flashes
across my mind.

(2)私たちは漠然と犬やイルカを賢いと思っているが、動物の賢さを測る客観的
な基準に基づいてそう判断しているわけではない。そういった動物の場合、
人間の命令によく従うほど、頭が良いようにみえるだけではないだろうか。
人間の場合には種々のいわゆる客観テストなるものがあるが、それも結局、
出題者の指示によく従うことが高得点に結びついているのかもしれない。

Our blurred assumption is that dogs and dolphins are smart, but such an argument
is not based off of an objective standard for measuring animal intelligence.
Pertaining to those kinds of animals, let me tell you, it is that the more they follow
orders directed at them by humans, the more intellectual they may look. As far as humans
are concerned, there are many types of so called objective examinations. Those might be,
after all, so composed that more obedience to the instructions from the examiner leads to
higher grade assessment.


簡単に見えて難しい。心躍る、わくわくする、高揚感などをどう表現し、どう表現し分けるのか。
また、「考えただけで」をthinkやthoughtと訳して正解と判断されるのかどうか。
「賢い」も同じ。微妙なニュアンスの差異を読み取ることが期待されているのか、
それとも高校生にはそこまで求めないのだろうか。
「覚えている」や「思い出す」などを以下に上手く処理できるかは
これまでにどれだけ英作文を作ってきたかではなく、
どれだけたくさんのnaturalな英語を読んできたかによる。
remember, remind, recallなどは実は使いどころが難しい。
覚えることと思いだすことの”哲学的”な意味合いの違いは、
文化の違いとも相俟って理解するのは非常に難しい。
作文ならば無視してOK。
だが翻訳となるとどうだろう。
このあたりが京大と、東大、阪大のレベルの違い。
もちろん前者が(圧倒的に)上である、と個人的に感じる。
京大の英作文に求められるような力をつけたい場合、
英和辞書よりも国語の辞書とthesaurus(類義語辞典)の方が役立つかな。

WBO世界Sフライ級王座決定戦

2010-02-24 23:26:03 | Boxing
ホルヘ・アルセ VS アンキー・アンコタ

アルセ 7ラウンド負傷判定勝利

考察 ~アルセ~

30歳なんだね。
消耗著しいスタイル・プロ生活のためか、
連打の馬力はかなり衰えたように見える。
ガードの位置を気にしつつも、打ちに行く際には
ストンと下がる悪癖、というよりも習性も修正できていない。
しかし、打ち合いで相手のパンチをもらうのは、
自身の側にも上手く喰う体勢が整っているのでダメージは抑えられる。
詰めた際には連打が出るので、よほどのカウンターでなければ
打ち終わりの一発で倒れることもない。
ただし、往時の力はもはや望むべくもない。
ドネアにKOされてキャリアを閉じるのだろうな。
願わくば、名城をメキシコに呼んでくれんことを。
(block-headedなJBCは認めないだろうが)


考察 ~アンコタ~

サウスポーへのスイッチはナイスアイデア。
だが、それをするならカウンター戦法ではダメ。
かつてミハレスがアルセと対戦した際に、
常に先手を取り続け、ほぼ完封したことがあったが、
待ちの体勢ではアルセの苦手意識も薄れてしまう。
デッドエンドに詰められての右ショートアッパーは鋭さを感じさせたが、
両足親指でキャンバスを噛めない状態では威力も半減だろう。
K・フロッチ的なジャブのフォームだが、
ヒットポイントをどこに置きたいのか不明瞭で、手数も出ず。
左構えだけで相手が動揺するとでも思ったのかね。
ジャブ、フェイント、カウンター、サイドステップ、
あらゆるリングジェネラルシップに欠けていた。
世界を争うには残念ながら力不足。
まあ、負け役ですな。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ

2010-02-23 22:15:49 | Boxing
王者 ローマン・ゴンサレス VS 挑戦者 イバン・メネセス

ゴンサレス 4ラウンドTKO勝利

考察 ~ゴンサレス~

ディフェンスは確かに改善の余地があるだろうが、
ガードを高く保つスタイルは維持した方がいい。
ボディワークなどと連動してパンチを打つタイプではなく、
自身のパンチ力を威嚇として使いながら距離を詰めるタイプで、
目測を大事にしているように見えるからだ。
ガードを低くすることで打ちやすさを構築する選手もいるが、
ゴンサレスはこれに当てはまらない。
ゆえにディフェンスは改善ではなく完成度を高める方向で伸ばすのが良いと思う。
最近はKOと判定の繰り返しだが、これは相手との相性+自身のコンディションか。
高山戦では仕留め切れなかったが、フルラウンド観ていないので判断できないが、
スタイル的にもスピード型はやや相性が悪いのではないか。
また、早くから3階級制覇を公言しているが、
ミニマムウェイトを作るのもそろそろキツイのだろうか。
早くフライまで上がって久高と対戦してほしい。


考察 ~メネセス~

新井田と同じく2回から顔が腫れたが、
これは新井田と同じ顔面体質というより、
相手のパンチの硬質さによる。
喰えば効く、ガードの上からでも効くとなれば
fight fire with fireとなるしかないが、
打ち終わりを狙っても相手は連打が止まらず、
また自身の打ち終わりに右ストレートと左フックを合わせてくるので
序盤からすでにジリ貧になってしまった。
オーソドックスなジャブだけでなく、
スナップだけのジャブ、強弱・緩急をつけたダブルのジャブ、
引っかけてピボットするためのジャブなどをそろえていないと
この王者のプレスは捌けない。
また、それだけ多彩な左を駆使するにしても
ジュダー並みの超速アッパー抜きにはあのブロックは破れない。
まあ、無難な負け役というところかね。

名もなき8回戦ボクサーに寄せて

2010-02-21 00:35:04 | Boxing
ボクサーは頭部外傷に伴う脳血管障害にしばしば苦しむ。
これはギョーカイのjargonではboxer's head syndromeと称される。
人体頭部の解剖は外側から順に頭皮、頭蓋骨、硬膜、クモ膜、
脳脊髄液、軟膜(かなり薄いので臨床上問題になることは少ない)、
そして脳実質の順番になっている。
クモ膜下出血はご存知の方も多いと思う。
動脈瘤破裂とセットで語られることが多いが、
本来はクモ膜内部での出血は原因によらずクモ膜下出血と診断される。
ボクシングの他にはサッカーのヘディングで小さな出血がしばしば起こり、
ラグビーではラックやスクラムといった乱戦プレーで起こりやすい。
硬膜外血腫は頭蓋骨骨折に続発することがほとんどで、
上記に加え、素人の喧嘩、酔っぱらっての転倒転落、ノーヘルでのバイク事故に多い。
急性硬膜下血腫はボクシングファンには悪い意味で馴染みのある脳血管障害だろう。
これは脳実質へのダメージで発症する。
右のテンプルを殴られて、左の後頭部がダメージを負うというもので、
反衝損傷と呼ばれる。
脳が豆腐のように柔らかいのは常識で、だからこそ頑丈な骨にくまなく覆われ、
髄液にぷかぷかと浮かんでいるわけだ。
そこにパンチを浴びせれば当然、脳は揺れる。
いや、揺れるだけならまだいい。
衝撃で脳が頭蓋骨の”内側”にぶつかる(脳挫傷)こともあるのだ。
さらにクモ膜は脳を栄養する血管に富み、
そこからの出血の圧は頭蓋骨に囲まれて逃げ場のない脳を容赦なく圧迫する。
脳ヘルニアだ。
詳しい説明は省くが、人間が植物状態になる原因のトップはこれなのである。

ボクシングにおけるこのようなダメージは
他のスポーツや日常生活で起こりうる事故とは根本的に異なる。
以前にも綴ったが、ボクシングは相手を倒すことを目的としており、
各地で年がら年中ボクシングをしていれば、リング禍も当然起こり得る。
もう一つ、ボクシングが他のスポーツと決定的に異なる点は「減量」である。
ダイエットと減量は体重減を目指すという意味以外に共通点がない。
減量それ自体は充分に科学的・医学的なevidenceに基づけば問題点は少ない。
だが、その数少ない問題点がボクシングという競技に密接にかかわるのだ。
人体の約60%は水分である。
そのうちの2/3が細胞内に、1/3が細胞外、つまり血管にある。
体重を落とすにはまず水分を抜くことが最も近道であるが、
これはイコール血液(とくに血漿)の量を減らすことである。
これはいわゆる血液がドロドロの状態であり、
相対的に血液凝固能が亢進している状態であると言える。
血栓の形成や梗塞を利する状態というわけだ。
そんな状態で頭部にパンチを食えばどうなるか。
自律神経反射により血管(とくに静脈)が収縮し、
ただでさえ文字通りの意味で血のめぐりが悪くなっている脳が、
さらに虚血状態に陥る。
ガッツ石松が「パンチなんて痛くない。そのかわりに頭がズーンと重くなって、
眼の前で火花が散る」とかつて語ったが、これなどは典型的な脳虚血状態だ。
試合中ではなく試合後のリング、または控え室で容態が急変するケースが多いのも
自律神経と内分泌の働きによる。
張りつめた気持ちが途切れると交感神経が働きを弱め、カテコラミンの分泌もおさまる。
つまり、血管が拡張する。
破れやすく詰まりやすくなった頭部の血管で何が起こるかは想像に難くないだろう。
『混ぜるな危険』というラベルでも貼りたくなるほど減量とボクシングの相性は悪いが、
両者は切っても切り離せない関係にあるのが実情である。

後楽園で一人のボクサーが倒れたという。
急性硬膜下血腫だという。
内・外減圧術は頭部に相当の侵襲を与えるので、
リング復帰はおそらく絶望的だろう。
これは選手自身の意識の問題であること以上に、
選手を育てる側の問題である。
さらに最大の責任は我々ファンにあると考える。
熱闘、激闘を見せろ、だが無事でいろ、などと言うのは虫がよすぎる。
ではファンをやめれば一件落着か?
ありえない。
ボクシングをさらに理解し、ボクシングへの愛着を捨てないことが
ファンにできる数少ない支援の一つであると思う。
八巻裕一選手の回復を心から祈り、願う。

WBO世界フェザー級タイトルマッチ

2010-02-20 14:43:08 | Boxing
王者 スティーブン・ルエバノ VS 挑戦者 ファン・マヌエル・ロペス

ロペス 7ラウンドTKO勝利

考察 ~ロペス~

脇を締めたパンチと大振りが混在している。
スコーンと抜けてドスンとヒットするパンチでなく、
シュッと放たれ、ビューンと空振りする様は
センスの良さと荒削りさの両方を感じさせる。
Sフェザーまでの3階級制覇の目論みを以前に語っていたが、
案外パワーと体格のアドバンテージはフェザーまでかね。
前後のステップで距離を作る相手は攻略できることを証明したが、
サイドステップに長けたガンボアのようなタイプにも
この試合でキーとなったアッパーは当たるだろうか。
何度か指摘したが、pronationでパンチの強さを生むタイプの選手なので、
腰がどうしても少し軽くなる。
交わることはないだろうが、リナレス、カサマヨルのようなタイプには
あっさり判定負けしそうな予感も漂わないではない。

考察 ~ルエバノ~

2ラウンドから意識的に反時計回りのステップを選んだ時点で、
パンチ力の差を自覚したか。
そのパンチとはリードブロー。
ジャブ、フェイント、ステップワーク、カウンターで
己が間合いをコントロールしてきたが、
サウスポー対決でリードの力に差がありすぎると、
強いリードで対抗せざるを得ない。
畢竟、距離が詰まり、打ち合いに呑まれる。
上手さと強さの配合バランスはキャリアを得るごとに微妙な変化を見せるが、
ルエバノは今後はテクニシャンへ傾倒、というか回帰するのだろうな。

WBA世界フェザー級タイトルマッチ

2010-02-20 13:39:35 | Boxing
王者 ユリオルキス・ガンボア VS 挑戦者 ロジャース・ムタガ

ガンボア 2ラウンドTKO勝利

考察 ~ガンボア~

左を制する者は世界を制すと言われる(出典は何?)が、
現代ボクシングの潮流は「スピードを制する者は世界を制す」であろう。
相手の右の引きに左フックのカウンターを当てる構図は
亀田大毅がデンカオセーンに見せたばかりだが、
パンチのスピード、精度、威力が段違い。
ジョー小泉が絶賛する強いパンチの連打は
アッパー空振り後のコンビネーションに見てとれる。
これは実際にバッグを空振りしてから撃ち込むことで実感されよう。
そろそろフアレスあたりを喰ってみてはどうか。
最高のtuneupかつ前哨戦になるだろう。

だが、この勝利をもって単純にファンマ・ロペスより上だと断じるのは早計だ。
トップランクは統一戦のためには更なるbuild-upが必要だと主張しているらしいが、
何のためのco-headlinerだったのか。
マルガリートとコットが間髪入れずに激突したように、
今夏にもロペスと激突せねばならない。


考察 ~ムタガ~

前戦は相手がサウスポーだったゆえに食ってからの右が当たったが、
今回は打った時には相手はそこにいなかった。
おそらく残像どころか、まさに視界から消えたという感じではなかったか。
何度も強調してきたが、見えないパンチは効くのだ。
タンザニアに虎が生息しているのかどうかは知らないが、
肉食獣の狩りは喰いついてからが勝負。
インパラもチーターに狙われていようが、
相手の射程外ならば悠々と草を食み続けるという。
今回のはハントは大失敗に終わったが、
今後もしぶとく大物食いと大失敗を繰り返すのだろう。

WBC世界Lヘビー級タイトルマッチ

2010-02-19 19:01:05 | Boxing
王者 ジャン・パスカル VS 挑戦者 アドリアン・ディアコヌ

パスカル 判定勝利

考察 ~パスカル~

アクシデントは脱臼ではなく亜脱臼ではないか。
これは三角筋や僧帽筋を鍛えることである程度予防はできる。
野球のピッチャーや力士、レスラーの職業病とも言える。
2年前に岡山県の某療養所で千代の富士の講演を聞く機会に恵まれたが、
かの大横綱は一日数百回の腕立て伏せを数年間継続することで
脱臼癖を克服したという。
日本語ではパンチを打つというが、英語ではこれをthrowと表現する。
他にもshoot、fire、popなども用いられるが、
基本はパンチは「投げる」ものという認識だ。

怪我によって好戦的な側面を出すようになったのか、
それともスタイルチェンジに伴う負傷なのか。
そこは分からないが、おそらく左一本でも戦えるテクはあるだろう。
(相手のレベルにもよるが)
倒すことよりも強く打つことを意識したスタイルは
前戦のKOの自信の為せる業か。
ただし、この試合はリマッチ。
本当の評価はさらに先になる。

考察 ~ディアコヌ~

ガードを高く掲げて上体の振りを最小限に抑えようとするムーブは
地味なポイントゲームには資するが、
スピードとリーチには絶望的に恵まれておらず、
またそのファイトマインドはコンビネーションに頼らず、
意識的に一発ずつを強く打つ(≠当てる)ことにあり、
良い意味でも悪い意味でもアマチュアらしさがあふれる。
あらゆるスタイルに最小公倍数的に対応できるがゆえに、
特定スタイルの持つ因数(factor)にあっさり分解されてしまう。
イチローは野球の最も厳しい要素にキャッチボールを挙げ、
また城島も捕手の送球は技術であり愛情であると喝破した。
スタイルに意志が現れるのは当然だが、パンチにも意志が欲しい。
ディアコヌは自身のジャブにこれほどの哲学を込めることができるだろうか。

ボクシングにおける健康管理

2010-02-11 00:20:21 | Boxing
亀田大毅が体調を著しく崩しているようで。
血尿に発熱に振戦とは大変だ。

浜さん、長谷川、畑山の鼎談番組にて長谷川が
「血尿なんか出したことない」という旨を語ったことがあったが、
長くボクシングをやっていればどこかで血尿を流す機会はあるだろう。
原因はごくごく簡単にいえば、腎臓の器質的損傷だね。
気をつけの姿勢をとった時に胴体と両肘が接する部分のすぐ後ろ側が腎臓で、
ボディブローで腎臓にダメージが行く理由もお分かり頂けようし、
なぜ背中を打つのがkidney blowと称されるのかもお分かりいただけると思う。
もしボクサーでない人で血尿を出したら、病院の腎臓内科を受診しましょう。
尿に膿が混じっているようなら泌尿器科へ行きましょう。

発熱を経験したことのない人は存在しないと断言できる。
ギョーカイ用語、いわゆるjargonでは熱発(ねっぱつ)と言います。
発熱の機序は様々で、ある疾患の症状で発熱があったとしても、
発熱そのものから疾患を特定することは不可能である。
ただし、大毅の場合は振戦を併発、かつ前日に殴り合いをしているので、
おそらくセロトニンの分泌過剰が背景にあると思われる。
同時に過度の減量による電解質バランスの破綻。
減量中に何を食べていたのかは知らないが、
カリウムあたりが極度に増加ないしは減少したのだろう。
ここらへんは煮野菜を食べていたか、生野菜を食べていたかによる。
プロのトレーナーがついているのでアホな減量やリバウンドはしなかったと信じるが、
発熱、振戦、血尿で病院に行かずにホテルで安静にして様子を見るというのは
完全なシロートの発想。
ドクターFが現場にいたでしょ?
なぜ頼らない?
先生は名医だぞ。

かつて管理人がタイガースファンだった頃、
Tという元選手のトレーナーがおり、
阪神選手が故障の兆候を見せるたびに
「病院には行かずしばらくアイシングで様子を見る」と語り、
次々に選手の怪我を手遅れにしてきた。
野球とボクシングは根本的に異なる競技だが、
一回で蓄積するダメージという点では比べ物にならない。

大毅よ、今からでも遅くはない。
信頼できる病院に直行するのだ。
簡便なフィジカルスクリーニングぐらいはやった方がいい。
親父も興毅も大毅がかわいいなら首根っこ引っ掴んででもそうすべきだ。

ミドル級12回戦

2010-02-08 23:58:43 | Boxing
ポール・ウィリアムス VS セルヒオ・マルチネス

ウィリアムス マジョリティーディシジョン勝利

考察 ~ウィリアムス~

リアルタイムでは115-113でマルチネスと採点したが、
WOWOWで見直すと114-114。
ちなみにウィリアムスのラウンドは4~7、9、12。
当初最終ラウンドはマルチネスにつけたが、
鮮明な映像で見てウィリアムスに振り直した。
ゆえにドローとす。

毎回言うけどハーンズより強いね。
一発のパンチ力はたしかにハーンズ > ウィリアムスだけど、
アゴの強さではウィリアムス >>> ハーンズでしょ。

踏み込んでくる相手に弱いわけではない。
出入りする相手もキンタナとのリマッチで克服済み。
ならば苦戦の原因は何か?
それは技術の欠如。
リズミカルな連打を長所にするが、
この日はそれが長所でもあり短所にもなってしまった。
捨てパンチを打つことの是々非々はsituationによりけりだが、
攻防に優れる相手と対した場合、フェイントと威嚇なしには
明確な勝利を得ることは難しい。
Offense is the best form of defenseという思潮は米軍だけで十分で、
無理やり展開を作ることで中盤を支配したが、
序盤と終盤は相手のパンチに対して無防備になる瞬間を作ってしまった。
マルガリート戦でそんなふうになったのは11ラウンドだけだったと記憶しているが。
打たずに打つ、あるいは避けずに打たせないという技術を身につけたとき、
この男はレジェンドになれる。

考察 ~マルチネス~

初回に右フックでダウンを奪ったのは圧巻。
その右は小さく鋭く、左脇の締めを軸に右足の踏み込みから生まれた。
身長、リーチで大きく優る相手のレンジに飛び込む際は
引き腕のパンチならば前足でないと届かない。
サウスポーが右フックで踏み込むならばなおのことで
大きなpronationを採用するしかないではないか。
右足で踏み込んで伸ばした左体側を軸に打つ?
サウスポーの方はぜひお試しあれ。
ボクシングのたいていのムーブは実際にコピーすることで
体感でき、サマにはならずとも感覚は掴めるもの。
それをさせないマルチネスはやはり天才かそれに近いものがある。
中盤は相手の回復力と手数に譲りながらも、上手く休んだが、
結果的にここらのラウンドを渡したのが響いたか。
8ラウンドには外角(死角)からの遠軌道のカウンターの右で主導権を奪い返し、
10ラウンドにはドラゴンフィッシュブローが炸裂。
最高のゲームプランと極限の集中力で最終ゴングを聞いた。
この試合、やはり引き分けが妥当ではないか。
だが、シントロン戦の不運な引き分けと違い、これは勝ち、いや価値ある敗北。
アントニオ・バンデラスを彷彿させるルックスとスタイリッシュなボクシング。
天才がついにビッグマッチを手繰り寄せた。
次戦はパブリック? シントロン? マルガリート?
片っ端からかかってこいや!

ヘビー級10回戦

2010-02-08 23:58:15 | Boxing
クリス・アレオーラ VS ブライアン・ミント

アレオーラ 4ラウンドTKO勝利

考察 ~アレオーラ~

たぷたぷのabdomen(腹部)に注目してしまうが、
真に見るべきはbuttocks(尻)ではなかろうか。
おそらくトランクスを脱げば力士並みの大股を誇るだろう。
(見たいわけではない、念のため)
この腰と下半身の強靭さを活かした上体を左に傾けながら
渾身と形容するしかない右を打ち落とすが、
この戦い方で体にダメージというか負荷はないのか。
腓腹筋はそれほど発達していないように見えるし、
膝の十字靱帯あたりも気掛かりだ。
右の打ち落としの際にダックからレバーに一撃、
あるいはサイドステップからの振り向きざまの
カウンター一発で這いつくばる姿も想像されるが、
そんなmaneuverを操るヘビー級コンテンダーは幸か不幸か現在はいない。

考察 ~ミント~

あの一発で10カウントを拒否し、立ち上がったのは天晴れ。
アレオーラ会心の一撃を4発立て続けにもらっては意識も飛ぶわな。
この選手は小さく動いて大きく打とうとするとでも言うか、
肉を切らせて骨も断たせるね。
技術的に光るところは全くないが、
凋落著しいアメリカンヘビーウェイトの中にあって
久方ぶりに熱くなれる試合を提供してくれた。