BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA・Sウェルター級IC王座決定戦 シェーン・モズリーVSリカルド・マヨルガ

2008-10-28 00:39:13 | Boxing
モズリー 12ラウンドKO勝利

37歳と言えばボクサーとしては斜陽の年齢。
デラホーヤは微妙なマッチメークで自身のexit strategyを立てているくせに、
従業員はまだまだこき使う気なのか、というのは杞憂だった。
スピードNo.1と言われて久しいが、昨年のコット戦で往年の絶対的スピードは
失われていることは明らか。
ならば何故いまだにトップ戦線で戦えるのか?
相対的なスピードを保持しているからだ。
F・バルガスを倒した左フックと同じ軌道のパンチで最後は仕留めた訳だが、
そのパンチのスピードは相手のパンチの軌道、角度、タイミングとの比較、
さらに相手の反射神経により速くも遅くもなりうる。
中盤から終盤にかけて中だるみしたように思えたのはスタミナ切れだったと思うが、
スタミナ切れにも2種類ある(被弾のダメージは除外して考える)。
筋肉自体の疲労から来るものと、神経・脳のフル稼働によるもの。
この夜のモズリーはおそらく後者だったのではないか。
脳の重さは体重の約2%と言われるが、使用するエネルギー(ブドウ糖)は
人体全体の消費量のおよそ25%。
もちろん十分なスパーや対策は練ってきたと思われるが、
マヨルガほどの八方破れのファイターと実際にリングで相対した時、
序盤のペース争いで相当神経を使ったと思われる。

マルガリートとの対戦が実現した場合には、さらなる苦戦が予想される。
その場合には打ち疲れと打たれ疲れの両方に一気に心身を蝕まれる恐れがあり、
せっかく上げた株をマルガリートに奪われる可能性が高い。
とは言うものの、年齢的にも残されたビッグマッチはそう多くないので、
マルガリート陣営との交渉次第でまとまるのだろうな。

マヨルガはタイプとしては異なるが、どうにもF・バルガスの残像がちらついた。
最終ラウンド残り1秒でのKOなど、まさに劇的。
ストリートファイトならめちゃくちゃ強いだろうが、
ボクシングではそうは問屋が卸さなかったか。
V・フォレストのようなワン・ツー主体のタイプ相手なら
無茶振りのフックでなぎ倒せるが、バックステップとジャブを織り交ぜられると
比較的もろいところもあることがデラホーヤ戦に引き続き証明されてしまった。
それにしてもロマゴンといいマヨルガといい、
ニカラグアのボクサーは実に多彩で多士済々だ。
中南米は国土の面では日本より大きい国小さい国と様々でも
人口の面では日本より遥かに劣る。
にもかかわらずボクシングのレベルが高いということは、
やはりサッカーもそうだが、移民、混血、貧困が強さの土台になるということか。

WBC世界ウェルター級タイトルマッチ アンドレ・ベルトVSスティーブ・フォーブス

2008-10-27 22:29:07 | Boxing
ベルト ユナニマスディシジョンで王座防衛

注目株のベルトの初防衛戦だったが、目立った固さは見られなかった。
相変わらずスピーディーでパワフルな連打を繰り出すが、
この試合では相手のslicknessとelusivenessに誤魔化された感じ。
スピードとパワーが並立しているが、まだ両立しているとは言えない段階だ。
持ち前のathleticismを活かしてコンビネーションをバンバン撃ち込み、
相手に効かせたら一挙に攻め落とすというスタイルも悪くないが、
被弾を警戒するあまり、あと一発が出ない場面も見受けられた。
自分にとって気分がいいボクシング、つまり自分のスタイルを崩さずに戦えれば、
団体統一を目指せるスーパースターになれる。
が、この階級のトップ戦線ではあの手この手で試合の流れをコントロール
してくるタイプ、問答無用のプレスやパンチ力で主導権を奪ってくるタイプが
目白押しである。
ベルトには今後2つの路線が考えられる。
現状のような身体能力をフルに活かしたボクシングか、
それとも一度基本に立ち返ってリードブローをレベルアップさせるか、だ。
陣営がどちらを選ぶのかは分からないが、せっかくのスーパースターの卵。
調子に乗ったマッチメークで潰してしまわないようお願いしたい。

デラホーヤに仮想メイウェザーとして指名されたフォーブスだったが、
今度はメイウェザーコピーに指名されたという訳か。
若造になめられてたまるか、という心境だったろうが、
ボクサーとしての身体能力の差は歴然。
それでも勝負になってしまうのはその卓越した技術の賜物。
ベルトのボクシングが比較的素直なために余計に前述のあの手この手の部分が光った。
唯一優っていたのはジャブの使い方。
左足の踏み込みと膝の屈伸、つま先の蹴り、さらに上体の前傾から肘を下に置くか
外向きに突き出して打つかなど、あの手この手でベルトの射程を狂わせ、
相手のスピードに対抗した。
ワン・ツーにはダッキング、左右フックにはガード、アッパーはもらってしまったが、
懐に潜り込んでパパパーンとボディに返して即離脱と、やられっぱなしはとことん拒否。
リスクの少ない相手として指名された挑戦者の意地を見せる以上に、
成り上がりを目論む新鋭にボクシングを教授するベテランの一面が垣間見えたように思う。
でも、フォーブスがウェルター級のgatekeeperかと言われると違和感を覚える。

WBC世界Sウェルター級暫定王座決定戦 セルヒオ・マルチネスVSアレックス・ブネマ

2008-10-21 00:19:44 | Boxing
マルチネス 8ラウンド終了TKO勝利

こりゃある種の天才型ボクサーだな、というのが第一印象。
サウスポーといえばカウンターパンチャーが主流の現代ボクシングのトップシーンに
ようやくサウスポーらしいサウスポーが出現した。
見た目のスピードやクイックネス以上に空間把握能力に驚かされた。
初回で自分と相手、両方のジャブの射程を見切り、
2ラウンドからは自由自在、まさにやりたい放題。
時計回り、反時計回り、どちらのフットワークからでも
ステップの”逆方向”にヘッドスリップし、間髪要れずパパパーンと
左右のコンビネーションをまとめる。
ディフェンスはバックステップ主体だが、左グローブの置き所を
相手との距離によってあごの前から左頬へと瞬間的に調節するところなど、
基本とインスピレーションの2つを同時に備えていることを伺わせる。
中盤にブネマのジャブを2発連続で顔面に受けた際に、
「あれ、おっかしーな?」とばかりに首をかしげたところに
このボクサーのメンタリティが如実に現われていた。
この年齢とこのキャリアで世界挑戦が初めてというのは
世界タイトルに固執していないか世界王者に恐れられたかのどちらかだろう。
おそらく前者の理由ではないか。
世界を見聞し、いい女を抱き、上手い酒を飲み、
ボクシングで爽やかな汗をかけばいい、とでも考えているに違いない。
vagabondというかcosmopolitanというか・・・
インタビューでは「ボクシング?趣味だよ」とか答えるんだろうな。
こういう相手に勝てるのは、これ以上の天才肌か根っからの雑草男しかいない。
事実、アントニオ・マルガリートは勝っている。

No.1 contenderとしてリングに上がったブネマだったが、
完全な引き立て役に終わってしまった。
相手の右ジャブと左右左のコンビネーションはいったい何発喰らったのか。
勝ち目ゼロだということは3ラウンドのダウンで思い知らされたはずだが、
それでも戦い続けたのはコンゴ初の世界王者を夢見てのことか。
五輪金メダルや世界一という称号は強烈なインパクトを与えるブランドで、
一人そういった人間が生まれると、底辺が一気に拡大する可能性が生まれる。
この蹉跌を挫折にせず、ブネマには戦い続けてほしい。

S・ウェルター級10回戦 アルフレド・アングロVSアンドレイ・ツルカン

2008-10-20 23:22:05 | Boxing
アングロ 10ラウンドTKO勝利

左ジャブの鋭さが以前よりも格段に増していたが、
スイッチした時の悪癖は以前のままだった。
右で切れの悪いフリッカー気味のジャブを打ったときに左をかぶせられるんだ。
つまり、威力・スピードともに左のときに比べてだいぶ落ちるということ。
その分、近距離で右肩を預けながら左のフックとアッパーを
ぐいぐい相手のボディに叩き込めるのが利点だが。
相手のタフさと粘りのせいかもしれないが、
スタミナとパンチ力に難があるのではなかろうか。
若い割りに老獪だと言ってしまえばそれまでなのだが、
いまひとつ魅力を感じない。
オリンピック出場の肩書きで華々しくプロ転向したのだろうが、
アマチュアで長くやるうちに、若さゆえの特権である爆発力を失った、
というよりも爆発のさせ方を覚えられなかったのではないのか。
前回放送時には「やりやがったなテメェ!」みたいなところもあったのになあ。
アングロ周辺の人間にはアステカの戦士の系譜をもう一度見直してほしい。
せっかくマルガリートのスパーメイトに抜擢されたのだから、
ティファナの竜巻に迫るレベルの選手に育ってほしいものだ。

対するツルカンだが、医学的に分析してみたいと思うほどのタフネス。
個人的には最終ラウンド終了のゴングを聞かせてやりたかったが、
さすがにセコンドもタオルを振らざるを得なかった。
その決断は尊重せねばならない。
並みの選手、ランカーなら4回はノックアウトされているのではないかと
思えるほどのダメージを耐え切り、割って入れると判断できる瞬間に
打ち返すものだから、レフェリーも止めようにも止められない。
あれだけ打たれれば顔面が2倍に膨れ上がるのが常だが、
この選手は両目の下がうっすらと赤く腫れただけ。
グラッときた場面や露骨にボディを嫌がる局面もあったので
打たれ強さというより我慢強さで凌いだのだろうが、
肉体的、というか遺伝子的にとくに血管や皮膚に何がしかの変異があるとしか思えない。

我々は往々にして激戦を「死闘」などと表現するが、
ボクシングファンは誰一人としてリング禍など望んでいない。
今年も韓国やフィリピンの選手がリング禍で世を去ったというニュースがあったが、
このような試合は常に観るものに問いを投げかけてくる。
「これぞボクシング」なのか「これがボクシング」なのか、
「これもボクシング」なのか、それとも「これはボクシングではない」のか。

S・フェザー級10回戦 ユリオルキス・ガンボアVSマルコス・ラミレス

2008-10-20 22:20:04 | Boxing
ガンボア 2ラウンドKO勝利

定評どおりの詰めの鋭さは披露したが、自信が過信になっていることも露呈した。
冷静に持ち直し、そこから倒し返したのは見事の一語に尽きるが、
今後のマッチメイクはプロモーターやマネージャーも慎重にならざるを得ないだろう。
ルエバノやラリオスに挑むのはタイミング次第ではOKだと思うが、
クリス・ジョンに挑戦するのはまだまだ時期尚早だ。

ラミレスは世界ランク一桁への試金石という感じか。
無敗の肩書きが示すとおり良い選手だが、それ以上ではなかった。
イスラエル・バスケスがフェザーに上げてきたときの試運転役にでもなりそうだ。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 長谷川穂積VSアレハンドロ・バルデス

2008-10-16 22:20:35 | Boxing
長谷川 2ラウンドTKO勝利

マリンガ対策を兼ねてじっくりと攻略するのかと予想していたが、
チャンスは早々に訪れ、そしてレフェリーのストップもやや早かった。
長身サウスポーでジャバースタイルなメキシカンと言えばミハレスぐらいしか
思いつかないが、このバルデスは予想通りの完全な負け役だった。
もちろん、なんちゃって世界ランカーという意味ではなく、
こいつなら間違っても長谷川を脅かさない、という意味においてである。
長谷川の反時計回りのステップにそれが見て取れた。

快勝した長谷川だが、左スト→右フックは完全にマスターしたようだ。
少しぎこちなさはあったものの、相手のジャブをあっさり左でパーリングできたことで、
長さはあっても重さはないことで初回終了時には心身ともにほぐれたのではなかろうか。
相手のリードパンチが軽ければ、ハンドスピードで上回る自身の左が活きる。
そのことを見事に証明してみせた。
ただし、初回のロープを背負っての打ち合いではヒヤリとさせられる瞬間もあり、
本人はどう感じているのかは分からないが、観てる側は結構焦ってしまう。
何度か強調してきたが、長谷川のボクシングに倒し倒されの末の感動的な決着など
まったく必要ない。
どこまでもクールに、スタイリッシュに、シャープに。
それが日本ボクシング界のエースたる長谷川に求められるファイトスタイルである。
フィニッシュの猛ラッシュはキャリアに裏づけされた冷静さの賜物で、
王者の貫禄、風格を備えてきたと言える。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ オスカー・ラリオスVS粟生隆寛

2008-10-16 21:34:43 | Boxing
ラリオス 2-1判定で勝利

粟生の善戦を称えるべきか、詰めの甘さを悔やむべきか迷う。
4ラウンドにダウンを奪うまでのボクシングはパーフェクト。
右へのヘッドスリップから間髪要れず左カウンターにつなげる様は
脇を絞った上体に右グローブの位置とあいまって
サウスポーのカウンターパンチャーのひとつの完成形だった、
というとさすがに褒め過ぎか。
しかし、ダメージングブローはほとんど全て右によるもので、
引き腕ではなくリードを強く打つことで主導権を握るプランがあったことを窺わせる。
結果、ラリオスのアウトボクシングを許すことになり、
榎戦で露呈したオーソドックスのジャブを不必要に被弾するという欠点を
またも晒すことになってしまった。
8ラウンドの公開採点時の三者三様を受けて、攻めるという選択肢しか残されなかったが、
体力と根性、死闘を潜り抜けてきた経験の差で敗れたと言える。
特に8~10ラウンドの押し合いで明確に敗れたのが痛かった。
こりゃ逆転KO負けもあるぞ、と観ながら覚悟してしまった。
最近のラリオスのvulnerabilityは歴戦の疲れとダメージの蓄積によるものだが、
粟生の打たれ弱さは、打たれた経験の無さ以上に、
生まれつきのアゴとボディが頑丈ではないのではないかと推測される。
世界で戦えるということを十分に知らしめた粟生だが、
世界が獲れるかどうかはメンタル以上にフィジカルにかかっているような気がしてならない。

防衛を果たしたラリオスだが、まさにseasoned veteran=古強者と名状されるべきボクサーだ。
肉体的にはボロボロ2歩手前ぐらいに思えるが、
勝利への執念とインテリジェンス、勝負どころを見誤らない勘・判断力・決断力は
この歴戦の雄にして持ちうるもので、追撃に逸る若武者を相手に
フットワークとジャブで距離と時間を稼いだ。
終盤に粟生が肩をぶつけ合っての根性勝負を厭がる素振りを見せた瞬間に
生き返ったように見えたが、それはつまり、その時点まではラリオスも
精神的・肉体的に苦しい状態にあったということ。
おそらく敗北した時が引退決断の時となるのだろうが、
これほどポイント計算もインファイトもアウトボクシングもできるボクサーは
なかなかお目にかかれない。
粟生の減点1は結果的には最終的なスコアカードに影響は及ぼさなかったが、
いつストップされてもおかしくないほどの傷だったはずだ。
ラリオスの計算ボクシングよりも陣営の止血が第一の勝因だったと言えるかもしれない。


ワールドプレミアムボクシング予想

2008-10-15 22:42:56 | Boxing
WBC世界フェザー級タイトルマッチ
王者 オスカー・ラリオス VS 挑戦者 粟生隆寛

予想:ラリオス 中盤にKO勝利

「打ち合う」ことを公言している粟生だが、相手が悪すぎる。
インパクトのある勝ち方をしたいのは理解できるが、
自らのボクシングスタイルを崩す必要はない。
粟生の宣言を信じた上での予想であり、
派手な打ち合いや見栄えにこだわらず、
勝利のみを目指すスタイルで戦うなら、勝算も出てくる。
今ならまだ考え直せるぞ。


WBC世界バンタム級タイトルマッチ
王者 長谷川穂積 VS アレハンドロ・バルデス

予想:長谷川 中差判定で勝利

苦手と公言するサウスポーが挑戦者だが、どうも負け役の匂いがする。
挑戦者の身長やリーチなどの体格面での優位、あるいはメキシカンであること以上に、
帝拳の思惑があるように感じられてならない。
そこにはもちろん、長谷川のアメリカデビューへの布石があり、
同団体の一つ上の階級で西岡が悲願の戴冠を果たしたという事情もある。
もう一つ考えられるのは・・・これは下種の勘繰りか。
小堀陣営の迷走、亀田に引っ掻き回されている内藤・坂田、さらに新井田の陥落もあり、
日本ボクシング界のパウンド・フォー・パウンドの長谷川がここで敗れることは許されない。

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ サミュエル・ピーターVSビタリ・クリチコ

2008-10-14 10:01:23 | Boxing
クリチコ 8ラウンド終了TKO勝利

見事なシェイプアップとファイトプランだったとビタリを称賛するべきなのだろうが、
なぜか素直にその思いを言葉にできない。
そういうファンは多かったのではないだろうか。
これが現在の世界ヘビー級のタイトルマッチ戦線の現状だということを知るほど、
昔日の郷愁に駆られてしまう。

初回、ビタリがスムーズに右を打ち下ろした時点で勝負はついていたのかもしれない。
展開としては弟ウラディミルとブリュースターの再戦にそっくりで、
相手のギブアップによる決着はまさにデジャヴ。
しかし、その試合のウラディミルの胸はこの日のビタリほど赤くはならず、
しっかり体は作ってきたものの、細胞レベルのresilienceは
4年のブランクで失われていたことは明らかだった。
本格的に復帰するのか、ワンマッチのリターンになるのだろうか。
イブラギモフ、チャガエフ、マスカエフあたりの元・前王者に期待?
それともポベトキン、ヘイ、アレオラのような新鋭を待つ?
まさかのゴロタやトニー、ジョン・ルイスの復権?
現ヘビー級の王者・ランカーにもタレントはそろっている。
しかし、このタレントに満足していいのだろうか?

フォアマン、フレージャー、ルイス、ホリフィールド、タイソンによる演出は
試合直前には大いに興奮させてくれたが、試合後に思い返すと白けるばかり。
ヘビー級のsensationは次にいつ訪れるのだろうか。

敗れたピーター、応援してたんだがなあ。
J・マクラインにころころ転がされたあたり、ひょっとして自分よりデカイ奴に弱い
という印象があったが、実際に弱かった。
オープニングのゴングから強引に潜り込んでボディにしつこく喰らいつくという
作戦はなかったのだろうか。
エントランスですでに会場の雰囲気に呑まれていたように見受けられたが、
この男も黒人特有のメンタルの弱さがあったのか。
マスカエフには最後には野獣のごとく襲い掛かったのに、
ビタリ相手になぜそれができないのだ。

WBA世界Sウェルター級タイトルマッチ ジョアキム・アルシンVSダニエル・サントス

2008-10-14 09:30:00 | Boxing
サントス 6ラウンドKO勝利

かつて浜さんが「Sウェルターで団体統一するならアルシン」と語っていたが、
それが見込み違いだったことが証明されてしまった。
カウンターを準備している相手に対して臆病すぎた。
序盤の攻防だけ見れば、どっちがサウスポーでどっちがオーソドックスか
分からないぐらいだった。
結局、右が主武器なのだが、それをきれいに打ち込みたい意識が強いんだな。
捨てパンチを打たず、ボディワークでしのぎながら相手の隙を見出したいという
スタイルゆえに、どうしても後手に回ってしまう傾向がある。
ウェルターとミドルの2大階級の隙間で期待されていたスター候補だったが、
この敗北はあまりにも痛い。

勝ったサントスも前途多難か。
フィニッシュの左は狙い済ましたカウンターというよりは出会い頭の衝突気味だった。
スター候補の台頭と没落著しいSウェルターで古豪が意地を見せたと言えば聞こえはいいが、
評価を上げる内容ではなかったように思う。
1~3ラウンドはワン・ツー主体、以降は右フックと右へのサイドステップも
交えたが、主導権を握ったというよりは、安全策を採用したという感じ。
打ってくる相手に対して素直に退きすぎで、自らのファイトで大金を稼げるとは思えない。
だからこそマルガリート狙いなのだろうが。