BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

大阪鶴橋焼肉探訪記

2009-07-31 23:12:11 | Private
目と鼻の先ということで野郎の友人4人と大阪は鶴橋の焼肉屋、まる徳を訪ねる。
つまり徳山昌守がオーナーの店である。
時間もカネも都合がつく。
ならば行かねばなるまいということで、挑戦状を叩きつける気分で鶴橋へ向かう。
管理人の実家は元焼肉屋で、個人的に焼肉は嫌いではないが、
はっきり言って食べ飽きている。
自分の店だけでなく、東京中の結構いろいろなところでも食べてきた。
しかし!
私がボクシングを観るきっかけを作ったのが辰吉ならば、
私をボクシングマニアにしたのは徳山なのである。
だったら焼肉だろうが何だろうが喰う。
そしてとにかく徳山に会う。

鶴橋で地元の友人と合流。
徒歩で目的地まで1分足らず。
なかなかの店の構えである。
アントニオ猪木からの花束が飾ってあるのはさすがというかなんと言うか…
見たところ閉店したスナックか何かを買い取り、改装したのだろう。
予約客であることを告げ、一階の4人掛けの席へ着く。

とりあえずお茶とキムチと焼肉セットその他を注文。
メニューが三々五々とやってくる。
わいわいと談笑しながら世間話を交え、かっ食らう。
肉の味としては値段相応かやや良いという印象。
炭火は風味の面でガスに優るが、火力の点ではもう一つ。
焼肉は内臓系の一部を除けば表面を一気に焼き上げ、
中身は余熱に任せればよい、そして一気に食べる、というのが持論である。
安易に炭火に走らなかった徳山の判断を高く評価したい。

「しゃーす!!!」
!?
誰だ?
徳山だ!!
オーナー本人の登場である!
気がついたら席を立ち、徳山の両手を握っていた。
世界を獲った拳に対してなんと失礼なことか。
だが、王者はいつでも王者の貫録を誇っていた。
笑顔で受け入れてくださり、ほんの少しばかりだが話もさせていただいた。
今は忙しすぎてエキサイトマッチすら視聴する余裕もないこと。
ファンになるなら2001年からではなく、2000年からでいて欲しかったということ。
ペニャロサ戦は2試合とも自分の勝ち、スプリットはありえないということ。
そして隣の席の客から声をかけられたので王者はそちらの対応に回ったが、
自分よりもさらにキツイ質問が飛んでいた。
曰く、「なぁチャンピオン、キックボクシングやるとか言うてたけど
そんなんせえへんやんな?」
徳山「えっ?はぁ、自分は空手やってたっすから…。プロのリングとか
そんなのは全然…」
私は胸を大いになでおろしたものである。
そして隣の席の客に心の中で喝采を送った。

徳山はまた別の席へ呼ばれて行ってしまったが、
ちょくちょく各テーブルをラウンドしているようだ。
私たちの席にも頻繁に顔を出してくれる。
写メにも気軽に応じてくれる。
そうそう、肝心の店についてだが、味はわかめスープを除いて文句無し。
価格もこの肉の品質でこれなら十分に安いと言える。
4人でしこたま飲み食いして20,000円也。
徳山は「週4でどうぞ」と言ってくれるが、さすがにそれはキツイ。
だが二か月に一度ぐらいなら、時間の都合さえつけば問題なさそうだ。
スタートしたばかりで店の経営は手探りの状態だろうが、
元世界王者自らの熱意あふれる接客には世界ランクではなく、
惑星ランク上位を与えたい。

WBA世界Sライト級暫定王座決定戦

2009-07-27 23:53:59 | Boxing
2位 マルコス・マイダナ VS 3位 ビクター・オルティス

マイダナ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~マイダナ~

打たれ慣れているのは当然だが、ダウン慣れもしているのか?
いずれも死角から飛んできた右フックをjawにもらったが、
何事もなかったように立ってくるメンタルとフィジカルの強靭さは
どこから涌き出てくるのだ?
3ラウンドまでは膝を突っ張らせたようなスタンスから
拳をめり込ませにいったが、以降はパンチを振り抜くようにチェンジ。
ドスン、バシンというパンチをガツン、バキッというパンチに
切り替えるというインテリジェンスも見せた。
ミットで受けてみれば質の違いをもっと感じられるだろうが、
こんな奴のミットは持ちたくない。
要は単調な強打者ではなく二枚腰を備えたパンチャーだったということ。
ケンカでダメならボクシングでいく(本来は逆だが)というか、
殴ることもできるし打つこともできるとでも表現したらいいか。

奇しくも混迷と激戦のSライト級。
カチディスを飛び越えて、ついに故アルツロ・ガッティの後継者が現れた。

考察 ~オルティス~

J・M・ロペス、西岡、長谷川、デラホーヤのシルエットが浮かんでくる
そのファイトスタイルはスター性抜群だが、スターはそう簡単には作れなかった。
entrance musicに故マイケル・ジャクソンの”スリラー”を採用するあたり、
敗北への下地はすでに出来ていたと言えるかもしれない。
温室栽培でも用意されたスター街道でも何でもいい。
重要なのは勝利で、勝利するには「まず勝って然る後に戦う」(孫子の兵法)。
哀悼の意を表するのは偉大なるボクサーに対してだけで良かったのではないか。

今まではどっしり構えた状態からの左ストレートが軸だったが、
全てのダウンを演出したショートの右フックに手応えを得たために
結果的にかち合う距離になってしまった。
相手とは対照的に攻めても守っても膝を柔らかく保っており、
パンチの衝撃はかなり吸収できるように見えるが、
これは初回のダメージを引きずっていたという面もあったろう。
マイダナがパンチの質を変えてきたことでパニックにもなったようだ。
経験の差、メンタルの差、スタミナの差に敗因を求めるのは容易だが、
それらも含めて実力の差で負けたと見る。

乱暴を通り越して強暴な相手との手合わせ、そして敗北の味を知ったことで
さらに大きく飛躍する契機は調った。
まさかこれで壊れた(壊された)とも思えない。
デラホーヤも安易な暫定タイトル狙いのリスクを思い知ったことだろう。

WBC世界Lフライ級タイトルマッチ

2009-07-27 23:00:15 | Boxing
王者 エドガル・ソーサ VS 挑戦者 カルロス・メロ

ソーサ 5ラウンドTKO勝利

考察 ~ソーサ~

立ち上がりがやや消極的だったのはコンディショニングに不安があったからか?
Fighting Championの二つ名の通りハイペースで防衛しているが、
肩幅と肉付きを見るにLフライはそろそろ限界だろう。
自身のリーチの短さとタフネスを自覚しており、
ハンドスピードの無さは当て勘で補完。
インサイドでは上体を前傾させ顔面をカバーし、
相手のフックがボディに飛んでくる前に突き上げる、
あるいはフックはスウェーでいなす、
という派手さはないがキャリアに裏付けられたスタイルを披露した。
C・ミハレスと並んで、いやそれ以上に次から次へ防衛しているが、
ミハレスが嵌まり込んだような思わぬ陥穽が待ち受けていないとも限らない。
フライに上がってくるなら坂田との激突が興味深い。
きっと最高の泥試合(褒め言葉)になるだろうな。

考察 ~メロ~

リングがいつもより少し小さめに見えたのは軽量級ゆえの目の錯覚だったか。
自分から前に出る展開は敵地での戦いということ以上に
リングの狭さに急遽その場で決断してのものにも思えた。
アッパーと左フックを軸にそれなりの戦いにはなったのものの、
10度の防衛を機に転級を公言している王者の引き立て役に終わった。
日本にも高級カマセとして呼べそうだ。
嘉陽なら勝てる、と言いたいが、噛みつかれる気配もそこはかとなく漂う。


重量級ダイジェスト

ユーサフ・マックというとあのL・アンドラーデから
初回にダウンを奪いながら圧力に押しつぶされ、嫌倒れしたあいつか。
アンドラーデってやっぱり強いんだな。

ブレーマーは確かガライに負けたんだっけ?
そのガライが無名スペイン人に喰われてしまうとは…

アレクセーエフも期待されながらずっこけたね。
浜さん風に言えば「1年早かった」か。
こういうヘッドハンターの習性が染み着いた選手は
むやみに改造しない方が良いに決まっているが、
一度そこで蹉跌を経験しているだけに
陣営の今後のかじ取りが注目される。

D・ヘイからあらゆるスピードの要素をマイナスし、
代わりに勤勉さをプラスすればボイツォフみたいになるのかね。
ビデンコ陣営は最初のダウンの時点でタオルを投入すべきだった。

ボクシング専門誌雑感

2009-07-26 14:33:26 | Reading
ボクワーの復活は速かったな。
ボクマガの専横許さじとの意気込み・・・とは思えない内容だが。
両誌に言えることだが、発売日というのは柔軟に変更できないのかね?
どう考えても長谷川を表紙に持ってくるべきだし、売りに走るならそうすべきだ。
しかし、ここでリナレスとパッキャオを採用するあたり、
ボクシング誌は世間一般へアピールしようとしているのではなく、
あくまで熱心なファンを購買層に見据えていることが窺える。
ならば内容をさらに濃くするべきで、今のままではネットをよすがに
独自に情報を収集するマニアには物足りないままだ。
ボクシングは活字、写真、ラジオなどの音声でも楽しめる人は楽しめるが、
やはり映像の伝える迫力、臨場感は格別である。
もちろん生観戦が最高なのは言うまでもない。
後楽園ホールなどのTV放送なしの興行(選手インタビュー含む)を収録し、
PC雑誌によくあるDVDの付録にして発売することも真剣に検討すべきだ。
ホールに通えないファンならばきっと買うだろうし、
どういう形式であれ、露出が増えれば選手のモチベーションも上がるに違いない。
youtubeなどで試合を観戦できる恩恵は実に大きい。
が、マイナーな試合がアップされることは極めて稀だ。
このあたりの試合をカバーしていたのが各CATVのchだったが、
今やそれらもボクシングの放送には以前ほど熱心ではない。
薄利多売が期待できないなら少数の得意客を優遇すべきだろう。
テレビやネット配信のようにインフラを整備する労苦もない。
試す価値は大いにあると考える。

最後に。
いい加減に海外選手のインタビュー記事を見直そう。
なにがおかしいって、あいつらが一人称に『私』なんて言う訳ないでしょ。
『私』が似合うのはクリチコ弟とパッキャオぐらい(リナレスは別格)で、
他のボクサーには『俺』または『僕』を適宜に使い分けるべきだ。
WOWOWだったか、ジュダーの『俺様』は最高の字幕だった。
亀田家はキャラクターを「全面」に押し出して失敗したが、
ボクサーたる者、ある程度キャラクターを「前面」に出さなくては。
実像を伝えるに虚像をもってするのは言語道断だが、
ほんの少しの偶像を演出するぐらいなら許される。
シリアスな中にもユーモアが嗅ぎとれる誌面作りを期待している。

WBO世界Sバンタム級タイトルマッチ

2009-07-20 22:31:24 | Boxing
王者 ファン・マヌエル・ロペス VS 挑戦者 オリビエ・ロンチ

ロペス 9ラウンド終了棄権TKO勝利

考察 ~ロペス~

ペニャロサは果敢に打ち合いに来てくれたが、
並みのボクサーであれば距離を置くところだ。
だが、普通に距離を取るだけではsitting duckだ。
running duckまたはflying duckとなってこそ逃げ切れるが、
逃げてはそもそも試合にならない。
そこを冷静に仕留めてこそスターとなれるわけだが、
この日は若さが出たか。
旺盛な手数は高く評価できるが、
世界戦ともなると相手も強豪になるわけで、
パンチを当てるための地固めが必要だ。
それは何かというとジャブとフェイント。
若さと馬力に任せたボクシングはいつか攻略される。
ジョー小泉のコンビネーション提案も大いに結構だが、
この男が身につけるべきは目と踏み込みのフェイントだ。

BoxingScene.comによると対立王者カバジェロが侮辱的な言葉でもって
挑発、対戦アピールを繰り返しているが、法外なファイトマネーを盾に
首を縦に振らないとか。
まさかmariconとまで呼ばれて引き下がるはずはなかろう。
パナマ、プエルトリコ両国での機運の盛り上がり、
それに伴う報酬の高騰を狙っての待機作戦と見る。

考察 ~ロンチ~

2ラウンドにダウンを食らってからは
まるでクリンチしない徳山だったな。
このダンス&ヒットは右ストレートの当て勘と
相手の左右フックを誘う、そして避けるボディワークが要求されるが、
ロンチには後者の能力がなかった。
仮にあってもロペスの右フックをかいくぐってクリンチに行くのは
相当の勇気とキャリアが必要だ。
今回は相手が悪かっただけ。
次のチャンスが来るのかどうかは分からんが、
また頑張ればいいさ。

カメルーンと聞くと中津江村が思い起こされるが、
サッカー選手同様、ボクサーも陸続と生まれつつあるだろう。
南アフリカやガーナ同様に、カメルーンもダイヤモンドの原産地として
ボクシングの世界地図に記される日も近い…のか?

PS.
ジョーのquitter論は遠回しの帝拳批判かと思ったが…
日本のボクシング界はあれやこれやのしがらみが多すぎる。

IBFインターナショナル・Sフライ級王座決定戦

2009-07-20 22:06:42 | Boxing
ホルヘ・アルセ VS フェルナンド・ルマカド

アルセ 3ラウンドKO勝利

考察 ~アルセ~

以前に斜陽と評したアルセだが、やはり斜陽のままだった。
キャリアのこの時点でのスタイル改造は完全に最後に一花咲かせるためのもので、
おそらくダルチニャンのIBF返上を待って決定戦に名乗りを上げるのだろう。
クロスカウンターを決めるアルセはアルセではない。

考察 ~ルマカド~

何しに来たんだ…と日本人選手なら嘆くところだが、
フィリピン人選手ならさにあらず。
ペニャロサ、パッキャオ、ドネアに続けとばかりに
今後も若手がアメリカ、メキシコに送り込まれるだろう。
フィリピン人王者の9割が敵地でタイトル奪取というメンタルタフネスは
国民的気質で、これは今後100年は受け継がれる特質だろう。
ルマカドレベルが300人いれば、そこには次代のパッキャオ、
あるいは次代のドネアがひそんでいるに違いない。

ライト級10回戦  ウルバノ・アンティロン VS タイロン・ハリス

2009-07-20 22:05:48 | Boxing
アンティロン 5ラウンドTKO勝利

考察 ~アンティロン~

手数の選手と浜田氏は評するが、
コンビネーションをまったくと言っていいほど出さないな。
ガードを上げながら相手を観察し、隙間を狙って打っていくが、
いかんせんスピードが足りない。
その拳は硬質だが、U・ソトほどしつこくなく、
A・フレイタスほどの爆発力はない。
ディフェンスはガード一辺倒だが、アブラハムやシュトルムほど
鉄壁というわけでもない。
パッキャオ弟戦はあっという間に終わってしまい、
この試合はグダグダのまま根気勝ち。
世界を獲るにしても、かなり苦労しそうだ。
リナレス相手なら大差判定負け。
バレロと戦うと破壊されそうだ。
カチディスあたりと激突できれば、ひょっとすると…。

考察 ~ハリス~

一発の力なら相手より上だっただろうが、
ディフェンス、スタミナ、メンタルではボロ負け。
相手は上体を振らないのだから、間合いに応じて
ジャブ、フック、ストレートを使い分け、先手を取り続ければ
ポイントゲームに勝てる目算はたったはず。
相手に効かせる瞬間はいくつか作ったが、
自分がすでに効いていたためたたみかけられなかった。
結局自信が足りなかったわけだ。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 

2009-07-14 22:39:42 | Boxing
王者 長谷川穂積 VS 挑戦者 ネストール・ロチャ

長谷川 1ラウンドTKOで防衛成功

考察 ~長谷川~

ウィラポンとのリマッチで見せた右フックで実質的に勝負あり。
右のジャブでコツンコツンと相手ガードを小突きながら、
隙あらば撃ち込むというスタイルは、間合いとタイミングを
見切りさえすればKOはおのずとついてくる、という信念の表れだ。
前回同様、弟分の粟生にボクシングの手本を見せてやったのか。

考察 ~ロチャ~

いくらなんでもこれは弱過ぎる。
王者のジャブを払いもせで避けもせで、
無造作にガードの上を打たせるのは自信過剰か研究不足、
でなければ実力の無さでしかない。
まあ、指名挑戦者撃退後のマッチメークとしては許容範囲内か。

PS.
ある意味で一番楽しみだったのが高山の試合。
12ラウンドを戦いきったのは見事としか言いようがないが、
あの顔面崩壊ではむしろダイジェストが正解か。
逃げ切ったのか、それとも相手が緩めてきたのか、
減量苦で詰め切れなかったのか。
あまり肩入れできないボクサーだったが(過去のトレーナーの八百長発言・・・)、
決定戦を潔しとしないその姿勢は大いに”買い”だ。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ 

2009-07-14 22:34:35 | Boxing
王者 粟生隆寛 VS 挑戦者 エリオ・ロハス

ロハス ユナニマスディシジョンで王座奪取

考察 ~ロハス~

特筆すべき武器の無さがこの選手の特徴を物語る。
確固たるアマキャリアに裏付けされたボクシングは
ダンスさながらのフットワークと3~4発程度のコンビネーションを
間断なく打ち込むことで構築されており、
パンチ、スピード、フェイントの掛け合いのいずれでも
王者をほんの少し、だが確実に上回っていた。
1ラウンドで「この王者はカウンターとワン・ツー、右フックだけだ」
と見切ってからは早々にポイントゲームに着手。
先手を取ることと手数で上回ることをテーマに設定し、
それを忠実に実行したと言える。
カウンターを磨き上げ、出てくる相手を迎え撃つ気満々、という
ある意味で融通の利かないプランを練り上げた粟生とは対照的だった。
相手を選ぶことが出来ないアマボクシングで培ったring smartnessは本物で、
敵地での王座奪取によるメンタル面での成長も予想される。

しかし、穴がないわけではない。
試合前に発見したこのドミニカ人の唯一の欠点、それは極度の音痴であることだ。

考察 ~粟生~

2ラウンド終盤に早々と効かされたのが痛かった。
打たれ強さはかなりの程度生まれつきなので仕方ないと言えば仕方ない。
9種類のカウンターを用意したのは事実だろうが、
実際に利用できたのは右フック2種類に左フック・ストレート1種類ずつか。
それも中盤までだった。
田中繊大トレーナー曰く「S・マルチネスそっくり」らしいが、
ジムワークやスパーではではそういうボクシングをするのだろうか?
第1ラウンドに最初のパンチを放てなかった時点で勝負は決していたのかもしれない。
ボディワークの冴えは随所で見せつけたが、
オーソドックスのジャブとストレートを不用意にもらう悪癖は榎戦から解消されず、
プレッシャーをかけながら前進する様は勇敢の一語に尽きるが、
これをしながらでは手数が出ず、得意のカウンターすらも出せないという、
ラリオスとの2連戦での課題を引きずったままだった。
チャンスは2度だけ訪れたが、ゲームプランを崩されると手詰まり、
という今の状態では指名挑戦者をKOするなど思いもよらない。
返り咲きにはかなりの時間と修練が求められる。
これは課題の克服とダメージからの回復、両方のためだ。
いくらなんでも打たれ過ぎだぜ、粟生よ・・・

ワールドプレミアムボクシング予想

2009-07-13 23:39:13 | Boxing
WBC世界バンタム級タイトルマッチ 
王者 長谷川穂積 VS 挑戦者 ネストール・ロチャ

長谷川 判定勝利で防衛成功

ボクマガの戦力のレーダーチャートは何かの間違いだろう。
ロチャが長谷川よりもディフェンスが上だって?
KO防衛の予感が強いが、ポリシーとして長谷川の判定勝利を予想する。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ 
王者 粟生隆寛 VS 挑戦者 エリオ・ロハス

ロハス KOでベルト強奪

敢えて厳しい予想をする。
粟生にとってこの試合はかつてない試練となる。
ラリオスはすでにshot fighterだったわけで、
世界のトップと渡り合うのは榎戦に次いで2戦目。
アマの経験でも相手が上回り、高校六冠の看板はもはや通用しない。
序盤から中盤にかけて明確なダメージを与え、
試合の主導権を握る必要がある。
どうも最近の粟生はサウスポーの利点よりも欠点の方が目に付いて不安になる。
粟生のベルトへの執着心は相当のものだったという長谷川の談話があったが、
そこが逆に気掛かりだ。
ベルトを手に入れることだけが夢だった選手が、初防衛であっさり散る、
というのは世界の歴史のどこにでも転がっている話だ。
西岡ほどのメンタルタフネスを持ち合わせていない粟生には、
危険すぎる挑戦者に感じられてならない。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ
王者 ローマン・ゴンサレス VS 挑戦者 高山勝成

ゴンサレス KOで防衛成功

高山がどこまでスピードで相手を焦らせるかが鍵だが、
中盤には捻り潰されると見る。
パンチ力の有無だけで勝負が決まるものでもないが、
それだけで決まってしまうことがあるのも
ボクシングの理不尽さであり、また合理性でもある。
スピードで翻弄できる、と高山が一瞬気を許したところで
アゴにぶち込まれてKO負けだろう。


これらはどれも単なる予想。
しかも当たる保証などない。
観たいのは予想通りの試合ではなく、予想以上の試合なのだ。