BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBO暫定世界ライト級タイトルマッチ マイケル・カチディスVSホエル・カサマヨル

2008-04-28 22:28:48 | Boxing
WBO暫定世界ライト級タイトルマッチ マイケル・カチディスVSホエル・カサマヨル

カサマヨル 10ラウンドTKO勝利

老獪さと表現してしまえばそれまでだが、
試合前に立てたゲームプランをパニックに陥ることなく遂行できるのは
やはりベテランの妙味だ。
カサマヨルは左カウンターでいきなり出端をくじいたことで、
相手の右を封じることにかなり成功した。
爆発的な連打を誇るカチディスだが、カウンターを警戒するあまり、
右をガードに上げざるを得ず、もともとの追い足の不器用さも手伝って
中間距離を完全に支配されてしまった。
追い足そのものはあるのだが、真っ直ぐにしか追いかけられない。
多分、単純というか素直なんだろうな、カチディスは。
押せば相手は下がる、当たれば倒せると信じて愚直に攻める姿勢は
見る者の共感を呼ぶのだが、それが勝利につながるとは限らない。

カサマヨルはとにかく試合巧者。
初回から相手が出てくることを見透かしていた。
サウスポーということでレバーを相手に晒した状態で戦うが、
ボディへの被弾はある程度覚悟していたはずだ。
リングアウトさせられた次の回、逸るカチディスから逃げるでもなく
打ち合うでもなく、冷静にカウンターとボディワークで呼吸を整えたことが勝因。
10ラウンドに突き刺した左カウンターは、
初回と同じく相手の打ち気を読み取ってのもの。
年齢とともに身体能力は下降するが、
若い対戦相手に対して心理的な優位を保てれば
いくらでも勝負できるということが証明された。
ここがベテランとロートルの分かれ目。
ボクシングでは強い奴が勝つんじゃないんだ。
勝てるように戦う奴が勝つんだ。

IBF世界S・ミドル級挑戦者決定戦 リブラド・アンドラーデVSロベルト・スティーグリッツ

2008-04-28 22:27:47 | Boxing
アンドラーデ 8ラウンドTKO勝利

アンドラーデは生まれてくる時代を二重の意味で間違えた。
100年前のボクシングルールなら最強だろう。
そして、アンドラーデ自身の肉体というか遺伝子は
おそらく数万年以上前の原始人のそれだろう。
この時代に生まれてきたことは幸なのか不幸なのか・・・

相変わらずもろに被弾するが、全くダメージを感じさせず、
相手の打ち終わりに即座に打ち返す、または打ち合いに応じる。
一発で相手をなぎ倒すようなパンチを打つわけではないが、
肘をたたんでのショートパンチを縦から横から繰り出していく。
相手からすれば怖いだろうな。
ビデオで見ると「俺なら倒せる!」と思ってしまうのだろうが、
リングで対峙すると「こんなはずでは・・・」になってしまう。
スティーグリッツもハンドスピードを活かして
初回に攻勢を仕掛けるものれんに腕押し。
120%の力で打ち込んでるのに平然と前に出て来られたら
それだけで精神的に圧迫されてしまう。
肉体的な圧力に飲み込まれまいと自分から押し相撲を挑まざるを得ないが、
それでスタミナをどんどん消費してしまう。
最後のコーナーに押し込んでのラッシュはストップがやや早く感じるが、
あれは妥当なタイミング。
スティーグリッツは肉体的にも精神的にもすでに消耗しきっていた。
ストップ直後の表情でそれが分かる。
アッパーでアゴをはずされてたのか、ドクターがしきりにかみ合わせをチェックしてたね。

このアンドラーデに勝てるとすればケスラーのような
フットワークとコンビネーションを併せ持つタイプか、
決定力を持ったカウンターパンチャーだろう。
世界を獲る力は十分にあるアンドラーデだが、
ルシアン・ビュテに勝てるかどうかは未知数。
サウスポーで右を低く置いた半身の構えで相手を呼び込み、
左のカウンターを一閃する倒し屋とは良くも悪くも噛み合うだろう。
ビュテVSアンドラーデはタイムリーオンエアでお願いしますよWOWOWさん。

バンタム級10回戦 サーシャ・バクティンVS本田秀伸

2008-04-22 13:38:14 | Boxing
サーシャ 7ラウンドTKO勝利

本田もこの階級ではディフェンスマスターの面目躍如たらず。
ジャブをスリッピングで避けるのにも限界がある。
ミハレスですらナバーロ戦では全部を避けることはできなかった。
それでも3ラウンドのコーナーでのディフェンスワークは圧巻だった。
パンチを避けることに集中するということはダメージをこれ以上負いたくない、
より正確にいえば、ブロックの上からでも打たれたくないという意識の表れだ。
これにサーシャが若干いらついた。
当たればノックダウンさせられる場面で当たらないんだから。
ただ、本田の必死の抵抗もむなしく、ダメージの蓄積は大きかった。
フィニッシュは額賀戦でも見せた右から左へつなぐストレートのコンビネーション。
タオル投入は是非に及ばずといったところか。

しかし、サーシャのフリッカー、避けるのは無理でも上手にもらうことは可能では?
シドレンコを標的にしているはずだが、このジャブが通用するかどうかやや疑問。
威力、スピード、射程距離において世界トップのジャブであることは間違いないが、
シドレンコの技術ならジャッジに「打たれている」のではなく、
「打たせている」という印象を与えられるかもしれない。
ジャブを評価していく流れにある世界戦だが、
シドレンコをある種の先入観で評価するジャッジが存在してもおかしくない。
丁寧に上下を打ち分けるシドレンコの見栄えの良さが上回る可能性はある。

日本ウェルター級10回戦 上石剛VS牛若丸あきべぇ

2008-04-22 13:37:38 | Boxing
上石 1ラウンドTKO勝利

浦谷さん、あんた何やってんの?
もう40秒早く止めるべきだ。
止めないまでもスタンディングダウンを宣告するべきだ。
それともグローブ新調でKO量産を期待するJBCの思惑があったのか?
いや、タオルが投入されなかったということは
あきべぇ陣営は続行を希望していた?
アホか・・・

あきべぇは湯場戦の敗北を「勉強になった」と言っていたが、
何をどう修正しようとしてきたのか不明瞭だった。
ゴングと同時にジャブを繰り出して「おや?」と思わせてくれたが、
上石の右フックを横っ面にもらった瞬間、ガードを上げた。
トレーナーはあきべぇをどういうタイプに育てたいのか。
あきべぇの素質ではマッカラーやアンドラーデ、マルガリートにはなれないよ。
やけくそになって右フックを振り回さなかったのは前回からの成長と言えるが、
そこからは単調なリズムで左右を繰り出すだけになってしまった。
もともとパンチの強さ・重さはあるのだろう、上石をいとも簡単に退かせたが、
緩急をつけない連打の悲しさで、カウンターの左をもろに被弾。
事実上、ここで勝負あり。
後は単なる公開リンチで、見てて気持ちのいい光景じゃなかった。
何度でも言わせてもらう。
セコンドもレフェリーもアホだ。

あきべぇはもう引退した方がいいかもしれない。
心も肉体も壊れた(壊された)可能性がある。
ファイターとして生きていくなら少なくとも半年は休養して、
アメリカで武者修行してパンチの当て方ともらい方を勉強する必要がある。
新しいスタイルを模索するなら、これまた最低でも半年は休養して、
1年~1年半かけて練習を積み上げていく必要がある。

上石は初めて見たが、タイトル戦線一歩手前で8勝6敗とは信じられない。
が、1試合で壊れることもあれば、1試合で飛躍することもあるのがボクシング。
低い姿勢で頭を振れる、狙いすましてカウンターを放てるなど、
パンチ力は並みだが、練習したことをある程度は試合で出せている。
後は右のリードと返しの使い方だろうね。
タイミングが合えば日本タイトル奪取の予感は十分。
防衛できるかどうかは分からないが。

最後にまた一言。
TBS見るたびに思うのは「誇大広告をやめよ」ということ。
8勝6敗3分6KOなら上石のこの試合時点でのKO率は75%ではなく35%だ。
俺が公正取引委員会なら即刻修正させるぞ。

IBF世界フェザー級タイトルマッチ ロバート・ゲレロVSジェイソン・リッツォー

2008-04-21 22:08:10 | Boxing
8ラウンドKO勝利

インテリジェントなボクサーという印象があったゲレロだが、
この試合を見る限り完全にパンチャーに変身している。
フットワークとワン・ツーを基調にした正統派のサウスポーだったはずだが、
相手の懐でダックしながらスムーズに左右に体を振るところ、
右で相手の左をホールドしながら自らの左をボディにぐいぐいねじ込んでいくところ、
4ラウンドにローブローをもらっても動じないところなど、
インファイトの練習を積み上げてきていることが分かる。

7ラウンドは打ち疲れからか、突如ペースダウンしたが、
これでリッツォーが若干、息を吹き返した。
右がダイレクトで当たり始めてたからね。
と思ったら、8ラウンドにロングのアッパーを放り込まれ、
フォローの左ストレートで一つ目のダウン。
立ち上がったところをさらに痛めつけて左アッパー、左フック、右フックで10カウント。
見事なフィニッシュだったが、このスタイルを継続していくのか?
何故こんな選手生命を削るような闘い方をするのかと思ったら、
奥さんが白血病なのか。
生き急いでいるとも思えるようなファイトだったが、それも納得。
月並みな言い方になるが、精一杯闘って、悔いのない時間を家族と共に過ごしてほしい。

ACO統一世界クルーザー級タイトルマッチ デビッド・ヘイVSエンゾ・マカリネリ 

2008-04-21 22:06:47 | Boxing
ヘイ 2ラウンドTKO勝利

呼び込もうとするマカリネリとフェイントを駆使して攻め込もうとするヘイ。
マカリネリがジャブで必死に牽制するも、ミドルレンジではヘイがクイックネスで遥かに優る。
焦燥感に駆られて前に出たところでカウンターの右をもらった時点で勝負あり。
まあ、相手が悪かった。
マカリネリの繰り出したジャブはストレートに近い威力とスピードだったが、
ヘイはこれでマカリネリの内心の余裕の無さを読み取ったに違いない。
しっかり身体を作って、ヘビーの世界戦線に打って出る前に、
それなりのヘビー級相手に明確に勝てれば、あっさり世界を獲りそうな気がする。
もちろん、誰に挑むかによるのだが。
けど、今はヘビーも統一の機運が高まってるから、王座決定戦狙いか?

WBC米大陸S・ウェルター級王座決定戦 JC・チャベスJrVSホセ・セラヤ

2008-04-21 22:04:40 | Boxing
チャベスJr 8ラウンドTKO勝利

デビュー2年で20戦越え・・・
無茶な減量をさせずに実戦で鍛えていこうという陣営の判断か。
線は細いがまだまだ成長過程ということなのだろう。
世界挑戦は2年後にミドルでになるのだろうか。

フェイントから間髪入れずに左フックを突き刺したところに非凡なものを感じさせるが、
技の引き出しはまだまだ少ないかな。
中間距離でストレート、フックを突き刺していけばいいものを
近距離でねじ伏せられると過信してしまったようだ。
一方でストレート系は肩を入れて肘を伸ばし、インパクトの瞬間にしっかりを拳を握り込めている。
しかし、一発一発をきれいに振りぬきたい意識が強かったせいか、コンビネーションが全く出ない。
頭を振るでもなく、ガードを上げるわけでもなく、不用意に被弾するばかりで、
練習の成果は全く出せていなかった。
が、課題が見つかったという点では良い経験になったのではなかろうか。

セラヤは一言で表現すれば試合巧者だ。
頻繁にスイッチするところ、クロスレンジでは肘をたたんで肩を支点に
縦(アッパー)と横(フック)にポンポンと小気味よくパンチを繰り出せる。
バッティングもさりげなく上手い。
8ラウンドに右をもらって倒れた後は距離感を失くしていたようだが、
自分で手を振ってギブアップするか?
戦績(31-3)を見る限り噛ませ犬には見えないのだが・・・

WBA世界ウェルター級タイトルマッチ ミゲール・コットVSアルフォンソ・ゴメス

2008-04-14 22:16:40 | Boxing
コット 6ラウンドTKO勝利

コットが地力の違いを見せつけた。
ウェルターではサイズ、リーチともにかなり貧相だが、
それで相手にあれだけプレッシャーをかけられるのだから大したもの。
ジュダー、モズリーとビッグマッチを立て続けにこなしてきたこともあり、
リフレッシュを兼ねての一戦だった。
出入り、上下の打ち分け、スイッチなど、自分の技術の一つ一つを丁寧にチェックしているようだった。
ただ、メイウェザーとはまだやらないほうがいい・・・と思っていたら、次にマルガリート?
本当にそれでいいのか?
攻防分離から攻防一体へシフト中で、完成度も高くなってきたとはいえ、これは危険な選択。
キャリア初黒星を喫してしまうような気がしてならない。

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ カーミット・シントロンVSアントニオ・マルガリート

2008-04-14 22:01:33 | Boxing
マルガリート 6ラウンドKO勝利

中間距離でのジャブの遅さを、意外に上手いパーリングで帳消しにするマルガリート。
もろにパンチを食う場面もたびたびあったが、タフさで乗り切った感がある。
懐に入ってからはまさに水を得た魚。
内から外から自由自在。
持ち前の頑丈さも手伝ってインファイトを完全に支配した。
ガツンというパンチを結構もらってはいたが、
効いていなかったのか効いていないふりをしたのか。
いずれにしろ、シントロンにはプレッシャーになった。

シントロンはねえ・・・
6ラウンドに頭を切り替えたのか、強打ではなく小刻みな連打で距離を保とうとしたが、
「だったらディフェンスしなくていいな」とマルガリートに思われたのか、
ダメージの蓄積もあり、一挙に攻め落とされてしまった。
もともと勝てる要素が無かったね。
入場の時の表情も硬かったし、頻繁にレフェリーに助けを求めたところなど、
対峙した瞬間からマルガリートに呑みこまれていた。

なんか中学3年生と小学6年生がケンカしたみたいだった。

ライト級10回戦 ウルバノ・アンティロンVSボビー・パッキャオ

2008-04-14 21:58:54 | Boxing
アンティロン 1ラウンドKO

ボビーは兄貴への憧れを捨てたほうがよい。
サウスポーであるということ以外、共通点はない。
ウンベルト・ソトに弾き飛ばされたことから分かるように、
ファイターとしては世界レベルには程遠い。

アンティロンはどうすんだろ?
スーパーフェザーもライトも簡単に挑戦できる状況ではないが。

内山あたりが世界に出ようと思ったら、このレベルの選手に明確に勝つ必要がある。