BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界S・ライト級タイトルマッチ ジュニア・ウィッターVSビビアン・ハリス

2007-10-29 21:58:49 | Boxing
長射程の右に光明を見出したいハリスだが、当たらない。
ウィッターとハメドの違いはディフェンス。
スウェー一辺倒で結構コロコロ転がされていたハメドと違い、
ウィッターはバックステップで相手の射程外まで瞬間的に引く。
いいのをいくつかもらってはいたが、resilienceで乗り切った。
最後の左フックは一瞬の判断力と瞬発力の賜物。
左の足腰の踏ん張りから体側を軸に肩を綺麗に回していた。
33歳だが、体のバネ、キレはまだまだ失われそうにない。

WBO世界S・ライト級タイトルマッチ リカルド・トーレスVSケンドール・ホルト

2007-10-29 21:09:15 | Boxing
トーレス 11ラウンドTKO勝利

7ラウンドからガラリとボクシングを変えてきたホルト。
コーリー・スピンクスを髣髴とさせるリズムを脚と肩で刻んでいたが、それが消えた。
6ラウンドに奪ったダウンはファイトプランには無かったのか、
畳み掛ける展開にはならなかった。
攻め込むよりは呼び込みたいタイプなのか。
リズミカルなボクシングを貫ければ、勝つかどうかは別にして相当上手いだろう。
あと必要なのはkiller instinctか。
ドイツあたりなら大受けするだろうけどね。
以前に見たダイジェストの印象が強かったせいか、トーレスは全体的にキレが足りなかった。
11ラウンドの攻勢からの返しの左フックは見事。
レフェリーのストップがやや早かったように思えるが・・・

WBO世界L・フライ級タイトルマッチ ウーゴ・カサレスVSイバン・カルデロン

2007-10-22 21:51:32 | Boxing
カルデロン相変わらず走る走る。
確かにこれはトムとジェリーだ。
試合展開は亀田VSランダエタ2を彷彿させる。
カルデロンの出入りの瞬間だけ見れば坂田VSバスケス2のようでもある。
カサレスもカサレスで、ジャブから組み立てるべきなのに振り回してばかりでは駄目。
ジャッジに恵まれなかった面もあるが、明確に勝ったとは言えない内容だ。
カルデロンは二階級制覇を達成したが、防衛は厳しい。
この階級では何をどう頑張ってもリーチ差・体格差がつきまとう。
相手に冷静にゲームプランを実行されれば為す術が無いだろう。

WBO世界S・フライ級タイトルマッチ フェルナンド・モンティエルVSルイス・メレンデス

2007-10-22 20:59:54 | Boxing
モンティエル 12ラウンドTKO勝利

バックステップ際の左ショートアッパー、ダブルのリバーブロー、
中間距離での基本に忠実なジャブと相変わらず左に冴えを見せている。
相手を呼び込んでのスウェーからナチュラルにカウンターを取る様はリナレスのようでもある。
ダメージングブロー→アリシャッフル→連打でダウンを奪うという流れは見事だが、
ゴングが鳴ってからメレンデスをコーナーまで送る必要は無かった。
余裕を見せるのはいいが、油断してダウンを奪い返されては意味が無い。
決めるべきところで決め切る力を持っているのだから集中力の持続が課題。
サウスポーに苦手意識は無さそうだが、もしもミハレスが団体統一路線に乗り出せば、
真っ先に標的にされそうだ。が、メキシカン同士でそれはないか。
メレンデスの踏み込んで撃ち抜く左は威力十分だが当て勘の面でどうか。
パンチとスタミナは十分にあるのだから、こちらも集中力と冷静さを保つことが課題だ。

WBO世界ヘビー級タイトルマッチ スルタン・イブラギモフVSイベンダー・ホリフィールド

2007-10-16 00:43:42 | Boxing
イブラギモフ ユナニマスディシジョンで勝利

こちらはまるでウェルターかミドルあたりの試合に見えた。
両者ともにヘビー級とは思えないクイックネスを見せる。
ホリフィールドはサウスポーの左ストレートを警戒しつつ、
中間距離でのストレートの差し合いに光明を見出したかったが、
イブラギモフのサイドステップと右フックの切れがそれを許さない。
両者の年齢差を考えればフィジカルだけで勝負がついてもいいのに、
終始、純粋なスキル勝負が展開されたことが驚き。
B Hopあたりはこの試合にどういう感想を持つのだろうか。

WBC暫定世界ヘビー級タイトルマッチ サミュエル・ピーターVSジャミール・マクライン

2007-10-16 00:43:17 | Boxing
ピーター ユナニマスディシジョンで勝利 

マクラインは4Rに畳み掛けていれば・・・と思う。
急遽ピンチヒッターとして暫定タイトルマッチに登場したということだが、
スタミナ切れが痛すぎる。
ピーターはよく頑張ったね。
ヘビー級らしからぬジャブで中間距離で主導権を握って
一気に懐に飛び込んで勝負・・・はある程度はまったが、
右ショートアッパー被弾は計算外だっただろう。
都合3度のダウンのダメージを挽回した試合運びは見事。

内藤大助VS亀田大毅 雑感

2007-10-14 16:09:31 | Boxing
本来ここは観戦日記なので、こういう内容は書くべきではないのかもしれない。
それでも色々と思うことがあるので書いておこう。

端的に言ってボクシングは暴力だ。
もしボクシングをリング外で行えば即、逮捕だ。
それが格闘技として、スポーツとして受け入れられるのは
ルールが存在し、ルールが守られるからだ。
ボクシングが興行としてTVで放映されうるのは
視聴者が暴力ではなく技術を楽しむ限りにおいてだ。

もっとも、ボクサー同士の個人的因縁や背景は
勝負を彩るある種のスパイスとしては作用する。
その効果は否定すべきではない。
しかしながら、ボクサー自身の力量を超えた演出は
ボクシングという技術戦の持つ醍醐味をスポイルする。
どのような試合展開になるのかが注目されるのではなく、
どちらが勝つのか、その点にスポットライトが当たってしまう。

もちろん、ボクシングはスポーツであり、勝敗を競うものだ。
ボクシングにおける勝敗は判定もしくはKOにより決まる。
このKOというのがボクシングの華だとされる。
ボクシングが他のスポーツ、たとえば野球やサッカーなどの球技と異なる点は、
大量リードされた終盤でも、たったの10カウントで勝負がひっくり返るところにある。
また、ラウンドごとのスコアの振り分けも他のスポーツに比して不明瞭だ。
野球やサッカーであれば得点は明確だ。
ランナーがホームベースを踏む、ボールがゴールラインの内側に入る。
しかしボクシングは違う。
両者に同時に得点が入るのだ。
その得点は三人のジャッジにより優劣をつけた上で与えられるのだ。
ボクサーはこの得点でいかに相手を上回るかを想定して試合を行い、
ファンはラウンド毎の優劣を考察しながら試合を見守る。

KOとはある時、突然生まれるものではない。
KO決着の試合も往々にしてそこに至るまでの伏線が散りばめられている。
また、KOで決着が着かなくとも世界戦の12ラウンドの長丁場を堪能することは可能である。
例えば、一発の破壊力を頼みにポイント計算せず戦うファイターを
アウトボクサーがフットワークやボディワークを駆使して華麗にあしらうという構図は、
ファイター側には終盤においてもKOへの期待感が持続するとともに、
アウトボクサー側には相手をどこまで自分のコントロール下に置けるかという緊張感がある。
そこには対戦相手との間断ない駆け引きがある。
肉体的なスタミナ、精神的なスタミナの勝負がある。
それらを楽しむのもボクシング観戦の醍醐味の一つだ。

ボクシングは危険な競技だ。
相手を殴り、相手に殴られることが求められるのだ。
見る側がそれを暴力ではなくスポーツとして享受できるのは、
ルールを守り、技術を楽しむからだと冒頭に述べた。
内藤大助VS亀田大毅はどうだっただろうか。
王者と挑戦者のあまりにも対照的な背景と両者の因縁。
その部分を少しクローズアップしすぎではなかったか。
試合そのものの実況と解説もあまりにも一方的ではなかったか。
実況は試合展開を的確に伝え、解説は技術を分かりやすく語ったか。

そして一番の見所である試合そのものは世界タイトルマッチにふさわしいものだったか。
挑戦者は基本的なディフェンス技術に欠け、攻撃においても手数がまったく出せない。
パンチではなく頭とサミングで王者の傷を狙うその姿勢。
そして極めつけのレスリング行為。
実力差を埋めるための反則ではなく、実力以外で勝負したいがための反則。
王者が防衛したことでボクシングファンの溜飲は下がった。
もし、最初から最後までクリーンなボクシング勝負ともなれば、
文字通り大人と子供の試合になっただろう。
内藤が亀田を技術的に圧倒したはずだ。
しかし今回は、後味の悪い試合になったことでボクシングの攻防の妙味ではなく、
勝者と敗者、そして反則行為だけが語られる試合となってしまった。
挑戦者陣営の試合前、試合中の許されざる言動の数々と、挑戦者の若さ以前の愚かさ、
さらに公共の電波による一方的、差別的な放送姿勢が、
熱心なボクシングファン以外の層にボクシングの魅力を伝える絶好の機会を潰してしまった。

繰り返しになるが、ボクシングはスポーツとして管理された暴力である。
それを成立させるためにはボクサーのスポーツマンシップが絶対に必要だ。
ボクサーはルールを遵守した上で戦わなくてはならないし、
メディアはボクシングというスポーツの正しい姿を正確に伝えなくてはならない。
亀田一家には厳正な処分が必要だし、TBSの報道姿勢も問い直されなくてはならない。
ボクシングは本当に面白いし、素晴らしい競技なのだから。

WBC世界フライ級タイトルマッチ 内藤大助VS亀田大毅

2007-10-11 22:59:01 | Boxing
内藤 ユナニマスディシジョンで勝利

試合展開

1R
内藤はフットワークを使いつつボディ、側頭部へパンチをこつこつと当てていく。
独特のリズムだ。ジャズでもロックでもない。あえて言えばヒップホップか。
大毅はいつもどおりの亀ガードで顔面へのヒットは許さないものの、手がまったく出ない。
こちらはリズムそのものが存在しない。こんなボクサーは珍しい。

2R
大毅が内藤をロープに詰める場面もあるが、やはり手が出ない。
出たとしても手打ち。これではダメージを与えられない。
内藤は左右のフックをひっかけながらリングを円く使っていく。ストレートがボディにヒッする。

3R
内藤が大毅の押し相撲を押し返していく。
中間距離から飛び込んでの左のダブルやショートパンチが効果的。
大毅は相変わらず手が出ない。得意のはずのクロースレンジも内藤に支配されている。
内藤が右目尻をカットするもこれはバッティング。2分24秒時点での両者の仕草を見れば分かる。
しかし、オフィシャルはこれをヒッティングによるものと判断。

4R
内藤が左を伸ばして距離を生む。中間距離は完全に内藤のもの
回転の速いフックとダッキングで亀田に有効打を許さない。
亀田は内藤を押し込むものの、それだけ。やはり手数が足りない。
公式採点の途中発表は40-36、39-37、39-37で三者とも内藤を支持。 

5R
大毅、やや手数が出るようになったものの腰も肩もまわらない手打ち。
中間距離での大毅の左フックが面白いように空を切る。押し込まれる内藤はクリンチで対処。
左右のフックを大毅の顔面、ボディへと的確に当てていく。

6R
内藤はフェイントを交えつつフック主体で攻める。亀田は相変わらず手が出せず、
ロープに追い込むだけの展開。内藤をあっさり脱出させすぎている。
ガードを上げすぎて相手の動きが見えていない。

7R
前進する大毅、距離をとる内藤。打ち合いでは内藤の的確さが大きく上回る。
大毅のパンチは総じてナックルが返っていない。頭を低く突っ込んでくる大毅に内藤がエキサイト。

8R
相撲かと思えるほどの頭の擦り付けあい。近距離でも内藤のパンチは的確に大毅を捉えている。
大毅は押し込んでから連打を繰り出すが、やはり手打ち。ローブローも混じっている。
これではダメージも与えられないし、ジャッジへのアピールもできない。
公式採点の途中発表は78-74、79-73、79-73で三者とも内藤を支持。 

9R
大毅は頭をぶつけすぎ。そりゃ内藤もエキサイトするわ。
内藤が牽制の左から右ストレートで中間距離をコントロール。
頭に血が上った大毅が内藤を投げ飛ばす。ここからは喧嘩マッチ。
両者もつれ合って倒れたところで内藤が大毅の後頭部に一発お見舞い。
当然、内藤に対して減点1。大毅はここで手数出せればいいのだが、やはり出ない。

10R
足を止めての打ち合いに押し相撲。大毅、かなりスタミナをロスしているようだ。
体全体に力が感じられない。かなり上体がアップライトになっている。
両者ともに手が出ないが、一発一発の的確さでは内藤が明らかに上。

11R
大毅、完全にガス欠。背中が思いっきり丸まっている。
中間距離ではアップライトになりすぎている。
内藤はダッキングからの左右フック、ワン・ツー・スリーを繰り出していく。
リング中央でクリンチ合戦の様相を呈するが、内藤が歩いて大毅を押し込むようになってきた。

12R
意を決したように大毅が左フックを再三振るうも虚しく空を切る。
自分の武器の射程距離が分かっていない。
大毅が内藤を押し倒し、レスリング行為で減点1。また投げる。さらに減点2。
失格負け狙いか?アストライドポジションからパンチを振るう内藤をまたも投げる大毅。
今度は内藤がお返しのタックル。もう何が何やら。
大毅、押し込むだけで内藤のパンチを為す術なく喰らうのみ。

12R判定 117-107、117-107、116-108で内藤が圧勝

総評
中継は音声なし、録画は音声ありで観たが、解説と実況が滅茶苦茶だ。
試合内容もとても世界タイトルマッチとは言えない。
もちろんそれは亀田大毅の技術不足からくるもの。
イーグルVS八重樫、ミハレスVS菊井、ムニョスVS相澤並みのミスマッチだ。
この試合を見る限り大毅は日本の下位ランカーレベルということが分かる。
12R初体験だからか減量の影響かは分からないが、そもそも体力不足。
さらにガードを固め過ぎ、ボディワーク無さ過ぎ。
兄貴と同様に顔面を打たれるのを怖がっているとしか思えない。
上半身も下半身もガチガチだからパンチ力(かなり疑問だが)が活かせない。
本来の階級はスーパーフライということだが、
ミハレスとやればなぶり殺し、ムニョスとやれば瞬殺されるだろう。
試合中さんざん首を傾げていたが、勝てると思っていたのか?
当たれば倒れる、押せば退く、と信じていたとすれば相当におめでたい。
内藤は見た限りでは固さはなかったものの、気負いすぎだ。
まあ、それもむべなるかな。あれだけ侮辱されれば、ね。
KOはできなかったものの大毅をたこ殴りにしての勝利。
おめでとう。

WBCフライ級タイトルマッチ 内藤VS亀田大毅 予想・展望

2007-10-10 23:24:21 | Boxing
1R
グローブタッチを拒否していきなり飛びかかる大毅
これを軽くかわす内藤
ゴング直後の一発が空振りしたことで、大毅はサークリングを開始
打ち合いはなく3分が経過
2R
大毅、亀ガードで内藤ににじり寄るも
内藤がガードの隙間をコツコツと叩く
ロープ際に追い詰められても冷静に脱出
3R
大毅、持ち前の左フックを振るうも内藤がダッキングで軽くかわす
内藤の左右のショートアッパーが効果的にヒット
大毅の鼻から出血
4R
大毅が中間距離から右ストレート→左フックの
コンビネーションを見せるが当たらない
無造作に出した大振り左フックで体勢を崩したところに
内藤の打ち下ろしがヒット
大毅ダウンを喫するも立ち上がったところでゴング
5R
亀ガードで前進してくる大毅に内藤の右アッパーが炸裂
内藤はふらつく大毅を追撃
コーナーに押し込んでの連打でレフェリーが試合を止める

ガッツポーズをとる内藤に亀田親父が突撃
陣営同士の乱闘に発展
アナウンサー「えー、いったんCM入ります」
で、フェードアウト・・・って何だこりゃ?

WBCインターナショナルS・フェザー級タイトルマッチ

2007-10-08 22:46:32 | Boxing
マニー・パッキャオVSマルコ・アントニオ・バレラ

パッキャオ ユナニマスディシジョンで勝利

4 years in the making の Will To Win。
パックの突進からの突き刺すような左ストレートを封じるために、
左ジャブ、左フック、右のフェイント、サークリング、パリーを駆使したバレラ。
パックの鋭いステップインをある程度までは押さえ込めたが、
攻撃の際に倒しにかかる力が感じられなかった。
そこまで余裕がなかったのか判定狙いだったのか。
ラストファイトを公言していたのだから散るなら華々しく、は望みすぎか。
パックマンは良い意味で相変わらずの試合運び。
左ストレートを少し封じ込まれた感があったが、
左で飛び込んでからの相手の左へのステップ、そこからの返しの右が冴えていた。
フィリピン旋風はまだまだこの男を中心に吹き荒れるだろう。