BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

大阪鶴橋焼肉探訪記 其の参

2012-05-11 01:27:38 | Private
母の日プレゼントの前倒しで、父母を伴って大阪は鶴橋へ。
其の弍は書けない事情があったが、今回は大丈夫。
そう、懲りずに徳山昌守経営のまる徳について書く。

厨房側をちらりと覗くと、色鮮やかな金髪が見える。
店主である。
軽く会釈し、笑顔でファイティングポーズを取ってみせると
あちらもファイティングポーズと笑顔を返してくれる。
ボクサーとしての本能だろうし、商売人としてのマナーでもあろう。

ソファ席についてまずはウーロン茶からキムチ盛り、野菜焼き、
ナムルにホルモン4種セットと上タンに特製ハラミを頼んでいく。
ふと壁に目をやると、様々なPOP類が。

「肉質には自信があるのでタレは薄目ですが、
 パンチを求める方はヤンニョンとすりおろしニンニク~」

「これでスタミナばっちり スタミナ丼」

などなどの、ある意味で関西人が大好きな自虐ネタにもなりかねない
宣伝文句に、徳山の商売人気質と本気度を見る。
混まない時間帯を狙って予約を取ったので、
案の定、店主はテーブルまで来てくださった。
徳山の能力は認めつつも、エキサイトに欠けると評していた我が父も
あの笑顔と声と折り目正しさの1・2・3コンビネーションにKOされたようで、
自分から握手を求めていく。
当然写メもゲット。
しばらく自分、父、徳山の3人でボクシング談義をし、
徳山の過去の激戦(vsペニャロサなど)や
最近の日本のボクシングシーン(内藤、清水や西岡)にも話が及ぶ。
2年前に訪れたときにはエキサイトマッチを観る暇もないと
こぼしていた店主・徳山も最近は観られるぐらいの余裕が出てきたようで、
メイウェザーvsパッキャオを独自の視点で語ってくださった。

8年間待ち望んでいたベイビー(娘さん)も去年誕生したということで
徳山氏の人生もまさに順風満帆というところだろう。
名前は(あの有名な)奥様がつけた可愛らしいものだが、
徳山ネーミングでは可愛らしい語感に勇ましい漢字が当てられ、
「それだと成長したときにしずちゃんみたいにボクサーになると
 マスコミに期待されるのでは?」と話を振ってみたところ、
「いやあ、娘が何してもいいンすけど、ボクシングだけは……」
と、いつぞやのテレビ番組の西岡とまったく同じ反応を示した。
男親の本能知るべし。

まる徳にはいろんな客が来るらしく、芸能人からスポーツ選手(辰吉!)まで
色紙や写真が飾られているが、何よりも嬉しく思ったのは
ボクシングファンと店主が密に交流しているところ。
海外boxing newsを紹介している某ブロガーGさんもたまに来るのだとか。
色紙へのサインとアイスクリーム無料サービスを受けてしまったこともあるので、
少しでも店の宣伝になればとブログに書いてしまいましょう。

また来月の父の日前後に食べに行くとしよう。
願わくば、西岡チャンプとばったり会ってみたい。

WBA世界Sウェルター級タイトルマッチ

2012-05-06 20:23:07 | Boxing
王者 ミゲール・コット VS 挑戦者 フロイド・メイウェザー

メイウェザー 判定勝利

考察 ~メイウェザー~

スピードがやたらと強調されるが、単純な一瞬のクイックネスや
フットワークも含めた体全体のスピードということなら
全盛期のR・ジョーンズやS・マルチネスの方がありそうだ。
注目すべきはパンチングモーションにおける軸の美しさ。
この試合で最も象徴的だったのは右フック。
前に出ているコットの左腕によるフックよりも、
後ろに構えているメイウェザーの右フック方が着弾までが速いという実感。

前戦ではサウスポー相手に右を的確に当てていたが、
この試合ではオーソドックス相手にミドルレンジから右フックを当ててきた。
しかも右耳直撃コースに3連打を見舞うなど、
鼓膜ならびに平衡感覚に直接ダメージを与えることを企図していたかのようだ。
さらに左アッパーによる突き上げ。
ショートのアッパーもロングのアッパーも的確にガードの隙間を縫っていた。
元々コットの八の字ガードがアッパーに弱いことを差し引いても、
パンチのprecision & accuracyにおいてはコットのvsパッキャオ戦以上だったと言える。

また管理人がコット勝利のキーとして挙げていたプレッシャー。
ロープに追い詰められる場面を幾度となく作ったが、
自ら誘い込んでいるのかと錯覚させるほど、近距離での応酬でも正確さで上回った。
またL字ガードからショルダーブロックならぬ
ショルダーグレイズ(graze)とでも形容したくなるディフェンス技術。
インサイドで相手のプレッシャーをまともに受けながら
それでも最低限しか打たせないのは反射速度の差もさることながら、
下半身の安定と上体の軸のブレなさを高域で融合させているからだ。

課題として浮き彫りになったのはスタミナ。
L・マーチャントならずともメイの鼻血を見るのは久々で、
8ラウンド以降の失速と合わせて気になるところ。
年齢による衰えがついに顔を出したのか、
階級不適合か相手のプレッシャーが予想以上だったか。
これまでのメイウェザーは試合ごとに
「なぜこれほどの力量を持ちながらパッキャオを避けるのか」と疑念を抱かせたが、
この試合後に限って言えばパックと戦いたがらない理由が少し透けて見えた気がする。


考察 ~コット~

争点とすべきはconstant pressure。
battlefieldはコーナー、ロープ。
武器はボディーブロー。
ゲームプランに間違いはなく、自身でもそれを実行できたが、
相手のelusivenessが想定以上で、またパンチのprecisionも想像以上だった。

ループしてくる右フックに左耳あたりを数限りなく痛打されたことで
かなりのダメージを負ったと思われるが、vsパッキャオ時のように
バックペダルを踏み続けるばかりでなかったということは
メイウェザーのパンチもシャープには見えるが、
パッキャオのパンチほどにはmind breakさせないということか。
このあたりは今後のメディアのインタビューなどで明らかになるだろう。

Back on topic.
ボディは自身が予定していたほどには当たらず、
また顔面はさらに遠かったが、中盤のラウンド(6?)で、
リング上の巨大場内スクリーンでロープ際の攻防のリプレイを観たあたりから
急に生き生きとしてきたようだ。
拳に当たった感触はなくとも映像で当たっていることを確認できたからか。
ボクサーは思わぬことから調子を崩し、また調子を取り戻す。
試合中であれば尚のことで、長丁場を最初から意識していたコットにしてみれば、
逆にメイウェザーの失速に合わせて調子が上向いてきたのだろう。

序中盤にはボクサーとしての完成度の違いを見せつけられた観があるが、
デラホーヤ以来か、もしかするとそれ以上にメイウェザーの底(がどこにあるか)を
ある意味で我々に見せてくれたとも言える。
12ラウンドにはあわやというトラブルに陥ったが、
determinationとexperienceとboxing savvyで乗り切った。
マルガリート戦、そしてパッキャオ戦のKO負けは逆にコットを強くしたのか。
コット自身の口からパッキャオとメイウェザーの具体的な違いが何かを
早く聞きたくてならない。

WBC世界Sウェルター級タイトルマッチ

2012-05-06 16:58:04 | Boxing
王者 サウル・アルバレス VS 挑戦者 シェーン・モズリー

アルバレス 判定勝利

考察 ~アルバレス~

怖いもの知らずなボクシングをするのは、
未だ怖いものを経験していないからだろう。
すでに峠を転げ落ちたベテランではなく、
油の乗り切った試合巧者を向こうにまわしたとき、
ごまかされ続けてしまうという危うさも感じさせる。
構図としてわかりやすいのはパブリックvsマルチネス、
もしくはトリニダードvsホプキンス。
アルバレスにとっての最初の壁はまだ現れていない。
老獪な試合運びの裏にはどこかの島国のボクシング一家の
長男的な要素も実は潜んでいたりするのかもしれない。

パンチにしても絶賛されるほどの威力を持っているとは思えず、
野球の投手に喩えるなら横浜、読売のクルーンといった感じ。
速いが伸びがない。
またはミットにはめり込むが、バットを叩き折ることはない。

評価は着実に上昇してきているものの、ステージが上がるにつれ、
確実にexposeされてきてもいる。
パッキャオだメイウェザーだと騒ぐ前にクロッティと戦って欲しい。


考察 ~モズリー~

すっかり負け役が定着してしまったが、
素直に踏み台にならないところにこの男の執念を垣間見る。
ジャブを多用する立ち上がりから、一転してクリンチ作戦に行くのは、
スタミナへの不安、相手のプレッシャーの強さもあるのだろう。
バッティングを多発させる選手には共通点があり、
例えば徳山、30代後半以降のホプキンスなどは最初からパンチとヘッドが
見事に連動した体捌きを見せるものだが、
モズリーの場合は戦略的なバッティングとは言えないし、そうは見えない。
クリンチありきで頭から攻め込むスタイルは洗練されているとは言えない。
パンチを企図しながらクリンチ。
これをしないので何度も名指しでレフェリーに注意されてしまうのだ。

中盤以降はボディも顔面も利かされ苦しい展開だったが、
前戦のようなバックギア全開にならず、またロープを背負わせての
小パンチの高速回転連打(vsマルガリート)や叩きつける右フック(vsメイウェザー)など、
明らかにパッキャオ相手に見せた狼狽、さらに言えば恐怖を
この日は明らかに感じてはいなかった。

ということはリングで相対して初めて分かる何かが
やはりボクサーにはある、もしくは無いということか。
パッキャオにダウンを喫した時の表情を見るに、
「痛ったぁー」という感じだったが、アルバレス相手には
そんな表情・素振りはなかった。

There is something about Pacquiao's punches. ということなのだろう。

IBF世界フェザー級タイトルマッチ

2012-05-06 15:33:21 | Boxing
王者 ビリー・ディブ VS 挑戦者 エドゥアルド・エスコベド

ディブ 6ラウンド終了TKO勝利

考察 ~ディブ~

山口戦をYouTubeで観た日本のファンは多いはずで、
少々トチ狂った面があることは承知していたが、
これほどまでとは思わなかった。

ラフだとかワイルドという表現で済ませられないクレイジーさがある。
リングの中では人格が変貌するとかいうわけでもなく、
ナチュラルに精神に偏りがある(=人格円満ではない)のだろう。
精神的に成熟しなかった矢吹ジョーというのがこんな風になるのだろう。
あの漫画のハイライトは刑務所内でのボクシング大会だ。
ルール無用で生きてきた悪ガキが、自らルールに縛られたスポーツの世界に
飛び込んでいく、順番を守らないヤツは袋叩きにしてしまうという場面が
《あしたのジョー》における白眉だと思う。

山口戦以来、この選手の情報は積極的に取り入れてはいなかったが、
普段のリング外での言動が気になってきた。
トレーナーとの相性は?
奥さん、ガールフレンドはどうだ?
両親、兄弟姉妹との関係は有効か?
マスコミ受け、そしてボクシングファン受けは?
某島国の兄弟みたいな言動で対戦相手のレベルも
自身のボクシングスタイルもずっとこうならば、
人気『だけ』は地元では高いだろう。


考察 ~エスコベド~

ジャブで相手を止められないと見てからは常に受身の体勢だった。
王者の反則上等のスタイルゆえか、もしくは序盤のローブローが
実際に効いてダメージを引きずったのか、それともゴング直前の
グローブタッチの時点で精神的に呑まれたのか。
答えはそのいずれでもあり、またいずれも決定器な答えではないのだろう。
メキシカン特有のfighting spiritを披露してくれるのを期待したが、
イかれた奴が相手では歴戦の経験や技術も活かせない。
ジャブでは止められず、カウンターは要所でヒットし、
確実に効かせた瞬間も幾度もあったが、踏み込みの意志に最後まで欠けた。
長谷川の世界戦前のテストにちょうどいいぐらいの相手かもしれない。

コット VS メイウェザー 予想

2012-05-05 23:10:30 | Boxing
WBO世界Sウェルター級タイトルマッチ

王者 ミゲール・コット VS 挑戦者 フロイド・メイウェザー

予想:メイウェザーTKO勝利

判定勝ちが妥当なところだろうが、敢えてこう予想する。
コットのディフェンス意識の変化と実際のスタイルの変化、
そして必ずしも良いコンディションにはつながっていない
スーパーウェルター級という階級。
メイウェザーの的確なカウンターを浴び続け、
終盤に無念のストップ負けとなる可能性が高そうだ。

逆にコットの勝機があるとすれば、
階級への適応度の違いを主張するしかない。
具体的にはジャブの重さの違い、
耐久力の違い、プレッシャー、押し合いの強さなど。
ただ、コットはパッキャオ戦の初回にこれらの項目の
いずれの点でも明確に上回りながら、
続くラウンドから突然圧倒され出したという前科がある。

コットは嫌いな選手ではないが、管理人の評価はそこまで高くはない。
このマッチメーク成立を当てた感覚そのままに試合予想も的中させたい。