BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBCフライ級タイトルマッチ 王者 ローマン・ゴンサレス vs 挑戦者 ブライアン・ビロリア

2015-10-19 23:53:02 | Boxing

 結果 ゴンサレス 9ラウンドTKO勝利

 考察 ~ゴンサレス~

 ゴロフキンとも共通する点だが、どのパンチでもナックルがしっかり返っている。
 高く構えたガードをそのままに、上半身の折り曲げる角度を微調節しながら、
 距離を測定し、またどのような姿勢・態勢からでも、腰の入ったパンチを打つことができる。

 ラッシュ時にも決して冷静さを失わず、左ジャブからの展開を崩さない。
 井岡にもその冷静さは見られるが、井岡の場合は脳で思考しながら、
 ゴンサレスは体が本能的に動いている感じ。
 Practice this move till it is second nature.という表現があるが、
 この連打力はもはやsecond natureだ。

 一言、強い。
 フライウェイトのゴンサレスでもバンタムウェイトの亀田興毅に勝てそう。


 考察 ~ビロリア~

 相手の右に思い切りかぶせる左は数発しかヒットせず、
 なおかつダメージングブロー足り得なかった。
 また単発強打のカウンターやコンビネーションもたびたびヒットさせたが、
 相手のガードは打ち破れなかった。

 対照的に自分のガードは相手のパンチに何度もブチ壊され、
 パワーの違いを肌で感じたことだろう。
 しかし、その表情は試合を通じてどこか晴れやかだった。
 
 おそらく『俺は今ボクシングをしている』という充実感を
 久しぶりに味わっていたのだろう。
 ナイスファイトだった。
 

WBA・WBC・IBF世界ミドル級王座統一戦 ゲンナディ・ゴロフキン vs デビッド・レミュー

2015-10-18 13:09:53 | Boxing

 WBAスーパー・WBC暫定王者 ゲンナディ・ゴロフキン vs IBF王者 デビッド・レミュー

 結果 ゴロフキン 8ラウンドTKO勝利

 考察 ~ゴロフキン~

 KOパンチャーではなく純正ジャバーとしての側面が色濃く出ていた。
 『レミューのことは1%しか恐れていない』という試合前インタビューもあったが、
 実際の警戒度は10%ほどだったか。

 左グローブの位置そのままに繰り出され突き出されるジャブは、
 確実に相手の鼻骨と精神を削った。
 レミューの鼻骨にはヒビぐらいは入ったのでは?

 ジャバーであること以外にもフェイントの達人としての側面も際立った。
 自分と相手を結ぶ線の先にコーナーを置いた時、
 相手を半歩退かせる目のフェイントを使っていたように感じられる。
 実際にはテレビには絶対映らない角度だし、
 リングサイドで見ていても分からない類のフェイントだ。
 
 エキサイティング度はゼロになるだろうが、
 一試合、いや一ラウンドだけでも真上からの俯瞰カメラ視点で
 この試合を見直してみたい。
 ネットでそういう好事家向けのサービスが生まれないかな。 


 考察 ~レミュー~

 ファーストコンタクトから劣勢は明らかだった。
 距離の違い以上に、ジャブの初動の大きさの有無が大きかった。
 これまでの対戦相手なら、威嚇のジャブから連打のコンビネーションであっさり後退してくれたが、
 GGGの半身からのショルダーブロック、ストッピング、ブロッキング、バックステップの組み合わせを
 最後まで攻略できなかった。
 起点となるジャブの打ち出しに、必ず膝、腰、肩、肘の小さなモーションを伴う。
 もちろん、これもセオリー。
 距離、角度、タイミング測定のジャブではなく、連打の始点のジャブ。 
 そこを研究されていた。

 ぐいぐい前に出る展開になれば強いが、
 それならば前に出させなければよい、というゲームプランを冷静かつ忠実に実行した相手を、
 臨機応変に上回れなかったという意味で、完全なる実力負け。
 ストップのタイミングはやや不本意だったかもしれないが、
 リプレーを見ると最後の瞬間は自分からレフェリーに視線を投げていた。
 
 商品価値は下がっていない。
 D・ジェイコブス、J・カークランド、またはGBP離脱組のA・アングロやE・ララなど、
 相手はまだまだいくらでも見つかる。

WBA世界Sフライ級タイトルマッチ 王者 河野公平 vs 挑戦者 亀田興毅

2015-10-18 00:26:27 | Boxing
 河野 3-0判定勝利

 考察 ~河野公平~

 相変わらずジャブが出ないが、接近戦での足運び、頭の置きどころ、
 パンチの角度と緩急は明らかに挑戦者よりも上のレベル。
 シルエットだけを見れば、GAORAやG+で観られたような、
 日本ランカーになりたてほやほやのランカーのようだが、
 手数の多さとそのまとめ方は非常に上手い。
 
 当たるパンチ、例えば序盤では右ボディ、中盤では右アッパー、終盤では右ストレートと左フックを
 効果的に使えていた。
 被弾も多かったが、これはいつものこと。
 大毅とのガチンコの打ち合いが実現すれば、
 八重樫や高山に続いて激闘王を名乗ることができるが、
 これ以上亀田家と関わる必要なし。


 考察 ~亀田興毅~

 あれだけ肩に力を込めていては、パンチが伸ばせない。
 強く打つことと、ダメージを与えることは同義ではない。

 見せ場をいくつも作れたにもかかわらず、
 なぜ余計なガッツポーズを見せるのか。

 また、これまで管理人は素の興毅は割と素直な好青年かもしれないと思っていたが、
 悪びれずにローブローを打ち続ける、ストップの声を聞いてからの加撃、
 ゴング後の肘を当てにいったパンチなど、とてもまともな精神状態で
 ボクシングをしているようには見えなかった。
 
 松岡修造は早い段階で錦織圭の才能を見抜き、自分から彼を手放したが、
 亀田の親父に同じだけの炯眼と度胸があれば、
 日本ボクシング界はどのような道筋をたどっていたのだろうか。

 このタイミングでの引退は正しい。
 勝っても負けてもいばらの道。
 山中や井上と戦えば、心と顎の両方をたたき折られるだろう。