BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界フライ級タイトルマッチ 坂田健史VSデンカオセーン・シンワンチャー

2008-12-31 19:11:34 | Boxing
デンカオセーン 2ラウンドKO勝利

敗れた坂田を「不甲斐ない」と罵るのは簡単だ。
立ち上がりの悪さを克服できない点を責められるのも当然だ。
リングの上で起こったことが事実であり真実だからだ。
内藤と比較され、亀田とも比較され、穏やかな精神状態ではいられなかったと察するが、
この男の生き様を否定することはボクサーの尊厳の冒涜に等しい。
すでにその高邁なる精神を失って久しいWBAという老舗団体において、
律儀に指名挑戦者を迎え、そして華々しく散っただけのことだ。
スロースターターであることは欠点でも弱点でもない。
それは坂田の『特徴』だと管理人は主張したい。
単なる詭弁ではないのか?との問いかけに答える用意はあるが、
ひとまず坂田について語るのはここまでにしたいと思う。
6ヶ月ほどゆっくり休養をとって、またリングに帰ってきてほしい。

王座の強奪に成功した強打の挑戦者だが、ファーストコンタクトで
勝利への自信が確信に変わったのではなかろうか。
仕上がりの良さを強調していた王者陣営とは対照的に、
寒い12月かつ敵地、それも東京や大阪のような大都会と違い、
数少ない在日タイ人の応援も期待できないローカル大都市広島とあって、
管理人は坂田の僅差防衛成功を予想していたが、
デンカオセーンのフィジカルとメンタルの充実、
そして前回対戦で掴んだ王者坂田のイメージが、
序盤での速攻で仕留めるというゲームプランを完璧に遂行せしめた。
右をアゴの下で溜めながら、左を上下に散らし、
隙あらばビッグパンチを打ち込むことを常に念頭に置いており、
ガードの隙間を縫って打つとともに、時にはガードごと弾き飛ばすほどの強打も披露した。
クロスレンジのショートパンチの応酬では、相手のストレートには外からフック、
相手のフックには内からストレートで対抗し、それも全て先手先手だった。
結果、フィジカルとパンチ力に優る挑戦者がクロスレンジを制圧、とまではいかないが、
主導権を握り、右アッパーにカウンターのストレートを合わせ、
王者の三半規管に物理的打撃を与え、10カウント。
反則気味のパンチだが、勇気と技術に裏打ちされた素晴らしい攻撃だった。

亀田を始末するなら内藤よりもデンカオセーンが適任だ。

追記:
TBSは本当にどうにかならんのか・・・
前座のサーシャをダイジェストでいいから放送しろ!
放送局として賭けた番組があっけなく終わったことは理解できるが、
数少ないボクシングファンにアピールしようという気はないのか。
いや、マニアやオタクレベルのファンに見向きもしないのはまだ構わんが、
勇敢に戦い、そして散っていった坂田の苦労をねぎらおうという姿勢すら見せない
番組の在り方にはどうしても納得できない。

WBA世界フライ級タイトルマッチ 予想

2008-12-30 19:30:22 | Boxing
王者 坂田健史 VS 挑戦者 デンカオセーン・シンワンチャー

坂田の僅差判定での防衛成功と予想する

前回対戦では最終ラウンドの減点が無ければ陥落していただけに
王者陣営は今回は明確な勝利が期待される。
不器用がトランクスを履いてボクシングをしているように見える坂田だが、
実はインテリジェンスはかなりある。
リマッチで真価を発揮する傾向にあるが、試合中にもゲームプランの微調整が
できるだけのキャリアは持っているし、現に前戦の中盤にもそれは見せていた。
危なげなく防衛できると信じたいが、不安な点が2つ。
歴戦の疲れと挑戦者の自信だ。
以前にも指摘したが、戦うたびに流血するのは良いことではない。
長谷川がここ2試合を「きれいな顔のまま終わること」を目標にし、
実践してきたように、ダメージを最小限にとどめる努力が必要だ。
ミーハーなファンには読み取れない強靭な闘争心を内に秘め、
踏み出す一歩、放たれる一発のひとつひとつが坂田の意志の力の顕現だ。
その姿にマニアの喝采を送るが、もう少し自身の肉体や家族を省みてもいい。
誰も文句など言わない。
内藤や亀田と比較されて胸中に期するものがあるだろうが、
まずは勝つことを心掛けてほしい。
今度こそ俺が勝つ、と自信と意欲に満ちた危険な挑戦者を
「圧し潰してやる」などと思わなくてもいい。
とにかく勝てばいいのだ。

WBCフライ級タイトルマッチ 内藤大助VS山口真吾

2008-12-24 00:17:41 | Boxing
内藤 11ラウンドTKOで防衛成功

相変わらずの変則・曲者ぶりは健在だったが、
ボクシングの技術ではなく、フィジカル面が勝負を分けた感が強い。
コンビネーションに依存せず、ストレート、フック、アッパーを
タイミングよく放り込むことで構成されたボクシングで、
ライトフライ上がりの山口相手に見栄えは良かったが、
同じ体格、あるいは体格で上回る相手と相対したときにこのスタイルが
有効に作用するかどうかは未知数だと言える。
ただ、コンディショニングはベテランらしく問題なく仕上げ、
フィジカル面でも下半身を鍛え上げてきたことは明確に分かった。
これまでは肘をあまり曲げずに強振するフックが特徴的だったが、
この試合では肘を曲げた状態から足腰の回転で前腕部を振りぬくパンチを
幾度となく放っており、持ち前の妙なリズムとあいまって効果的にヒットした。
身長やリーチで大幅に上回っていたが、それ以上に打つ、そして避けるタイミングで
優っており、予定していた見下ろすボクシングではなく受けて立つボクシングが
結果的に奏功したという気がする。

ただ、ストップ直後に新井田がJ・L・バレラを鮮やかなTKOに屠った
試合が思い起こされてしまった。
安全パイを撃破し、波に乗ったところで指名挑戦者に惨敗というのは
ボクシングにはよくあるパターンで、安定王者と認められるには今後の2試合を
意地でも生き残る必要がある。

敗れた山口だが、おそらくこれで引退か。
フライ級で戦うのはコンディショニングの面で本人にはプラスに働くだろうが、
相手との体格差、パワー差は歴然で、耐久力の面では大いに試合を盛り上げてくれたが、
最後のストップの瞬間にはもはや意識は飛んでいたことだろう。
たった4ポンドでパンチ力と耐久力に雲泥の差があることを思い知らされ、
カウンター戦法は、リスク高しと採用できなかった。
結果、ビッグパンチを狙わざるを得なくなり、内藤の軍門に屈することとなった。
元Sフライ級王者、川嶋勝重を思わせるBoom Boomパンチは、
見ている分にはスリリングだが、王者の肝を冷やすものではなく、
ミドルレンジでの打ち合いでは、相手のダックからの打ち下ろしに最後まで
対応することはできなかった。
ビデオで研究は重ねてきたし、重い相手とのスパーも積んできたに違いないが、
王者の変則時間差攻撃にリズムを狂わされたまま、死角からパンチをもらい続け、
公言していたボディへのパンチはpunishmentにはなりえなかった。
内藤が顔色を変えたのは4ラウンドの打ち合いのみで、
自身が露骨に表情を崩すことは無かったものの、ダメージは確実に蓄積されていた。

お互いのゲームプランが機能しなかったが、結果的には噛みあった。
レフェリーストップがやや遅いと感じられたが、同国人対決を盛り上げたのは
挑戦者の『散り様の美学』だったと大いに評価したい。

追記

TBSは何とかならんのか・・・
いつになったらボクシングの実像を視聴者に伝えるのか。
「いいパンチ当たってますよ」じゃなくて、
そのパンチがどういう効果をもたらすのか、そのパンチを当てるために
どういう伏線が張られているのか、そのパンチにより試合がどういう局面に
導かれるのかを、ほんの少しでもいいから解説者に語らせよ。
鬼塚はもう要らない。
セレス、徳山、川嶋、飯田、大橋、川島、嶋田、西岡、いくらでもいるはずだ。
実況も叫ぶばかりで耳障りだ。
テレ東に研修に行くべし。

2008年 総集編

2008-12-23 00:06:38 | Boxing
☆ Fight of the Year ☆

○ ミゲール・コットVSアントニオ・マルガリート

マルガリート 11ラウンドTKO勝利

WOWOWの選出は至極妥当と言えよう。
管理人から見てもこれ以外の選択肢はありえない。
再三再四効かされながらも、自らのゲームプランを頑なに『守ろうとした』コット。
どれだけ有効打を浴びようとも、自らのゲームプランを『守りきった』マルガリート。
その差が最後の場面で現われた試合だった。
この試合について観戦記以上に語るべきことは無い。
管理人はこの試合まではコットをそこまで高く評価していなかったが、
試合後のリングでマルガリートと抱擁を交わし、四方の観客に拳を合わせ礼をし、
最後にまたマルガリートと健闘を称えあい、静かにリングを去ったコットに、
ボクシングにありうべき敗者の姿を見た気がした。
あれでコットのことをさらに好きになったというファンも多いのではなかろうか。

次点:イスラエル・バスケスVSラファエル・マルケスⅢ

次々点:内藤大助VSポンサクレック・ウォンジョンカムⅣ


☆ Knockout of the Year ☆

○ マニー・パッキャオVSデビッド・ディアズ

パッキャオ 9ラウンドTKO勝利

これも異論は出ないと思う。
もう少し早くストップを勧告してもよかったと思わされた試合だが、
あの膝をついて顔からバタンというディアズのダウンシーンは、
その鮮烈さをもってボクシングファンの記憶に永く残る名場面となった。

次点:ローマン・ゴンサレスが新井田豊を4ラウンドTKO

次々点:ホエル・カサマヨルがマイケル・カチディスに10ラウンドTKO


☆ Decision of the Year ☆

○ マニー・パッキャオVSファン・マヌエル・マルケス

パッキャオ スプリットディシジョンで勝利

管理人採点では114-113でパッキャオだったと記憶する。
ただし、この試合はどちらの勝利とでも解釈できる試合で、
これこそボクシングの醍醐味だということをあらためて教えてくれた。
M・バッファがスコアカードを読み上げてから勝者をコールするまでの瞬間に、
全てのファンが固唾を飲んだに違いない。
ボクシングの華はKOだが、
このような判定も負けず劣らずの華なのだ。

次点:オスカー・ラリオスが粟生隆寛にスプリットで勝利

次々点:アレクサンデル・ムニョスが川嶋勝重に判定勝利


☆ Upset of the Year ☆

○ バーナード・ホプキンスVSケリー・パブリック

ホプキンス 大差判定で勝利

おそらく観客、視聴者の90%がホプキンスがボコボコにされるのを観たがっていたと思う。
管理人もその一人だった。
あにはからんや、ホプキンスの空気を読まない圧勝。
超がつくベテランが新星にhit and don't get hit という
Sweet Science のレッスンを授けた試合になった。
時代を交代させるはずが、後退させてしまった、というわけではない。
なぜなら、ボクシングでは強いヤツはいくらでもいて、
上には上もいくらでもいるのだから。
ボクサーの実力はその日のリング上で見せたものが全てだ。
年齢やフィジカルコンディション、モチベーション、
ファイトスタイル、ゲームプラン、全てひっくるめてボクシングなのだ。

次点:ビック・ダルチニャンがクリスチャン・ミハレスを9ラウンドKO

次々点:小堀佑介がホセ・アルファロを3ラウンTKO


☆ MVP ☆

○ マニー・パッキャオ

MVPとは Most Valuable Player の acronym だが、
今年のボクシング界に限れば、Most Valueable Philippino(本当はFilipinoだが)だと言える。
つまり、最高殊勲フィリピン人というわけだ。
J・M・マルケスとの激闘、D・ディアズへの圧勝、オスカー・デラ・ホーヤの完封劇は、
今年も全世界のボクサーたちが熱戦を繰り広げてきた中でも特筆大書に値する偉業だ。
来年はR・ハットン、さらにはSライト級でのcampaign、F・メイウェザーを引っ張り出しての
Pound for Pound No.1 の称号を賭けた戦いが期待される。

次点:アントニオ・マルガリート

次々点:ジョー・カルザゲ

WBC世界フライ級タイトルマッチ 予想

2008-12-22 22:04:35 | Boxing
王者:内藤 大助
挑戦者:山口 真吾

予想:内藤の終盤KO勝利

パッキャオVSデラ・ホーヤに比べると地味な予想になるが、致し方ないところ。
パンチ力と耐久力で上回る内藤の優位は動かない。
坂田戦で序盤にノックダウンを奪いながら、詰めきれず逆転された山口にとって、
これが最後のチャンスであることは陣営も本人も自覚しているはず。
勝機を見つければ呵成に勝負をかけたいが、勝負どころの見極めでも
王者に分があると見る。
山口の遂行すべきミッションは二者択一。
清水が見せたジャブ、ワン・ツー、カウンターのアウトボクシングか、
あるいは自身が坂田戦の中盤までに実践した出入りのボクシングだ。
が、前者は終盤KOに散り、後者は世界レベルの気迫とスタミナに潰された。
山口の年齢や前戦の調子を見る限り、大幅なレベルアップは見込めない。
内藤に穴があるとすれば、やはりスタンスか。
タイミング次第でフラッシュダウンならいくらでも奪えそうな足運びを見せるが、
ダウンはポンサクレックに初回KOされた時のみ。
つまりはあれも罠ということか。

7:3で内藤の防衛成功と予想する。

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ ウラディミール・クリチコVSハシム・ラクマン

2008-12-16 00:56:12 | Boxing
クリチコ 7ラウンドTKO勝利

1ラウンドのファーストコンタクトでクリチコ勝利が容易に想像できた。
まるでビタリVSピーターのようで、ドイツ人以外が堪能するのは難しい試合になる、と。
実際は普段よりもaggressiveなクリチコのおかげでいつも以上に楽しめたけど。
ワルーエフが前戦でジャブを磨き上げてきたように、
クリチコもジャブの性能を向上させてきた。
ロングレンジから面白いように命中させ、打ち落としの右を初回から狙うなど、
兄に良い意味で触発されたことを窺わせた。
そのジャブは上体の前傾と膝の屈伸を駆使した突き放すジャブと、
左足親指でリングを噛みながら肩と腰を入れて打つ、突き飛ばすジャブを使い分け、
後者から右ストレートへのつなぎはスムーズかつリズミカルで、
第二次長期政権への期待は十分。
ノックダウンを演出した左フックは、今後強引に潜り込もうとしてくる挑戦者への
威嚇にもなったと思われる。
バード戦やブリュースターIでは露骨に相手のパンチを恐れた場面があったが、
今日のようなボクシングに今後も徹すればそのトラウマからは解放されるだろう。

ラクマンがレノルイを倒してからもう7年なのか。
クリチコ兄との因縁も含め、one punch wonderの物語も完全に終わった感がある。
最初に右を相手の鼻先にでもいいので振り回しておく必要があったが、
クリチコの自信と鍛え上げたジャブの前に手も足も出ず。
強打とスピリットで戦ってきた選手だが、実際にリングで相手と対峙したときに、
右をぶちこむプランが崩れたのだろう(と信じたい)。
ピーターがビタリに成す術なく敗れたのと同じく、ボクシング以外の部分で精神的に気圧されたか。
なぜかデビッド・ヘイも彼らの二の舞を演じるような気がしてならない。

Lヘビー級12回戦 ジョー・カルザゲVSロイ・ジョーンズ

2008-12-16 00:19:48 | Boxing
カルザゲ 大差判定勝利

ボクサーの寿命が延びてきているのは間違いない。
このカルザゲやホプキンスを見ていれば実感する。
だが、寿命が延びる=誰もがいつまでもトップコンディションを維持できる、
というわけではない。
それはこの日のジョーンズや先日のデラ・ホーヤが教えてくれている。
やはりカルザゲやホプキンスは人間というより妖怪だ。

初回はものの見事にカウンターでラリアットをもらい、ダウンを喫したが、
そこから先はカルザゲの独壇場。
ノーガードでアゴを突き出してのパフォーマンスと唐突すぎるコンビネーションは
往年(さびしい表現だな)のロイ・ジョーンズのシルエットが思い起こされた。
実況や解説はカルザゲのパンチを軽いと表現するが、それは違うと思われる。
単純な破壊力、つまり腕の筋肉の断面積量とパンチの速度から計算される
物理的な衝撃力とボクシングにおけるパンチ力は必ずしも、というかほとんど一致しない。
何度か書いた記憶があるが、一番効くのは見えない、予期できないパンチだ。
野球のデッドボールをイメージしてもらえば分かりやすいと思う。
ボールが体にぶつかる瞬間に脇を締め、ハッと息を吐き、歯を食いしばれば、
一瞬ではあるが、防御力は飛躍的に向上する。
ボクシングにおいても、相手の強打が予測される状況では、
ボクサーの体は即座にこの防衛機構を発動させる。
ではなぜ、ロイはそれができなかった(ように見えた)のか。
カルザゲが軽打の中に強打を織り交ぜてきたからだ。
この試合で言えば、左ストレートと右のボディフックだったと見る。
相手のプレッシャーの弱さというか無さから、容易にミドルレンジの主導権を握り、
圧倒的な手数でクロスレンジも制圧に成功。
アッパーとストレートの単発強打はそこここで被弾したが、
相手のパンチの無さと自らのリズム、そして随所にちりばめた人を喰ったような
パフォーマンスで誤魔化しきった。
ハンドスピードや連打力、ボディワークやパフォーマンスなど総合的に技術に優れ、
さらにその技の引き出しの多さ以上に、技の使いどころを知っている。
ボクシングではそれを指して”キャリア”と呼ぶ。

超人ロイ・ジョーンズもやはりデラ・ホーヤと同じく衰えを隠せない段階に来たのか。
トリニダード戦ではやたらでかく見えたが、この日はやけに小さく見えた。
俗にハメマラなどというが、ボクシングにおいて歯はパンチの威力、目は反射神経、
マラはファイティングスピリットにあたるかな。
いつストップされてもおかしくないほどのカットを負ったが、
倒しにいくための動きは出せなかった。
前回も指摘したが、つま先の蹴り出しの強さの衰えが顕著で、
がに股気味のスタンスから両足を一気にスクエアさせて連打を放つカルザゲとは
まさに対照的だった。
フットワークでも相手を振り切れずコーナーやロープに押し込まれ、
軽い連打の合間に強めのパンチを混ぜられ、相手のパフォーマンスを
余裕のなせる業なのか誤魔化しなのかを判断することもできなかった。
といってもダメージングブローは10発に届いたかどうかだが。
B・ホプキンスとのリマッチはなくなったと言えるだろう。

NABO北米Sライト級タイトルマッチ ビクター・オルティスVSジェフリー・レスト

2008-12-09 00:15:45 | Boxing
オルティス 2ラウンドKO勝利

このオルティス、どこかで見た顔だと思ったら2007年11月に
カルロス・マウサ戦をWOWOWで放送してたんだな。
viciousという称号に追いついてきた感はあるが、
この男もロペス同様に試されてはいない。
コテルニクあたりとやるのはまだ時期尚早だと思う。
最もその攻撃力は「買い」だが。

ルイス・レスト事件については2~3ヶ月前のボクワーかボクマガにも記事があったな。
だが、父の無念を背負って戦うという看板が通じるのはリングの外までだ。
策士が策に溺れた感があるが、最初からオーソドックスで戦っていれば、
持ち前のelusivenessでもっと面白い試合を演出できたはずだ。
こういう頂点を目指すこと以外に強いモチベーションを持つ選手は
往々にして目先の試合の勝ちを安易に拾いに行きすぎる(亀田兄弟etc)。
相手が実力者ならば、それは墓穴を掘る行為に他ならない。

WBO世界Sバンタム級タイトルマッチ ファン・マヌエル・ロペスVSセルヒオ・メディナ

2008-12-08 23:52:41 | Boxing
ロペス 1ラウンドTKO勝利

ロペスの風貌、サウスポースタイル、相手がなんちゃって世界ランカーであるところなど、
「お前はプエルトリコの亀田興毅か!?」と言いたくなるが、さにあらず。
ポンセ・デ・レオンを秒殺した力、さらに初防衛戦でも初回KOを記録するなど、
この試合でも自分の力を発揮しただけにすぎない。
右フックをキラーパンチにしているが、実際は左にも切れがあり、重さもある。
後は打たれた際の耐久力と精神力だが、それが試されるのはそう遠い話ではない。
来年の今頃にはI・バスケスとの統一戦が行われなくてはならない。

やはり負け役だったメディナだが、戦績ほどの力は感じられない。
R・バウティスタに判定負け、そのバウティスタはポンセ・デ・レオンに瞬殺、
そのポンセ・デ・レオンはフアンマ・ロペスに秒殺されている、と。
ボクシングに三段論法は往々にして通用しないが、ここでは見事に当てはまった。
こういった負け役、引き立て役はこれほどの大舞台の前座を務めることの意味を
しっかりと理解しているのだろうか。
KO負けすればいいというわけではない。
出したパンチがたった5発では話にならない。
ガードを固めているうちに倒されましたではなく、
刺し違える覚悟で凄絶に打ち倒されてこそ暖気運転役になれるのだ。

Sミドル級8回戦 ダニエル・ジェイコブスVSビクター・レイレス

2008-12-08 23:33:22 | Boxing
ジェイコブス 2ラウンドTKO勝利

このジェイコブス、おそらく左利きのオーソドックスでは?
速いワン・ツーから力強い返しの左フックを放つ様を見てふとそう感じた。
将来のチャンピオン候補だが、いかんせん相手が弱すぎた。
ボクシングは高校野球のような側面がある。
弱い相手はコテンパンにして、強い相手にはあっさりひねられるという。
浜さんが言うようにバランスの良さは感じられるので、
今後強い相手に試されたとき、成長できるかどうかだろう。

17戦して14勝3KOという見事なまでに安全パイのレイレスだが、
この選手は自分が負け役だということを理解しているのだろう。
番狂わせが起きたとは思わないが、もう少し続行しても良かったと思う。