BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sフェザー級タイトルマッチ

2012-07-18 02:48:53 | Boxing
王者 内山高志 VS 挑戦者 マイケル・ファレナス

3ラウンド 負傷ドロー

考察 ~内山~

挑戦者の左をはずすことに腐心していた以上に、
ジャブの出しどころを思案していたように映った。
パンチがあるがゆえに拳を痛めやすく、
そのような選手は往々にして額を打つことを厭う傾向がある。
じっくりと試合を作りながら、すなわち距離を作りつつ、
効果的なフェイントを探りつつ、ジャブのタイミングを読みつつ、
後半から終盤にかけてのKOを予測したが、
二度のaccidental clash of headsでご破算。

妙な古傷にならなければいいのだが……


考察 ~ファレナス~

細い目、ペッチャンコの鼻、まぶたの古傷……
そして試合開始早々の単なるダック、ボブというにはあまりに大きな上下動。
日本のボクシングファンに輪島を彷彿させるこの平たい顔族は、
王者攻略の糸口をたぐり寄せていたのかもしれない。
正統派のジャバーたる内山に対して、ジャブの的を絞らせない上下動に
さあ打ってこいとばかりに額を突き出す、
もしくは額から突っ込むスタイルは確かに王者を難渋せしめた。
試合前のインタビューでは景気のいいセリフを言わされている感ありありだったが、
実際の試合では好青年どころかラフファイトを厭わぬスタイル。
見た目の印象もさることながら、
リングの内外でキャラが全く異なるボクサーは海外に多い気がする。
ハンドル握ると人格が変わるのはたまに我々の身近にもいたりしますね。

放送時間からKO決着を予想したが、この結末はunpredictable。
再戦は互いに1戦を挟んでとなろう。

3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチ

2012-07-08 17:45:23 | Boxing
王者 ウラディミール・クリチコ VS 挑戦者 トニー・トンプソン

クリチコ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~クリチコ~

引退前には比較的速攻をするタイプ、
復帰後はじっくり痛めつけるタイプに変身した兄ビタリとは違い、
こちらはキャリアを円熟させるほどにボクサーとしての純度を高めたが、
前回モルメク戦と同じく、初回からaggressiveだった。

初回は相手に手数を出させつつも、プレッシャーは継続的にかけ、
ワンチャンスを自ら作り出したと言える。
以前はポイントで先行しつつ、巡ってきたKOチャンスを逃さないスタイルだったが、
今後はこれを自身のスタンダードとするのだろうか?
じわりとダメージを蓄積させながら終盤KOというのが、
ボクシングの醍醐味を最も感じさせてくれるゲームプランなんだがなあ。

ワン・ツー!ではなくワツッ!であるという指摘は
徳山vsキリロフでの鬼塚の解説を彷彿させた。
現ヘビー級どころか全階級を見渡しても
ナンバーワンのワン・ツー・コンボと評価して間違いなし。


考察 ~トンプソン~

指名挑戦者として再びリングに上がったが、
ゴング前からやはり精神的に負けていた。
珍しく冒頭から腰を据えてきた王者に対して
右ジャブを突きながらcounterclockwise footwork。
これは明らかに距離を詰められたくない心理の現れで、
5ラウンドには真っ直ぐコーナーに詰められたところに
必殺のワン・ツーを被弾。
6ラウンドもプレッシャーそのままにまっすぐロープに退いたところへ
ワン・ツーから連打を食ってしまった。

インタビューを聞く限りでは普通の良いオッサンで、
この選手の体格とパワーにD・チソラのようなイかれたメンタルが宿れば、
USAヘビー級の希望の星になれるのだが。