BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBOフェザー級王座決定戦

2013-07-23 01:02:20 | Boxing
ミゲール・ガルシア VS ファン・マヌエル・ロペス

ガルシア 4ラウンドTKO勝利

考察 ~ガルシア~

WOWOW初登場時よりも体に厚みが出てきている。
それがoverweightの言い訳になるはずもないが。

チャンスの時にこそジャブを打たねばならないのは鉄則で、
この男はそれができる。
2ラウンド、ロペスのアゴに良い左を立て続けにヒットさせ、
打ち気に逸ったファンマに対してジャブジャブジャブからの時計回りのサークリング。
相手が正面に立った瞬間に狙いすましたワン・ツー・コンビネーション。

打ち終わりに必ずポジションを変え、ジャブと共に距離と角度を測定・調整し、
踏み込む決断をしたときは速戦即決。

考えながら打っている、動いていることが動きから見て取れる。
打ちながら考えるA・ベルト的なそれではなく、
野球で言うなら頭脳派・技巧派ピッチャー的な脳内対話。
「おっ、そういう反応か。じゃあ、これはどうだ?」
というやりとりを超高速で冷静さを失わずに行なっている。

だったら何でその頭脳を減量で使えないのか、理解に苦しむのだが。
リングの中と外では脳の使い方は別ってことですか。


考察 ~ロペス~

結論から言うと壊れているのではないか。
ダウンを食った直後の3ラウンド冒頭、
ガルシアの左ジャブと右ストレートをきれいに食っていた。
その後は相手が試し打ち(していたかのように見えた)の左フックも食っていたが、
正面に立ち続ける意図は一体何なのか。
ゲスト西岡は「気が強いですね」と評していたが、
これは気の強さの為せる業以上に、パンチに酔っているように見える。
悪い意味でパンチに対する恐怖心がなくなっていると言おうか。
今後はM・カチディス的なポジションに落ち着くのかもしれない。


WBA暫定スーパーウェルター級タイトルマッチ

2013-07-16 11:30:01 | Boxing
エリスランディ・ララ VS アルフレド・アングロ

ララ 10ラウンドTKO勝利

考察 ~ララ~

ドネアを下したリゴンドーにも当てはまるが、
Cuban Marvelと呼ばれるような元トップアマは総じてサイドステップに長ける。
コットvsマルガリートⅠのコットのような動き、
避けることを主眼とした動きではなく、自身の距離を模索する、
またはキープする動きというのか。
ただ、リゴンドーがドネア戦で見せたような、完成度の高い位置取りではなく、
相手のプレッシャーを緩和させるために仕方なく、というシーンも随所に見られた。

ボクシングスキルはアングロをはるかに上回るものの、
パンチ力と耐久力に譲るところがあり、
9、10ラウンドで見せたようなワン・ツーコンビネーションもしくは
P・ウィリアムス戦で当てまくった左ストレートのカウンターを多用すれば、
もっと早い段階で相手の顔面を切り裂くか、無残に腫らすことが出来たはず。
それをしないのは黒人選手によく見られるメンタルの弱さか。

V・マルティロジャン戦もバッティングが無ければ逃げ切れていた内容だったが、
何が起こるのかわからないのがプロのリング。
慎重を期すのを悪いとは思わないが、リスクを負った戦いをしないと
ビッグマネーマッチにはたどり着けない。


考察 ~アングロ~

J・カークランドにKOされたあたりから自慢の耐久力にも陰りが出てきたか。
2度奪ったダウンはいずれもアゴを捉えたが、
その直前のボディへのアタックが伏線になっていた。
ブロガーのasikawaさんだったか、ダウン前の10秒に伏線があると喝破されたいた。

マルガリートさながらにがっちりガードを固め、
相手をコーナー、ロープに詰めていくが、
スピード差が顕著でバンバン逃げられた。
また額を擦り合わせる距離での左右のボディ、顔面への連打に緩急がなく、
相手としてはある程度読みやすく、したがって防御しやすい。
アクセントとしての左ショートアッパーを混ぜられれば、
アウトボクサータイプの思考をある程度狂わせることができる。

ラストはあっさりとgive upしたが、あの腫れを見るに致し方ない。
残念ながら今後は喰われる側に回る確率が高そう。


ウェルター級12回戦 マルコス・マイダナ対ホセシト・ロペス

2013-07-16 11:08:05 | Boxing
マイダナ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~マイダナ~

マイダナの試合の白眉は何といってもV・オルティズ戦。
あの倒し倒されの応酬には痺れた。
さらにはA・カーン戦の1ラウンドの被ダウンと10ラウンドの猛攻。
ガッティやアルセの系譜に名を連ねるファイターだ。

ディフェンスに甘さが残り、一発を利かされる場面が
どの試合でもそこここに見られるが、
身体の柔軟性と持ち前の回復力がその欠点をある程度カバーしている。
こういう選手は穴を埋めるためのトレーニングを課すと
全体のバランスを崩し、長所や魅力まで減じてしまう。
今の路線のまま、十分、観客受け・視聴者受けする。

compatriotsのS・マルチネスやL・マティセにと変わらぬ存在感を
今後も発揮し続けて欲しい。


考察 ~ロペス~

オルティズのアゴを割ったのは見事だが、
カネロに捻られたあたり、世界ランカーとしては中の下になる。
経験不足なのか、生来の性格なのか、4ラウンドの流れのままに
5ラウンドに仕掛ければ勝ちを拾えていた可能性は高い。
そこを突けないのを臆病と見るのか、慎重と見るのかは意見が分かれるところ。
マイダナとは異なる意味でのone-punch wonderで終わる可能性の方が高いか。