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王者 ケリー・パブリック VS 挑戦者 セルヒオ・マルチネス
マルチネス 判定勝利
考察 ~マルチネス~
サウスポーのテクニシャンがオーソドックスのファイターを
血まみれかつほぼTKO寸前に追い込む構図の鮮やかさはアルセVSミハレス以来。
ドクターチェックが一度も入らないということにレフェリーにある種の不信感さえ抱く。
このブログで何度も使ってきた言葉だが、マルチネスほどelusiveという言葉が似合うボクサーはいない。
2ラウンド目からいきなり両の手をだらりと下げたが、あまりにも危険すぎる選択。
実際に中盤以降は相手が右の標的をheadからchestに変えたことで被弾も増え、
自身のギアダウンも重なり地味にポイントを奪われたが、それもこれもゲームプラン。
相手が自身のスピードについて来れないと見てとるや、
徹底的にそこを突くべく反時計回りからのジャブとワン・ツーでポイントをかっさらった。
相手が打ち返したときにはもうそこにはいないという出入りの速さと
打たせないための死角への回り込みはリズミカルでありながらannoying。
自分はリズムに乗りながら相手のリズムは乱れっぱなしという状態を演出した。
事実、終盤はほぼすべてのパンチを最小限のヘッドスリップでかわしきった。
またキモとなった9ラウンドはlateralかつcirclingなmovementを一気に
前後左右のverticalなmovesetからのに切り替え、
ワン・ツー、ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー・フォーを織り交ぜ
王者を両目からの流血状態に陥らせた。
前戦では七色のカウンターでウィリアムスと互角の戦いを演じたが、
今回は自分から展開をコントロールすることを選択。
集中力、スタミナ、スタイルのすべてが見事に融合した勝利。
まずは一戦楽な相手を挟んで、マルガリート、シントロン、ジンジルク、アングロ、シュトルム、
あるいはウィリアムス、まさかのメイウェザー戦など売り手市場を存分に謳歌するのだろう。
それにしても、この選手はクルマに喩えるならばセルシオ。
車体は大型で重量もあるが、高速域でのアクセル&ブレーキの軽さ、
コーナーリングの柔らかさ、ハンドルの重みと繊細さが特徴的。
数年前まで親父が所有していたが、最高のクルマだったな。
考察 ~パブリック~
斜に構えての引きを意識したストレートはらしくはなかったが機能した。
中盤のわずか数ラウンドだったが・・・
ジョー小泉がいう攻防分離というのはスタイルよりもメンタルに当てはまる気がする。
パブリックの攻めない、攻められないというもどかしさは身に染みついたスタイルよりも
精神的な動揺のしやすさ、心のvulnerabilityゆえとでも言えばいいか。
攻め方が分からない、攻め方を忘れてしまったような表情をコーナーで見せるのは
少年のあどけなさゆえと好意的に解釈したいが、
ホプキンス戦では最後の最後に威嚇され、この夜は相手に随所とニヤリとされては
少年の幼さ、ひ弱さとしか評価できない。
この試合の技術的敗因も今後の課題も明々白々。
それは攻防のつなぎの稚拙さ。
だが両者を一度に改善しようとすると往々にして大失敗する。
優先順位はおのずとディフェンスとなる。
近距離では両脇を締めL字に近い状態から左ボディ、右ショートアッパーと打ち下ろしを狙えるが、
密着時間が長くなければ根性勝負にならない。
この状態は打ちつ打たれつを前提とするが、スピードスターからは手数をまとめられたところで
あっさり逃げられてしまう。
遠距離ではグローブを高めに置いてパーリングからのボディメカニクスでストレートが打てるが
この日の相手はそもそも目の前で静止する瞬間が皆無だった。
そこから索敵に移る瞬間を常に狙い続けられ、流血も手伝ってまさに”見えない”状態だったと思われる。
中間距離では自身のパンチのselectionがジャブとワン・ツーに限られるゆえに
位置関係にアングルをつけられると射程をリセットするところからやり直しとなる。
だが、この日の相手はパンチの選択が早く、パンチそのものも速かった。
おそらく自身の右の引きと相手の体の引きが同じぐらいの速度だったのでは?
これだけスピードに差があれば打たれた時にどう守るかよりも、
打たせないためにどうするかを考え、かつ実行していかなければならない。
手持ちの材料をフルに活用するならば、一撃をintimidationに使ったフェイントしかない。
魅せる打ち合いで自身の商品価値を上げようとするスタイルはすでに限界を露呈した。
返り咲きを狙うにしても2階級制覇を目論むにしても
現状のままでは世界タイトルマッチを3試合やれば壊れてしまう。
マルチネス 判定勝利
考察 ~マルチネス~
サウスポーのテクニシャンがオーソドックスのファイターを
血まみれかつほぼTKO寸前に追い込む構図の鮮やかさはアルセVSミハレス以来。
ドクターチェックが一度も入らないということにレフェリーにある種の不信感さえ抱く。
このブログで何度も使ってきた言葉だが、マルチネスほどelusiveという言葉が似合うボクサーはいない。
2ラウンド目からいきなり両の手をだらりと下げたが、あまりにも危険すぎる選択。
実際に中盤以降は相手が右の標的をheadからchestに変えたことで被弾も増え、
自身のギアダウンも重なり地味にポイントを奪われたが、それもこれもゲームプラン。
相手が自身のスピードについて来れないと見てとるや、
徹底的にそこを突くべく反時計回りからのジャブとワン・ツーでポイントをかっさらった。
相手が打ち返したときにはもうそこにはいないという出入りの速さと
打たせないための死角への回り込みはリズミカルでありながらannoying。
自分はリズムに乗りながら相手のリズムは乱れっぱなしという状態を演出した。
事実、終盤はほぼすべてのパンチを最小限のヘッドスリップでかわしきった。
またキモとなった9ラウンドはlateralかつcirclingなmovementを一気に
前後左右のverticalなmovesetからのに切り替え、
ワン・ツー、ワン・ツー・スリー、ワン・ツー・スリー・フォーを織り交ぜ
王者を両目からの流血状態に陥らせた。
前戦では七色のカウンターでウィリアムスと互角の戦いを演じたが、
今回は自分から展開をコントロールすることを選択。
集中力、スタミナ、スタイルのすべてが見事に融合した勝利。
まずは一戦楽な相手を挟んで、マルガリート、シントロン、ジンジルク、アングロ、シュトルム、
あるいはウィリアムス、まさかのメイウェザー戦など売り手市場を存分に謳歌するのだろう。
それにしても、この選手はクルマに喩えるならばセルシオ。
車体は大型で重量もあるが、高速域でのアクセル&ブレーキの軽さ、
コーナーリングの柔らかさ、ハンドルの重みと繊細さが特徴的。
数年前まで親父が所有していたが、最高のクルマだったな。
考察 ~パブリック~
斜に構えての引きを意識したストレートはらしくはなかったが機能した。
中盤のわずか数ラウンドだったが・・・
ジョー小泉がいう攻防分離というのはスタイルよりもメンタルに当てはまる気がする。
パブリックの攻めない、攻められないというもどかしさは身に染みついたスタイルよりも
精神的な動揺のしやすさ、心のvulnerabilityゆえとでも言えばいいか。
攻め方が分からない、攻め方を忘れてしまったような表情をコーナーで見せるのは
少年のあどけなさゆえと好意的に解釈したいが、
ホプキンス戦では最後の最後に威嚇され、この夜は相手に随所とニヤリとされては
少年の幼さ、ひ弱さとしか評価できない。
この試合の技術的敗因も今後の課題も明々白々。
それは攻防のつなぎの稚拙さ。
だが両者を一度に改善しようとすると往々にして大失敗する。
優先順位はおのずとディフェンスとなる。
近距離では両脇を締めL字に近い状態から左ボディ、右ショートアッパーと打ち下ろしを狙えるが、
密着時間が長くなければ根性勝負にならない。
この状態は打ちつ打たれつを前提とするが、スピードスターからは手数をまとめられたところで
あっさり逃げられてしまう。
遠距離ではグローブを高めに置いてパーリングからのボディメカニクスでストレートが打てるが
この日の相手はそもそも目の前で静止する瞬間が皆無だった。
そこから索敵に移る瞬間を常に狙い続けられ、流血も手伝ってまさに”見えない”状態だったと思われる。
中間距離では自身のパンチのselectionがジャブとワン・ツーに限られるゆえに
位置関係にアングルをつけられると射程をリセットするところからやり直しとなる。
だが、この日の相手はパンチの選択が早く、パンチそのものも速かった。
おそらく自身の右の引きと相手の体の引きが同じぐらいの速度だったのでは?
これだけスピードに差があれば打たれた時にどう守るかよりも、
打たせないためにどうするかを考え、かつ実行していかなければならない。
手持ちの材料をフルに活用するならば、一撃をintimidationに使ったフェイントしかない。
魅せる打ち合いで自身の商品価値を上げようとするスタイルはすでに限界を露呈した。
返り咲きを狙うにしても2階級制覇を目論むにしても
現状のままでは世界タイトルマッチを3試合やれば壊れてしまう。
浜田氏がマルチネスのスタイルを露骨に嫌っていることが解りました。
マルチネスは現役のサウスポーのなかで最もジャブが巧いですね。
特にパブリックのジャブにクロス気味に被せるジャブなんてなかなかお目にかかれません。
ジャブに関して言えばセルゲイ・ジンジルクもいますね。なにやら最近マルチネスに対して挑発的なコメントを発し、マルチネスが「ジンジルクって誰?」という具合に返すという、メディア上のやり取りがあったようです。ジンジルクはまずA・アングロを明快に退けるぐらいはしないとダメでしょうが、機会さえ訪れればあっさりやってのけそうです。