BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sウェルター級暫定タイトルマッチ

2009-12-29 20:57:38 | Boxing
王者 石田順裕 VS 挑戦者 オネイ・バルデス

石田 判定勝利

考察 ~石田~

相手はガードを高く保ち、べた足で追い掛けてきたので、
強いジャブを打ち落とすことで出足を止めにかかったが、これは危険な選択。
接近戦のボディ攻撃交換を見て、終盤の嫌倒れを予感したが、
これは王者の様子見だった。
ジャブの引きに合わせて右から左と切り返されたが、
その距離さえ見切ってしまえば、あとは余裕の展開。
相手の中盤からのサウスポーへのスイッチも手数こそ減らしたものの、
パンチの的中率はキープできた。
解説はサウスポーを得意というが、
これはサウスポー対策が上手いというだけで
サウスポー攻略に長けているというわけではない。
それでもフットワーク、ボディワーク、ブロック、パリーと
総合的にディフェンス技術に熟達しており、果敢に打ち合うハートもある。
ノーガードで誘った時、徳山のシルエットが見えた。
本人は納得しないだろうが、陣営としてもファンとしても納得の完勝と言える。

石田はマスクも良く、受け答えもはっきりしっかりしており、
ボクシングにも派手さはないが、堅実さがあり、
プランを実行する忠実さと修正する柔軟さがある。
このような優れたボクサーが日の目を見ないのはおかしい。
暫定という名にばかりこだわり、実を見ようとしないのは理不尽だ。

考察 ~バルデス~

スイッチの意図がよく分からない。
相手のジャブがうるさくなったからだと思うが、
右ストレートには下がるだけとなってしまった。
Sウェルターとしては標準的な体格で、
防御はブロッキングに依存するが、リターンのパンチが伸びず、
懐の深い相手は自然苦手となる。
踏み込み、飛び込みが伴わないパンチは全てスイング気味となり、
王者の心胆寒からしめるものたりえなかった。
34歳というものの、バネがきいたパンチは切れ味抜群に見えて実は重さ重視で、
こういうパンチはブロッキングの上を叩けるうちはいいが、
空振りを繰り返すと異様にスタミナをロスする。
終わってみれば追い足なし、一発なしで王座初防衛の相手としては
全く強くなく、かといって弱過ぎることもなし。
ダウン後の猛反撃、そして最終ラウンド残り20秒の魂の打ち合いと、
敵地でしっかりと見せ場も演出してくれた。

PS.
インタビュアー下手過ぎ。
「相手はいかがでしたか?」ってアンタ試合観てへんかったんかいな?
会場、そして茶の間のファンが知りたいのは、
どこで試合の流れを掴んだと確信したか、
相手のどのパンチが最も効いたか、
セコンドの指示は何だったのかetcなのだ。
プロ野球やサッカーのお立ち台でもしばしば見受けられるが、
日本のスポーツジャーナリズムはいつまで経っても成熟しない。

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