ブログ人 話の広場

日頃の生活のなかで見つけたことなどを写真もそえて

Dear Doctorを観て

2009-07-09 19:34:17 | 日記・エッセイ・コラム

 しばらく映画を観る時間がなく、その間に観たいと思っていた映画が時間切れになってしまい悔しい思いをしていましたが、先日ある方との面談を待つ間の時間を利用してやっと観てきました。 笑福亭鶴瓶、瑛太、八千草薫らが演じる「Dear Doctor」です。

 医師の資格を持たないニセ医者が山深いわずかな人口でしかもほとんどが高齢者という村に長い間医者に成りすまして治療に当たるが、ついに司直の手にかかりそうになる直前、村を飛び出し、身を隠してしまう。末期ガンで余命いくばくもない一人暮らしの上品な老女は東京に住む娘が医者であるにもかかわらず、このニセ医者に託して帰ってこない。

 それでも思い切って帰郷した娘はニセ医からお母さんが厳しいことを告げられ、娘の病院に移動する。そこに忽然と現れた衛生帽を被り大きなマスクをして患者にお茶を入れて回る男の顔をみて驚嘆するところで終わる。そんなストーリーだったと思います。

 若い研修医に「俺はニセもんや」といっても聞いてもらえない。「先生こそ、村の人々から信頼を受け、立派な本物の医者です」といわれるほどの赤ひげ先生だったのです。何がニセで本物か区別をただ医師の免許の有無で決めてしまい、金銭的欲望をみたそうとする医師の多い中でニセを本物にしていく周囲の厚い信頼に喜劇風を感じます。そこには現代社会のアイロニーを感ぜずにはおれない映画でした。医師不足、それは本当なのか、むしろ真摯な姿勢で患者の人生まで診る謙虚な医師がいなくなった、と言うべきではないのか、とふと考えさせられました。

やさしいタイガー