”卯の花の匂う垣根に 時鳥はやも来鳴きて しのび音もらす夏は来ぬ” 札幌にきて卯の花も、ほととぎすの鳴く音も聞かないが、一瞬のうちに咲き、いつの間にか散ってしまった桜のあとには、もう公園のライラックの花は出番とばかりに美しい彩でぼくたちを楽しませてくれる。札幌の中心を貫く大通公園には、「よさこいソーラン」のイベント会場のセットが組み始まった。 年々派手になり、衣装の豪華さだけではなく、踊りも一層艶やかになり、見るのは楽しいが、ダンサーたちのエネルギーはほとばしる汗とともに、見ている者でさえ、息が切れそうな激しいものだ。
初めから知っているものにとって「よさこいソーラン」が大きく変化して有料の桟敷が出来たりすると、もはや市民運動の域を超えてビジネス・ショーの様相が深くなり、鑑賞する市民は遠巻きに見るといった感を深くする。ただ雪祭りなどと違うのは、ほとんど市民の手で運営されていることで、官の手が入らないからこそ、自由に自分たちのアイデアをふんだんに入れ、これだけの派手さの演出が出来るのだろうと思う。寄付を集め、出演者を選び、海外にも広げ、それが又札幌の名物に彩る巧みさは陰で演出する人たちの情熱があってのことだ。
ぼくも毎年観るが、近年は多くのボランティアがゴミを広い集め、終われば元の美しい公園にもどす精神も育ちつつあるように思う。市民はこうして育っていくのかもしれない。今年もこのショーで「夏は来ぬ」のGOサインだ。
やさしいタイガー