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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

新井駅

2020-11-12 22:37:13 | 本・雑誌
『孤高の人』上を読んでいる。上巻だけで500ページほどもある長編。

新田次郎による、登山家加藤文太郎の評伝である。
今日読んだ箇所にこんな場面が。
《新納の家は青倉山のふもとにあった。姫路で播但線に乗りかえて何時間か走って新井という駅で下車し、さらに一里余も歩いた山の中の小さな村だった。》
新井はわたしの父親の故郷だった。
子どもの頃、何度も遊びに行ったことがある。
その地に親戚も多く、幾つもの懐かしい思い出がある。
 
さらに読み進むと、
《村野孝吉の紹介してくれた下宿は池田上町にあった。》
この池田上町はわが詩の師、安水稔和先生のお住いのある地だ。
この評伝は遠い昔の話だが、なにか縁を感じる。

因みに、兵庫県北部の新温泉町の図書館が「加藤文太郎記念図書館」であり、そこには拙著『完本コーヒーカップの耳』が架蔵されている。
但馬で唯一置いて下さっている図書館だ。
それが次々と借り出されていて、わたしは不思議な気がしている。

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園井恵子から千村克子へ

2020-11-12 09:06:47 | 千村克子さん
『流れる雲を友に 園井恵子の生涯』(千和裕之著・パブフル刊)を読了。

素晴らしい評伝でした。
よくぞこれほど綿密に書かれたものだと感心。
散逸していた無数の園井恵子の資料を系統的に整理し、しかも文学的に記述されていった、そのエネルギーと根気に敬意を表します。
また各地への取材の労を惜しんでおられないのも、評伝を書く者として当然とはいえ改めての敬意を表します。
単に園井の歴史を記述してゆくだけでは、第三者には読み物として面白くありません。
園井恵子という生身の人間を描いてこそ、読みながら興味を深めていけるものなのでしょう。
この本はそれに充分応えていると思いました。
後へ行くほど興味が増してくるのです。
終わりの方では涙なしには読めないほどに。
「あとがき」の冒頭部分。
《本文中にもある通り、園井恵子さんの人生をたどる旅路は思いもよらない出来事から始まりました。仕事の訪問先がたまたま園井さんの小学校高等科時代の同級生・渡辺春子さんの家で、それは全くの偶然でした。》
このあと細かいいきさつが書かれていて、
《このような人物の伝記を書く機会に恵まれたことに心から感謝しています。一生を通じて、このような経験は再びできないだろうと感じています。それほど得難い経験でした。
渡辺春子さんにお会いしたのが平成23年(2011年)でした。それから出版まで9年もの年月を要してしまいましたが、多くの人が紡いだ園井恵子さんの人生の伝承において、私も担い手の一人として貢献できたなら、これほどうれしいことはありません。》


この本は園井恵子の資料としても一級のものとして、今後の研究者の役に立つものと信じます。
千和さん、園井恵子の顕彰に見事に貢献されました。

で、今の千和さんですが、
実は千村克子さんの人生に興味を持たれて、手を染められました。
わたしは大いに楽しみにしています。
千村克子は、園井恵子と同期の元タカラジェンヌ。
わたしが以前『KOBECCO』で何回かにわたって書いた魅力ある人物です。
コメント (2)
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