先日買った本、「新潮」の又吉直樹「劇場」だが、出だしの5行だけ読んでいた。

《まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて
見えたことはまだない。もう少しで見えそうだと思ったりもす
るけど、眼を閉じた状態で見えているのは、まぶたの裏側
の皮膚にすぎない。あきらめて、まぶたをあげると、あたりま
えのことだけれど風景が見える。》
なんということのないような文章だけど、小説の導入として上手いと思う。なんかいい。
と印象に残っていた。
で、今日は午後歯医者さんだった。
治療はすでにこの前に終わっていて、今日は女性医師による歯石取りと、院長さんの最終診察。
眼を閉じて女性医師に委ねている時にフッと「劇場」の出だしを思い出した。
もし、眼を閉じているのに、風景が透けて見えたら恥ずかしいなあと。
眼を閉じているわたしの顔のすぐそばに彼女の顔があり、その眼が真剣に見開かれ、わたしの口の中を覗いていると思ったら恥ずかしくて仕方がない。だって、彼女は若くて美人だから。
まぶたは薄い皮膚だけど、外が見えなくてよかった。

《まぶたは薄い皮膚でしかないはずなのに、風景が透けて
見えたことはまだない。もう少しで見えそうだと思ったりもす
るけど、眼を閉じた状態で見えているのは、まぶたの裏側
の皮膚にすぎない。あきらめて、まぶたをあげると、あたりま
えのことだけれど風景が見える。》
なんということのないような文章だけど、小説の導入として上手いと思う。なんかいい。
と印象に残っていた。
で、今日は午後歯医者さんだった。
治療はすでにこの前に終わっていて、今日は女性医師による歯石取りと、院長さんの最終診察。
眼を閉じて女性医師に委ねている時にフッと「劇場」の出だしを思い出した。
もし、眼を閉じているのに、風景が透けて見えたら恥ずかしいなあと。
眼を閉じているわたしの顔のすぐそばに彼女の顔があり、その眼が真剣に見開かれ、わたしの口の中を覗いていると思ったら恥ずかしくて仕方がない。だって、彼女は若くて美人だから。
まぶたは薄い皮膚だけど、外が見えなくてよかった。