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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

随筆 達人の至言

2023-06-15 15:44:25 | 出久根達郎さん
出久根達郎さんから届きました。



『随筆 達人の至言』

手に取って見て、「おや?」という感じ。
これまでの出久根さんの本とは微妙に違う。
出久根さんの本なら当然大手の出版社から出るだろう。
しかしこれは表紙にも背表紙にも出版社の名前がない。
本の作りも、私家版様のもの。
奥付を見てみた。
発行所は「裏町文庫藤吾堂(藤吾堂出版)」とある。
そして発行者、井原修。
「あとがき」を読んでみた。
そうか、そうだったのか、と思った次第。
これは前半部分。

出久根さんの友情出版とでもいえばいいのだろうか。
楽しみに読ませていただきます。



『触媒のうた』 出久根さん推薦の本。


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『遠い「山びこ」』という本 

2023-01-07 20:54:49 | 出久根達郎さん
『遠い「山びこ」』(佐野眞一著・1996年刊・文春文庫)を読み終えた。
単行本は1992年に文芸春秋社から出ている。丁度30年前だ。
凄い本だった。自分の子ども時代と重なる部分が多いので余計に感動した。

出久根達郎さんが解説を書いておられると知って図書館からお借りしてきた本。
その「水蜜桃の種」と題された解説、心の底を打つ解説だ。ご自分の体験を語っておられる。
その一部。

《私が用いた教科書に出ていた作品は、江口江一の「母の死とその後」である。
「僕の家は貧乏で、山元村の中でもいちばんくらい貧乏です」という書き出しを、先生に指名された者が朗読したとき、教室に軽い失笑が起こった。私だけが笑えなかった。顔がこわばった。自分が笑われたような気がしたのである。人の口から貧乏という言葉をきくのが、貧乏の当事者だっただけに、とてもいやだった。次の日は学校を休んだ。私は江口江一の作文を、ひどくうらんだのである。
「山びこ学校」の名称は、だから私には良い響きではない。
この題名の本をじっくりと読んだのは、集団就職で上京し、古本屋の店員になってからである。美乏という語が出てきても、笑うものはまわりにいない。私は心置きなく、じっくり読んだ。江一に対しても恨むどころか、「山びこ学校」の生徒43人の中で、もっとも親近感を覚えた。》

この解説は4ページあるが、わたしは、本を手に取った最初と、読み終えてさっき、もう一度読んだ。
出久根さんのお人柄がよく解る解説だ。

『触媒のうた』 出久根さんが帯文で推奨してくださっている本。
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出久根達郎さんの解説

2022-12-24 15:48:32 | 出久根達郎さん
出久根達郎さんの『朝茶と一冊』を読んでいて読みたくなった本、『遠い「山びこ」』(佐野眞一著・文春文庫)です。



「無着成恭と教え子たちの四十年」とサブタイトルがついてます。
西宮図書館から今朝お借りしてきました。
もちろん徒歩で。約4000歩。
いいお天気で、やはり帰りはジャンバーを脱いで。



この本をなぜ借りて来たかというと、解説を出久根さんが書いておられるのを知ったからです。
読んでみて、やはり名文でした。
涙が出る思いです。
←二段階クリック。



『触媒のうた』出久根達郎さんお奨めのわたしの本。帯文は出久根さんです。 
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出久根達郎さんの読書

2022-12-21 10:22:03 | 出久根達郎さん

出久根さんの本『朝茶と一冊』(文春文庫・2000年刊)にこんな箇所がある。
《(略)さて、なんの本であったか思い出せない。雑多な本を拾い読みする癖があるので(その中で面白いと感じたもののみ通読する)、本によっては、ものの数分の縁であったものもある。私の場合、縁のなかった本も、またあった本も、読了すると、商品として店に並べてしまう。》
このころ出久根さんはまだ古書店を経営なさっていたのですね。
読み始めて興味の湧かなかった本はすぐに読むのをやめてしまうというわけだ。
そうか、出久根さんほどの読書家でもそんなことがあるのですね。
それじゃあ私なんか、途中で面白くないと思えばやめてしまうのも無理のない話ですね。
次の本に進めばいいわけだ。そうしていますけれど。

『触媒のうた』出久根さんが帯文を提供してくださった本です。
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面白い小説は

2022-12-07 07:44:56 | 出久根達郎さん

『朝茶で一冊』、今朝読んだところ。
《面白い小説は、読むのが早い。坂道を自転車で走り下るように、次第に加速され、あっというまに、読み切ってしまう。》
同感ですね。もしかしたら詩集もかもしれない。
ただし、「おもしろい」の意味にはいろいろあります。
で、出久根さんがこの項でおっしゃっている面白い小説は『梟の拳』(香納諒一著)。
出久根さんはこう書いておられる。
《私は五百三十二ページのこの小説を、医院の待合室で一気に読了した。二時間ちょっとで読み終った勘定である。》
是非読んでみたい。

何度も読めて面白い本。『コーヒーカップの耳』おもしろうてやがて哀しき喫茶店。
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出久根達郎さんの肉声

2022-08-26 09:11:44 | 出久根達郎さん
youtubeを触っていて偶然、出久根達郎さんの肉声に出会った。
素晴らしい毛筆のお便りはよく頂いているが、肉声に接する機会は少ない。
昔、NHKテレビで夏目漱石についての連続番組を見たことはあるが。

誠実そうな風貌の人だ。実際に誠実なお人だが。


「竜馬がゆく」司馬遼太郎_ 出久根達郎【よんでみよう 読んでみた】


出久根達郎さん推薦の本。『触媒のうた』(今村欣史著・神戸新聞総合出版センター刊)
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出久根達郎さんと田中冬二

2022-07-05 08:19:07 | 出久根達郎さん
表を見ただけで誰からか分かる封筒。
なに?と思ったら、以前にお送りしていたコピーへの返信だった。

お忙しいのに申し訳ないことで。
詩人田中冬二について書いたエッセイ「飛騨高山の山鳥」のこと。

「大いに感銘」と書いて下さっている。
うれしい。
それにしても書きなれたいい字ですね。

『触媒のうた』出久根達郎さん推薦の本。
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湯川秀樹博士の短歌

2022-03-17 18:50:47 | 出久根達郎さん
出久根達郎さんの『行蔵は我にあり』を読み終えました。


紹介したい面白い話がいっぱいありました。しかし、きりがないのと、ほかに書くことが多かったので紹介できませんでした。
妻にはちょこちょこ読んでやっていたのですが。
最後の登場人物は湯川秀樹博士でした。
結びの言葉を紹介しましょう。
湯川博士の短歌です。
広島の原爆を詠んだ歌とのこと。

《天地のわかれし時に成りしとふ原子ふたたび砕けちる今》
《今よりは世界ひとつにとことはに平和を守るほかに道なし》
《この星に人絶えはてし後の世の永夜清宵(せいしょう)何の所為ぞや》


プーチンに読んで聞かせてやりたいものです。

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『行蔵は我にあり』

2022-03-01 10:52:29 | 出久根達郎さん
今読んでいる本。



『行蔵は我にあり』(出久根達郎著・文春新書・平成16年刊)です。
いつに変わらぬ出久根さんの歯切れのよい文体を楽しんでいます。
その中の「花森安治」。
花森はわたしが敬愛する杉山平一先生が兄事した人。こんな風に書き出されます。
《花森といえば、スカート姿だが、これは伝説らしい。女装したのは事実だが、スカートははいていない。》
あれ?そうだったのか。
こんな箇所があります。
《母が39歳で亡くなった。。枕元に制服をつけた花森を立たせ、しみじみと眺め、「立派だねえ」と言った。花森は、あほくさ、とつぶやいた。》

そしてさっき読んだところ。
禅の大家、鈴木大拙の章。
《座敷に這うゲジゲジや虫を見つけると、「君たちはこんな所にいるよりは、外にいた方がいいよ」と言い聞かせながら、窓を開けて戸外に放してやった。ところが、ゴキブリだけは別で、スリッパを持って血相変えて追いまわした。すべてのものに仏性があるのでは?と人が皮肉ると、「いや、あいつだけは困る。本の糊をなめる悪い癖があっていかん。しかし何て足の早いやつだろう」と嘆息した。大拙にとって、書物はかけがえのない宝物であった。書物は読まなくてもよい。所持するだけでよろしい。書物の放出する気を取り込むのだ、と言った。大拙を慕って、さまざまな人たちが身の上相談に訪れる。大拙は耳に手を当てながら、何時間でも、な、な、と相槌を打ちながら聞いている。なるほど、と言う意味の、な、である。話を終えて、どうしたらよいでしょう?と答えを求めると、いつも、「わしゃあ、わからん」と首を振る。》

楽しい本です。

『触媒のうた』出久根さんお奨めの本です。
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『行蔵は我にあり』

2022-02-11 09:27:54 | 出久根達郎さん
今朝の神戸新聞「正平調」です。拝借お許しを。



出久根達郎さんの著書『行蔵は我にあり』からの引用。
この本、わたし持ってたかなあ?
引用されている言葉「人みなの よしといふとも われひとり よしと思はねば よしとは云はじ」は覚えていない。
ということは所持してないのかも。調べて無かったら買おう。
出久根さんは拙著『触媒のうた』に帯文を提供してくださった作家さんです。

『コーヒーカップの耳』 おもしろうてやがて哀しき喫茶店。
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下の歯は屋根に

2021-12-03 09:44:32 | 出久根達郎さん


出久根達郎さんの『花のなごり』を読んでいて、ほほう!と思ったページ。

「下の歯なら屋根の上に」とあります。
さらに「歯を置くために屋根に上った」と。
わたしは昔のことが鮮やかに思い出されたのです。
わたしが詩を書き始めた当初の作品。
お恥ずかしながら。

今ではとても屋根には上がれません。
自分一人の体でも無理。
まして小さな子を連れて上がるなんて、若かったからこそですね。

因みにこの小説は出久根さんお得意の歴史もの。冒頭、こう書き出されています。
《この物語は、奈良奉行・川路聖謨(としあきら)が、江戸の実母に送った自筆の日記『寧府紀事』に基づいて構成している。》
まだ読み始めて間がないですが、出久根さんらしい歯切れのいい文章でどんどん読み進められます。要するに面白いのです。

『触媒のうた』 おもしろ文学史



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出久根さんの奥様の声

2021-12-01 11:31:07 | 出久根達郎さん
東京の作家、出久根達郎さんから先日、献本を受けていた。 



礼状をと思いながら、バタバタしていて書けていなかった。
そこで今朝、取りあえず電話を、と。
久しぶりに奥様の声も聞きたいなと。
そしたらやはり奥様が出られて、いつも通り、
「あら、今村さん」
と、屈託のない明るい声。
うれしくなってしまう。
いつもなら出久根さん本人が出られることはない(お忙しい人だ)が今日は代わってくださってご挨拶できた。
午前中だったからか、電話の近くで奥様のそばにおられたのだ。
良かった。

『コーヒーカップの耳』 昭和の喫茶店風景
『触媒のうた』 おもしろ文学史
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『花のなごり』

2021-11-25 08:43:08 | 出久根達郎さん
昨日贈られた本のうちの一冊。



出久根達郎さんの『花のなごり』(養徳社刊・2500円+税)です。
468ページもある大著です。

見返しに、こんな識語署名が。

うれしいですねえ。ちゃんとした毛筆で書いてくださっています。
出久根さんは、23年前にわたしが私家版で『工場風景』(30部限定)を出した時に、杉山平一先生から紹介を受けて以来のお付き合いです。
その杉山先生の話をある会で近々することになっています。
あ、そうだ。出久根さんには拙著『触媒のうた』に帯文を提供していただいたのでした。
いい縁をいただいています。杉山先生のお陰です。
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『古本屋歳時記』

2021-06-05 18:04:07 | 出久根達郎さん
今朝、図書館までウォーキング。約4000歩。
予約してあった本をお借りして、ついでにエッセイの棚を見て、お借りしました。



出久根達郎さんの『古本屋歳時記』(河出書房新社・2011年刊)です。
出久根さんのエッセイはとにかく読みやすい文章。
ほかに読みかけの本や、読まねばならない本があるのだが、返済期日もあることだし、これを先によんでしまおう。
三十数篇が収められているが、今日中に読めそうだ。
文体は軽いが内容には深みのあるものもあり、エスプリに満ちてもいる。
才能(もちろん努力できる才能も含めてでしょうが)がうらやましい。わたしもこの文才にあやかりたいもの。


『コーヒーカップの耳』
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読みどころ、いっぱい『最後の恋文』

2021-05-23 09:00:14 | 出久根達郎さん
まだ半分ほどのところを読んでいるのだが、出久根さんの随筆『最後の恋文』は、読みどころがいっぱいだ。

やはり出久根さんはいいなあ。
表題の随筆「最後の恋文」がすこぶるいい。
ぜひクリックして読んでみてください。






泣けますよね。
これは随筆というより、優れた短編小説のような。さすがに出久根さんです。
ところでこれを書かれた時の出久根さんの御年だが、巻末の初出一覧表から推察すると58歳ぐらいだ。
信じられない。出久根さんはわたしより一歳下。今ぐらいの年齢の感覚の文章だと思うのだが。

また、こんな文がある。
「陰徳なるかな」という項。
《間島保夫さんと知りあったのは、夏目漱石がきっかけである。漱石が取り持って下さった。》
あれ?これ読んだことがあるぞ、と思った。
これも巻末の初出一覧を見ると、「間島保夫追悼文集」とあった。
それならわたしも所持しているので既読感があって当然。
20年前のわたしの『コーヒーカップの耳』の出版記念会にも出席してくださったのだった。
さらに間島さんは、宮崎翁が信頼されていた古書店主。
翁はご自分の蔵書を間島さんに死後に任せるおつもりだった。
が間島さんの方がはるかに早く逝ってしまわれたのだった。

『コーヒーカップの耳』
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