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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

役に立たない学問

2022-02-01 11:44:46 | 本・雑誌
『天才の栄光と挫折』と関連して『世にも美しい数学入門』(藤原正彦・小川洋子 ちくまプリマ―新書・2005年)を読んでいる。



対談をもとにして作られた本なので読みやすく面白い。
すぐにこんな話が載っている。
藤原「(すぐに実用に役立つというのは)恥ずかしいことなんです(笑)。役立つというと格下になっちゃうんです。だからケンブリッジ大学でも、つい近年までは工学部というのはなかったんですよ。すぐに役立っちゃうから。そういうものは学問とは見なさないんですね。」

『コーヒーカップの耳』恥ずかしく、役に立たない話がいっぱい。

追記
  【 ホントなん?】
『世にも美しい数学入門』にこんな一行が(文学や芸術の話の中で)。
《人間の涙がどうして流れるかというのは、医学的には説明がついていないらしい…》
眼科医さん、これホントですか?
ただし、2005年発行の本ですが。
その後解明されているとかはないのかな?

追記の追記
  ノーベルへの評が話された後で
  小川 「数学者からしてみると、ノーベルは自分の発明でお金を稼いだわけですから、もっとも許せないやつですね。
  藤原 「しかも、日本にとっては大損害ですね。数学にノーベル賞があったら二十はいっていると思います。
      日本には昔からこういった美的感受性がとても発達していますから、数学におあつらえむきなのだと思います。
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天才は苦悩する?

2022-01-31 17:21:26 | 本・雑誌
藤原正彦氏の『天才の栄光と挫折』をやっと読み終えた。
今日は目がほぼ恢復したので。



他の本を読みながらだったので、やっとである。
読み応えのある本だった。
難しかったけれど、天才数学者とその人間味が描かれていて感動した。
「あとがき」の一部にこうある。

《人間は誰も、栄光や挫折、成功や失敗、得意や失意、優越感や劣等感、につきまとわれる。そしてそれは自らの才能のなさのため、と思いがちである。否。天才こそがこのような両極を痛々しいほどに体験する人々である。凡人の数十倍もの振幅の荒波に翻弄され、苦悩し、苦悶している。
天才がこのようなものと知ってから、天才は私にとって神ではなくなった。自ら進んで創造の苦しみを肉体にそして骨にくいこむほどに背負って歩いた人。たまたま運良く、あるいは運悪く選ばれたため、この世にいて天国と地獄を見た人といってもよい。》


わたしは、う~んとうなってしまう。
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田中冬二と池波正太郎

2022-01-16 08:48:22 | 本・雑誌
先日図書館からお借りしてきた本。



『田中冬二詩集』(思潮社・1988年発行)です。
冬二をちゃんと読むのは恥ずかしながら初めてです。
読んでみて思うのは、わたしに馴染む詩ということです。
ところで、この本に何人かの人が解説を書いておられるのですが、中に池波正太郎の名前があってびっくりでした。
言わずと知れた「鬼平犯科帳」や「剣客商売」などの時代小説を書いて人気のあった作家。
『鬼平犯科帳』はわたしも一昨年に全作を読んだのでした。そして今、サンテレビで再放送されている両作を楽しんでいます。
池波さんはこう書いています。
《少年のころ、叔父の書架にあった「山鴫」という詩集を何気なく手に取ってみた。その時、私は初めて、田中冬二の詩に接したのだった。(略)「お前、田中冬二がわかるのかい」と、叔父に冷やかされた。私は、十三歳だった。》
このあとも興味深い文章が続きます。
この本、お借りしているのですが、自分のものにしたいと思って、ネットを見てみると、けっこう高値になっています。
そうか、人気があるのか、と思った次第です。

ついでに書いておきますと、あの三島由紀夫も冬二のファンだったそうです。意外でした。
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『神の悪手』

2022-01-08 10:54:44 | 本・雑誌
もう半年ほども前に図書館に予約していた本が、「準備できました」とメールがあって、行ってきました。
今年初めての図書館です。
もちろん歩いて。約4200歩。
歩くと暑くなるのはわかっているので、ベストを一枚脱いで、肌着と薄いセーターとジャンバーで行きました。
さすがに始めは少し肌寒くて日なたを歩きました。
今日は日本晴れです。図書館に着くころには温まっていました。
なので、帰りは日陰を歩きました。
それでも半分ほど帰ったところで額に汗が。
そこからはジャンバーを脱いで手にぶら下げて帰ってきました。

ところでお借りした本です。



『神の悪手』(芹沢央著・新潮社)。
将棋小説です。
新聞の読書欄に書評が載っていたのだと思います。
それでとりあえず予約しておいたのでした。
それが忘れたころにやっとメールが来ました。
まだわたしのあとに40人ほど待っておられます。
早く読んでお返ししなくては。
あるいは、待ちくたびれている人は本屋さんで買ってください。
著者が喜びます。
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和算の関孝和

2022-01-07 14:10:47 | 本・雑誌
今朝は寝坊してしまった。
遠くの方から妻の呼ぶ声がする。
気持ちよく夢を見ていた。
何の夢かは目覚めたとたんに忘れてしまった。
時計を見ると、7時半!
「うわっ!」である。
今日はM病院の予約受診の日。
しかも9時予約である。
寝坊の原因は昨夜の将棋だ。
今年最初のお相手が〇△四段という強敵。
疲れたのである。
将棋はつくづく体力勝負だと思う。
この一局に精力を使い果たしたのだ。
で、今朝の寝坊になってしまったというわけだ。

ところで病院だが、検査の結果は前回とほぼ同じで、また三か月後ということに。良かった。
しかし病院は、正月明けということでエラ混みでした。
最初血液検査なのだが、検査室に入れず廊下にまで行列。
こんなことは初めてのこと。
しかも受診も9時予約が10時にずれ込み。
終って会計も30分ぐらい待たされた。
ま、病院では患者それぞれですから仕方のないことで。

病院へは必ず文庫本を持って行くことにしている。待ち時間に読むため。
今日はこれ。
『天才の栄光と挫折 数学者列伝』(藤原正彦著・文春文庫)。
著者の藤原さんは、数学者であり文学者でもある人。
また、作家、新田次郎・藤原ていのご子息。そして今、姫路文学館の館長さん。

今日は待ち時間が異常に長かったので、遅読のわたしでも90ページほど読めた。
その中で、この件。感動しました。
不運の和算家、関孝和の章から。孝和の一番弟子、建部賢弘(かたひろ)に関するところ。

《傷心の孝和にとって一番弟子建部賢弘のほれぼれするような天才と人格は、慰めだったろう。賢弘は孝和の『発徴算法』に種々の改良を加えた『発徴算法演段諺解(えんだんげんかい)』を著し、孝和の業績を世に広め後世に残した。また 、主に孝和と自らの業績を集めた和算全集『大成算経』二十巻の著作編集を兄賢明、師孝和の三人で開始した。二十数年後、孝和の他界した二年後に、これは二十巻の書物として完成したが、師への敬慕と、名を包み隠すという人柄から、賢弘は署名さえしなかったのである。したがってこの書は共著でありながら、長い間孝和の著と誤解されたほどである。》

これには感動しないわけにはゆきませんね。


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小説における言葉の美しさとは

2022-01-06 11:15:50 | 本・雑誌

小川洋子さんの『遠慮深いうたた寝』に出て来る言葉。

《小説における言葉の美しさとはつまり、一文一文、一語一語に対する慎重さに尽きるのだ。(略)同じ簡潔な一文でも、無意識にあっさりと書かれたものより、混乱と逡巡の末にようやくたどり着いた文章の方が美しい。もちろん見た目には何も変わらない。途中の痕跡はきれいに消え去り、最初からこの姿でここに置かれていたのです、とでもいうようなさり気ない、しかし確固とした風情を漂わせている。にもかかわらず、やはり、残酷なほどに誤魔化しきれない違いが、そこにはある。何度もその一文に触れた、作者の指の体温が、言葉に奥行を与え、そこにこだまする音の響きが美しさを生む。その美はこれ見よがしにこちらに迫ってくることなく、あえて美しいと名づけられることも求めないまま、言葉の連なりの陰に身を潜めている。》

「小説」を、「詩」あるいは「随想」と置き換えてもいいのでしょう。
わたしも心しよう。
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『遠慮深いうたた寝』

2021-12-30 18:06:34 | 本・雑誌
隙間時間に読んでいる本。



小川洋子さんの『遠慮深いうたた寝』(2021年11月30日発行・河出書房新社)。
2006年から2021年4月までに書かれたエッセイ集です。
一篇一篇が短いので隙間時間に読むのに適してます。

これまでに読んだ中で印象深かったもの。
「素数は私を裏切らない」です。
←クリック。

←クリック。

小川さんの数学話がわたしは好きで、これもその一つ。
ご自身は数学不得手とおっしゃってるが…。
これは、数学と将棋との関連で書かれていて余計に興味を持ちました。

《将棋の才能と数学的な思考とは、やはり関連があるのだろうか。つまり、天文学的な数字にのぼる手の中から、王様を追い詰める最善の道筋を描き出す能力と、2011の中に隠された秘密を発掘する能力は、同じ泉から湧き出しているものなのか…。》

わたしにとって興味深い話です。
「子ども将棋教室」でネタとして使えるかもしれません。

『コーヒーカップの耳』将棋の話もいくつか載ってます。
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今年の読書、トップ11。

2021-12-29 18:26:11 | 本・雑誌
今年読んで良かった本、トップ11。

① 『がんを瞬時に破壊する光免疫療法』小林久隆著。
② 『花のなごり』出久根達郎著。
③ 『食べることと出すこと』頭木弘樹著。
④ 『夜の橋』藤沢周平著。
⑤ 『きよしこ』重松清著。
⑥ 『草雲雀』葉室麟著。
⑦ 『毎日がこれっきり』木皿泉著。
⑧ 『徳川家康』山岡荘八著。
⑨ 『縁起 小墓圓満地蔵尊』今村欣史著。
⑩ 『完本 コーヒーカップの耳』今村欣史著。
⑪ 『触媒のうた』今村欣史著。

順位はこの通りではありません。
また、ほかにも良かったもので失念してるものもあると思います。
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山本夏彦

2021-12-16 10:03:37 | 本・雑誌
昨日図書館に行った折、リサイクル書棚を覗いたら「山本夏彦」の本があったので戴いてきた。



この前、兵庫県現代詩協会の読書会で「おしゃべり」した時にちょっと出した名前だったので。
『笑わぬでもなし』(昭和51年・文芸春秋)というエッセイ集。
いくつかのエッセイを読んだが、歯切れのいい文章だ。
センテンスが短くスピード感満点。
そこで「あとがき」を見てみた。
こんなことが書いてある。
《二十年私は(文を)短くする稽古をして、めでたく短くなったのはいいが、次第に早口になった。短兵急にすぎて、まるで怒られているようだと言われるようになった。冗談にもせよ、人か鬼かとその語気を評されるようになった。いくらコラムでも,用だけ足りればいいというものではない。多少の紆余曲折がなければならないと教えられ、前非を悔いてその多少を加えたのが本書である。》
そうか、これでも長くなったのか。ただし、センテンスはやはり短いと思う。

さて、わたしの書くものはどうなんだろう?
『コーヒーカップの耳』
『触媒のうた』
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『徳川家康』

2021-12-06 10:58:42 | 本・雑誌
山岡荘八の『徳川家康』を読んでいる。
今、第22巻。

今年の始めごろに思い立って読み始めたもの。
第一巻から図書館で順次借りている。
中に二巻、廃棄された巻があって、古本を購入して読み、あと図書館に寄贈しておいた。
この『徳川家康』は若い頃に一度読んだことがある。
大いに感動して、次の本が出るのが待ち遠しかったのを覚えている。
たしか全26巻だったと思うので、あと4巻で終わり。
しかし今年中には読み切れそうにない。
一巻、ほぼ500ページある。
今年はこれに多く時間を費やした。
これを読み切ったら、もう次にはこんな大長編を読むのはやめよう。
やらねばならないことがまだあるのだから。

『触媒のうた』 この本を宮崎翁ご健在のうちに出せたのは良かった。
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ドリアン助川さんの本

2021-11-05 12:43:00 | 本・雑誌
図書館まで行ってきました。
もちろん徒歩で。
途中、ちょっと寄り道しましたのでいつもより歩数は多く、約5000歩。
帰宅したころには汗びっしょり。
着替えました。
借りてる本の返却期限が来て、やっとギリギリ読み終えて(次の予約者がある本だったので延長が出来ず)お返ししたんですが、
わたしが予約してる何冊かの本はまだ順番が回ってきてませんでした。
なので、何かないかなあと、棚を見ていたら、
あれ?これまだ読んでないぞ、と思ったドリアン助川さんの本がありました。



『プチ革命 言葉の森を育てよう』(ドリアン助川著・岩波ジュニア新書)です。
カウンターで借り出し手続きしようと列の後ろに並んだら、係員さんがやってきて、
「こちらで手続をなさいませんか?」と、自動貸し出し機を指さされました。
前から気づいていたのですが、やり方を知らなかったので利用したことがありません。
教えてもらったらごく簡単でした。
これは人にもお教えしなければと思って、ブログに上げるために機械にカメラを向けたら、
「写真は許可が必要。書類に記入を」と言われました。
えっ?そんな大そうな。個人情報が写り込むわけじゃなし。
「あ、それならいいです」と帰ってきましたが、この前上げたブログの「これ」はどうなんでしょうか?
やはり本当は上げたらダメだったのでしょうか?
館内で勝手に写しましたが。
どうもすみませんでした。

imamura kinjiの最近の主な著書。
『触媒のうた』
『コーヒーカップの耳』
『縁起・小墓圓満地蔵尊』
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リサイクル図書

2021-10-22 11:48:23 | 本・雑誌
西宮中央図書館へ行ってきました。
予約していた本の受け取りに。もちろん徒歩で。約4000歩。汗かきました。

館内のステンドグラスです。



旧図書館を飾っていたもの。戦災を逃れたのです。
解体する際、廃棄せずに残して、市内各所の図書館や公民館に活用したもの。

帰りにリサイクル図書の棚から一冊いただいて帰ってきました。



杉本苑子さんの随想集『片方の耳飾り』(読売新聞社・昭和54年)。
杉本さんの直筆書簡がうちにはたくさんあります。
すべて宮崎翁宛のもの。
そんな縁でこの本、いただいてきました。
杉本さんについては『触媒のうた』でも取り上げております。ご参照ください。
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赤毛のアン

2021-10-16 08:09:28 | 本・雑誌
NHKテレビで日曜日の夜遅く「アンという少女」というドラマをやっている。
春に第一シリーズをやっていて面白かった。
今また第二シリーズをやっていて、楽しみに見ている。
見損ねた時のために一応録画予約している。
背景がいい。画面に詩情があっていい。
このほど古本屋さんに頼んでいた原作本『赤毛のアン』を入手し読み始めた。
これまで読んだことがなかった。


カバー絵は風間完。

これがまた面白い。
テレビ映画のキャストがぴったりだと思う。
アンもマリラもマシュウもぴったりだ。
この人たちをモデルにして、そのままを描いているのでは?と思うほど。


「喫茶・輪」は廃業いたしました。但し、「書斎・輪」へのご来訪は歓迎致します。

『コーヒーカップの耳』
 「喫茶・輪」の歴史が詰まっています。
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方言の大切さ

2021-09-17 10:24:35 | 本・雑誌


『文章のみがき方』だが、こんな章があってうれしい。
「土地の言葉を大切にする」。
我が意を得たり。
一例。寺山修司の言葉から。
《いまや、標準語は政治を語ることばに堕してしまい「人生を語ることばは方言しかなくなってしまった」のである。》と。

『コーヒーカップの耳』方言で書かれた本です。
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「泣くな、けい」

2021-09-15 07:52:55 | 本・雑誌
ある本に一部引用されていて読んでみようと思った小説が収められている本。



藤沢周平の『夜の橋』です。
この中の短編小説「泣くな、けい」。期待通り良かった。
40ページほどの短いもの。一時間ほどで読んで、家内に「ええ小説やった」と言ってあらすじを語ってやりました。
そしたらまた感動してしまった、というもの。
もしかしたら映画になってるのでは?と思ったが、無かった。
いい映画になると思うのだが。

『コーヒーカップの耳』
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