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喫茶 輪

コーヒーカップの耳

詩集『緒(いとぐち)』

2023-11-22 07:44:54 | 
詩集『緒』です。



「いとぐち」とルビが振ってあります。
編集工房ノア発行。
B6版のおとなしい装丁の本です。
ソフトカバーと言うのがまた手に馴染んで好もしいです。
次に詩集を出すならこんなのがいいなあ、と思ったことでした。
著者の村上文緒さんをわたしは知りません。多分、ノア代表の涸沢さんの手配によるものでしょう。
ありがとうございます。

読み始めてわたしは少し戸惑いました。
一読してスッと解るものではなかったのです。
暗喩を駆使した作品が多いのです。
わたしの読解力がないということです。
読者の想像力に委ねるということですね。
そのつもりで読めばそれなりに楽しめます。
これは表題詩「緒」(いとぐち)。


この詩は「第18回徳島詩壇賞」受賞作品とあります。
なるほど想像させる力がありますね。

先に暗喩の作品が多いと書きました。
が、後半に入ると、コロッと作風が変わりました。
わたしはこちらの方が好きです。
これは「九月一日?(阿波弁)」。
これはよくわかりますね。作者のもの書く心でしょうか。
「今まで ほんまに よう頑張ってきたな」という一行があって、それなりの年齢の人かな?と思いましたが、
1982年生まれとあって、わたしの半分ほどの年齢です。
次のページには同じタイトルの作品があって、それは標準語で書かれていて、内容が一緒です。
これは無くてもよかったのかな?と思いました。

これは「生と死の往復船」。

読者それぞれにそれなりの情景が見えるいい詩だと思います。

もう一篇紹介します。
「百寿の祖母」です。なにも言わないでおきましょう。

あとがきも跋文もなくスッキリとしています。
読者を優しい心持にする、70ページあまりの小さな詩集です。

『完本 コーヒーカップの耳』 おもしろうてやがて哀しき喫茶店。



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「こだま」

2023-11-20 08:20:22 | 
今日の神戸新聞の読者文芸、詩の入選作、力作が多かったです。
それに比して特選作は力作といえるかどうか。



しかしわたしは、こんなのが好きなんです。
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鏡は怖い

2023-11-15 10:56:15 | 
今日の神戸新聞、読者文芸欄の特選詩です。

わたしと同年代の人の作品。
そうか、そんなことを考える年なのか。
鏡を見るのは最近怖いですね。特に夜中にトイレに起きた起きたときなど、洗面所の鏡は見ないようにしています。
単に顔が映るだけでなく、ほかのものが写っているような気がして。
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『多島海』44号

2023-11-14 15:27:32 | 
今年の小野十三郎賞を受けられた詩人、江口節さんからお贈りいただきました。
『多島海』44号です。詩と散文の同人誌。



いつもありがとうございます。

松本衆司さんの詩「嵐山プロセス」です。

実はこのあと、もう一ページあって、
終連は次のようになってます。
   いずれ来る 
   断層の闇の中に
   川面に浮かぶ
   月があることを
   ぼんやり
   考えている

きめ細かな描写と思索の詩ですね。
この初行に目が留まりました。
最近あるところに書いた原稿に使った杉山平一先生の詩「橋の上」の初行に重なっていて驚いたのです。
偶然です。


これは江口さんの詩「空耳」。

このあとつぎのように続きます。
   聞いとらんだけじゃろうが
   生返事ばぁして」

   やっぱり空耳だよね?
   おじいちゃん

命のつながりを懐かしく、そしてあたたかな筆致で書かれていて好もしい作品でした。
このタイトル「空耳」ですが、同じ題の作品がわたしにもあります。
わたしのは超軽いものですけどね。

ほかのお二人の作品も上質のものでした。
散文ですが、彼末れい子さんの「マダニに咬まれて」は興味深い話でした。
マダニも怖いのですね。17日もの入院だったと。

松本さんの「アポリネールのように その四」は、大阪文学学校の歴史の証言。貴重なものです。
杉山平一先生や安水稔和先生の名前も出てきて興味深かったです。

江口さんの「清水茂さんの想い出」。『ドン・ジュアンの裁き』の江口さんの翻訳が面白かったです。

最後のページ、裏表紙の裏ですが、紙の色が印刷に適さないのではないでしょうか?わたしの目では読めなかったです。

江口さん、ありがとうございました。

  

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「励ましてもらいたいのです」

2023-11-12 14:14:59 | 
神戸の詩人、永井ますみさんからお贈りいただきました。
「リヴィエール」191号です。



いつもありがとうございます。

中でわたしが興味深かったのはこの作品。

タイトルがユニーク。「励ましてもらいたいのです」。
作者は市原礼子さん。
内容は笑えるようなものではないんですが、この詩、とぼけた味があってなんだかおかしいです。
市原さん、どうかお大事に。
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「千切れ雲」

2023-10-26 19:11:47 | 
兵庫県現代詩協会のHPにわたしのページを作っていただきました。
「千切れ雲」です。
ボチボチと書き足して行こうと思っています。
スマホからは入れないようです。PCからどうぞ。
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鹿児島の子どもの詩

2023-10-25 17:51:19 | 
種子島から届いた荷物のクッションに入っていた新聞紙ですが、

「南日本新聞」です。
発行所の地名がいいです。
鹿児島市与次郎1丁目。
この新聞に「子供のうた」という欄がありました。

新聞は三日分が入ってましたが、どれにも3篇の詩が載っていました。
ということは毎日載っているということですね。
それがみないいんです。
上に上げた「こいのぼり」は一年生の子の作品です。
一年生とは思えない上手さです。
指導者がいいんでしょうね。
ただし、この新聞、2014年5月のものでした。

神戸新聞にも時おり載ってます。

これ、最近のもので3年生の子の作品です。

評はしないでおきましょう。

『コーヒーカップの耳』人間味あふれ、詩ごころいっぱいの本。
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「電池」

2023-10-24 15:59:27 | 
時計の秒針が上がろうとしているのだが、もがくばかりで上がれない。



壁から外して仰向けて寝かせてやると、動き出した。
昔、書いた詩がある。
「電池」という。

秒針が

54秒のあたりで

上がろうとしては落ち

上がろうとしては落ち

している。
       ( 詩集『喫茶・輪』2011年刊より )

わたしが54歳の時の作品だ。
80秒というのはないなあ。
というより、落下してるのか。
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「芦屋芸術」18号

2023-10-17 13:00:25 | 
芦屋の詩人、山下徹さんからいつもお贈りいただいています「芦屋芸術」。

18号です。
200ページほどもある立派な文芸誌。
今回は5人の客員を得ての発行。
より充実しています。
わたしがもっとも感動を受けたのは、スミレさんの小詩集「私のおじいちゃん」でした。
6篇の全てのタイトルに「おじいちゃん」という言葉が使われています。
読んでみると、いまはないおじいちゃんへの愛情が溢れているのです。
これはそのうちの一篇。最も短い詩「おじいちゃんと夏」です。

生前のおじいちゃんとの細やかな交流があたたかな目線で書かれていて、ほっこりとした懐かしさが感じられます。
わたしにも孫娘がいますので、自分がどう思われているだろうか、と考えたり。
わたしの死後にどんな風に感じてくれるだろうかと思ったり、自分に添えて考えてしまいます。
特別に技量があるという詩ではありませんが、思いが伝わってくるのです。

山中従子さんの3篇にも感動を受けました。晩年の姑さんとのふれあいともいうべき交流。そして看取りが丁寧に、そして赤裸々に綴られて行きます。
一篇の小説のように。作者は正直な人なんだなと思えました。

榎本三知子さんの「暑い夏―ー未来の子供たちへの祈り」は力作でした。
作者は河内長野市に住む人ですが、文中に「五十年ほど前、わたしは転居してきた」とあり、この地のお生まれではありません。
「私は大阪市内の職場へ通う通勤族に過ぎなかった」とあります。その人の余生を送る中での一コマといえば失礼かもしれませんが、その物語。
散歩コースにある地蔵さんのことから書き起こし、その地蔵の数奇な運命を知り、興味をその地域の歴史へと繫いでゆきます。
そして過去の戦争に行き着き、未来の子供たちの幸せを考えることに。
わたしも隣のお地蔵さまのことから近在の歴史を調べることになり、一昨年、一冊の本にまとめましたので、大いに共感するところがありました。
いいものを読ませていただきました。




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長田弘さんの言葉

2023-10-16 08:38:28 | 
今朝の神戸新聞「正平調」です。

長田弘さんの言葉が出てきます。
長田弘さんはわたしも好きな詩人。
お会いしたことはありませんが、この人の散文詩が特に好きでよく読みました。
ここに書かれている事、大いに同感します。
《誰でも読んだ本は片っ端から忘れていく。ならばもう一度読めばいい。再読は本との友情の証。そのために本棚はある。》
なんか安心します。

さて『完本・コーヒーカップの耳』をまた読んでみようか。一篇たりとも忘れてはいないが。
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子どもの詩

2023-10-08 08:56:52 | 
昨日参加してきた北口ガーデンズでの野外フェスティバルですが、小学生が応募した詩、1426篇はすべて展示されてました。

圧巻です。
今日8日まで展示されてます。
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「余震まで」

2023-10-06 14:16:26 | 


『祭りの夜に六地蔵』(服部誕著・思潮社)ですが、終わりに近いところにあるこの詩が強く印象に残りました。
「余震まで」です。

このあとまだ続いて全6ページ、83行。
このような形で行が続きます。
地面から文字が立つように書かれています。
これは震災の時の町の姿をあらわしているのかも。
やはり、あの震災後、小林重樹さん(関西四季の会・同人)という詩人がこのような形で詩を書かれて、それを大きな書にして展示されたことがありました。
服部さんのこの「余震まで」ですが、わたしにとっても共通体験が書かれていて、また身近な地名が出てくるので大いに共感し、あの頃を生々しく思い出しました。
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『祭りの夜に六地蔵』

2023-10-05 17:18:17 | 
服部誕さんからお贈りいただきました。
『祭りの夜に六地蔵』(服部誕著・思潮社刊)です。



表紙に「詩集」とはうたわれておりませんがこれは詩集。
この「謝辞」の冒頭に「詩集」とあります。

感動的です。

巻頭詩の次の詩、「楕円形の春がやつて来た」です。

次のページにこう続きます。
  さへづりも絶え

  いくぶん扁平になつた藍白の月が
  待ち兼ねたやうに昇つて来ます
  
  楕円形の春がやつて来ました

この詩集の中でこれ一作だけが旧仮名遣いで書かれています。
わたしこの詩を声を出して読みました。
こんな風にです。最初の一行。
 「mizunoondogakawatutakaradeseuka」
文字のままに。
それをそばで聞いていた妻が、大笑いして喜びました。
まるで子供のようにです。
わたしもなんか楽しかったです。

他の詩も、想像力をかきたてるような作品が並んでいて楽しめます。
あ、そうだ。服部さんには前にも二度ほど著書お贈りいただいています。
素晴らしい書き手です。
わたしはどちらかと言うと、この人の小説が好きでした。




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江口節さんに小野十三郎賞!

2023-09-26 08:13:13 | 


情報を得たのは昨日。
江口節さんに小野十三郎賞と。
江口さんのことはこのブログに何度も書いてます。
江口さん、おめでとうございます!!長年の修練が報われましたね。
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『地平線』

2023-09-22 12:42:38 | 
書棚の一部を整理していたら出てきました。



むか~しの同人誌です。
B6版、わずか14ページの小さく薄っぺらいもの。
この前、いくら探しても見つからなかったのでした。
創刊号は1983年。
八田光代、川上美智子、今村欣史の三人誌。
7号を1986年に出してからは休刊。
川上さんは早くにお亡くなりになりました。
表紙絵は八田五郎さん。菅原洸人画伯のファンの人。

2~7号までわたしは子どもの言葉(口頭詩)を載せていて好評でした。
後に口頭詩集『ライオンの顔』と『きよのパーテイ』が生まれ、何度もラジオや新聞で紹介されたのでした。
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