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①ベートーベン:弦楽四重奏曲 ②シューベルト:弦楽四重奏曲 ③ブラームス:弦楽四重奏曲 ④バッハ:管弦楽組曲 ⑤バッハ:ブランデンブルグ協奏曲 ⑥モーツアルト:ピアノ協奏曲その他
ヴァイオリン/指揮:アドルフ・ブッシュ
CD:東芝EMI=TOCE-6781~97(CD17枚組)
アドルフ・ブッシュは慎み深い中に人情味溢れる音楽を奏でるバイオリニストであった。この頃の名手の共通項は、演奏家は作品自体に語らせることにあったのではないかと思えてならない。ブッシュもこの一人ということができる。一番その特徴が現れているのがバッハの演奏だ。こんなに親しみやすいバッハは聴いた事がない。なんと情感に溢れたバッハであることよ。ベートーベンを弾いた時も同じことが言える。例えば、弦楽四重奏曲第15番の第3楽章をブッシュは、浪々としかも細やかな神経が複雑に交差して昇華するさまを描ききる。ブッシュほどバイオリンの持つ情感を最大限に発揮させた奏者は他にあるまい。(蔵 志津久)