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★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-08-30 11:18:08 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~アルトゥール・シュナーベルのシューベルト:ピアノ独奏曲集~

シューベルト:ピアノソナタ第17番 D.850
         楽興の時 D.780
         行進曲 ホ長調 D.606
         ピアノソナタ第20番 D.959
         ピアノソナタ第21番 D.960

ピアノ:アルトゥール・シュナーベル

録音:1937年&1939年、英ロンドン、No.3スタジオ、Abbey Road

CD:EMI RECORDS CHS 7 64259 2(2枚組)

 このCDは、アルトゥル・シュナーベル(1882年―1951年)がシューベルトのピアノ独奏曲を収めた2枚組のアルバムである。シュナーベルというと世界で最初の「ベートーヴェン・ピアノソナタ全集」録音の完成者として著名であり、ベートーヴェンのピアノ協奏曲も全5曲を録音している。このほか、いくつかのモーツァルトのピアノ協奏曲やピアノソナタも遺しているが何と言っても“ベートーヴェン弾き”としての印象が強い。そんなシュナーベルがシューベルトのピアノ独奏曲に取り組んだのがこのCD2枚組のアルバム。選ばれた3つのシューベルトのピアノソナタは、どちらかというと、いずれもベートーヴェン的な雰囲気を持った曲であり、如何にもシュナーベルらしさを偲ばせる。ピアノソナタ第17番は、しっかりとした曲の骨格を十全なテクニックで鮮やかに表現する。ピアノソナタ第20番は、最後の3大ピアノソナタの2番目の曲でシューベルトの独自性が存分に発揮されている曲。シュナーベルはこのピアノソナタを陰影をはっきりとさせた雄弁な語り口で弾き切る。最後のピアノソナタ第21番でシュナーベルは、一音一音を確かめるかのようにシューベルトの世界を描き出す。そこには、薄っぺらな感傷なぞ微塵もない。心の奥底から絞り出すような息づかいが聴こえてくるだけだ。
(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-08-16 14:04:29 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~グレン・グールドのモーツアルト:ピアノソナタ全集~

<DISK1>

モーツアルト:ピアノソナタ第1番~第6番

<DISC2>

モーツアルト:ピアノソナタ第7番~第11番

<DISK3>

モーツアルト:ピアノソナタ第12番~第14番
        幻想曲ニ短調K.397

<DISK4>

モーツアルト:ピアノソナタ第15番~第17番
        幻想曲ハ短調K.475
        ソナタへ長調ロンド付きK.533/K.494

ピアノ:グレン・グールド

CD:CBS・ソニー OODC 269‐272(4枚組)

 このCDは大分以前に購入したが、ほとんど聴くことなしに封印してきた。その理由は、モーツアルトのピアノソナタは、クラシック音楽の中でもとりわけ純粋で、正統的で、限りなく美しい音楽であるという信念みたいなものが私の中にあったからである。クラウスやヘブラーの演奏は、これらを現実の音として再現している。ところが、グールドの弾くモーツアルトのピアノソナタは、古典的美意識なぞ何処吹く風とばかり、突如テンポを速くしたり、突然のスタッカート、従来のやり方とは逆の強弱の付け方など、およそモーツアルトのピアノソナタとは思えないような演奏を繰り広げるのである。当時私にはこれは反逆児の演奏としか思えなかった。ところがである、最近になりこのCDを引っ張り出して聴いてみると、昔聴いた“異様さ”が影を潜め、逆にそれまで隠されていたモーツアルトのピアノソナタの新しい側面が表面に顔を覗かせたような衝撃を受けたのである。モーツァルトのピアノソナタはこう弾かねばならぬという固定概念に捕らわれ、モーツァルトのピアノソナタの持つ奥行きの深さに気が付かなった。グールドは、いち早くことに気づき、“わざと”異様な演奏スタイルで録音したのだと思う。私は今では、グールドの弾くモーツアルトのピアノソナタの方が現代の感覚に合うと感じるようになった。(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-06-06 14:27:16 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~フランコ・ベルギー楽派の雄 アルテュール・グルミオーのサン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番他~

サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番
           序奏とロンド・カプリチオーソ
           ハバネラ

ヴァイオリン:アルテュール・グルミオー

指揮:マニュエル・ロザンタール

管弦楽:コンセール・ラムルー管弦楽団

CD:ユニバーサルミュージック(DECCA) UCCD9819

 アルテュール・グリュミオー(1921年―1986年)は、ベルギー出身の名ヴァイオリニスト。ブリュッセル王立音楽院で学んだ後、パリに留学してジョルジュ・エネスコに入門。第二次世界大戦後にはソリストとしての世界的な名声が高まり、ピアニストのクララ・ハスキルをパートナーに迎えた、演奏活動を活発に行なった。グリュミオーのヴィブラート演奏は、演奏史上一、二を争うとまで言われたほどの美しさを備えていた。これはグリュミオーがフランコ・ベルギー楽派の正統的な後継者であったことによるもの。フランコ・ベルギー楽派は、艶やかな音色で弾き、抒情美溢れる、正統性を備えた演奏内容をその身上としている。グリュミオーの演奏のジャンルは非常に幅広いものがあった。遺された録音でも、バッハやヴィヴァルディなどのバロック音楽、モーツァルトやベートーヴェン、ブラームスといった古典派やロマン派の作品、パガニーニの超絶技巧協奏曲、フランクやフォーレのソナタなどフランスの作曲家の作品、それにヴィオッティやヴュータン、さらにはベルクやストラヴィンスキーのような現代音楽にも及ぶ。このCDでは、サン=サーンスのヴァイオリンの名曲であるヴァイオリン協奏曲第3番、序奏とロンド・カプリチオーソ、ハバネラの3曲を抒情的に、艶やかに、そして格調高く歌い上げている。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-05-16 08:57:01 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~巨匠トスカニーニのシューマン:交響曲第3番「ライン」&序曲集~

シューマン:交響曲第3番「ライン」
        :劇音楽「マンフレッド」序曲
ウェーバー:歌劇「オイリアンテ」序曲
        :歌劇「魔弾の射手」序曲
               :歌劇「オベロン」序曲

指揮:アルトゥーロ・トスカニーニ

管弦楽:NBC交響楽団

録音:1946年、1951年、1952年、1949年(シューマン:交響曲第3番「ライン」:ライヴ録音)

CD:BMG CLASSICS 09026-60292-2

 アルトゥーロ・トスカニーニ(1867年―1957年)は、イタリア出身の大指揮者。このCDのシューマン:交響曲第3番「ライン」は、ライヴ録音なので音質は期待できないと思って聴いてみると意外にも豊富な音量に驚かされる。さらに、トスカニーニがここまでシューマンのロマン性を引き出す指揮者だったかにも驚かされる。ブルーノ・ワルターの「ライン」の指揮に一歩も引けを取らないどころかスケールの大きさに加え、トスカニーニ独特のメリハリの良さが際立っている。そしてなにより、このシンフォニーをあたかもオペラのように劇的に盛り上げる手腕には改めて脱帽させられる。次のシューマンの劇音楽「マンフレッド」序曲も豊富な音量で、迫力ある指揮ぶりが手に取るように再現される。トスカニーニが一気呵成に指揮する時の凄さは他に例えようがないほどで、NBC交響楽団の分厚い響きがそれを充分に支えている。次の3曲のウェーバーの歌劇3曲の序曲は、さらにこの傾向が加速されるかのような迫力満点の指揮ぶりだ。やはり、オペラの指揮ともなると、トスカニーニはイタリア人の血が騒ぐのか、鬼気迫るような指揮ぶりとなる。トスカニーニは、ミラノ・スカラ座音楽監督、メトロポリタン歌劇場指揮者 、ニューヨーク・フィル音楽監督、NBC交響楽団常任指揮者などを歴任した。
(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-05-02 09:47:16 | 歴史的名盤CD選集

【歴史的名盤CD選集】

 

~ウクライナ出身の名ヴァイオリニスト レオニード・コーガンのブラームス:ヴァイオリン協奏曲ほか~

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
ラロ:スペイン交響曲
チャイコフスキー:憂鬱なセレナード

ヴァイオリン:レオニード・コーガン

指揮:キリル・コンドラシン

管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団

CD:EMIミュージック・ジャパン QIAG‐50093

 レオニード・コーガン(1924年―1982年)は、旧ソ連・ ウクライナ出身の名ヴァイオリニスト。現役時代は、同郷のヴァイオリニストのダヴィッド・オイストラフ(1908―1974年)の陰に隠れて知名度では一歩譲ってはいたが、その実力では甲乙つけがたい存在であった。モスクワ音楽院で学んだが、1936年に演奏旅行でソ連に来たジャック・ティボー、ヨーゼフ・シゲティに絶賛され、将来を嘱望された。1941年、このCDに収録されているブラームスのヴァイオリン協奏曲をモスクワ音楽院大ホールにおいて、モスクワ・フィルと共演し正式なデビューを果たす。1951年ブリュッセルの「エリザベート王妃国際音楽コンクール」において、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏し優勝。その後、世界的な演奏活動を展開。旧ソ連政府から、1955年に名誉芸術家、1964年にソ連人民芸術家に選ばれ、1965年にはレーニン賞を受賞した。このCDのブラームス:ヴァイオリン協奏曲は、鋼鉄のような力強さに裏打ちされた一分の隙もない技巧的に完璧な演奏に圧倒させられる。一方、ラロ:スペイン交響曲では一転し、澄んだ音色のヴィブラートを存分に駆使し、ロマンの香り豊かな演奏を聴かせる。最後のチャイコフスキー:憂鬱なセレナードは、民俗色豊かな暖かい雰囲気に包まれ何とも心地良い。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-04-18 07:50:31 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~ブダペスト弦楽四重奏団のベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲集~

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調OP.18-1
          弦楽四重奏曲第2番 ト長調OP.18-2
          弦楽四重奏曲第3番 ニ長調OP.18-3
          弦楽四重奏曲第4番 ハ短調OP18-4
          弦楽四重奏曲第5番 イ長調OP.18-5
          弦楽四重奏曲第6番 変ロ長調OP.18-6
          弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調OP.59-1 「ラズモフスキー第1番」
           弦楽四重奏曲第8番 ト長調OP.59-2 「ラズモフスキー第2番」
           弦楽四重奏曲第9番 ホ短調OP.59-3 「ラズモフスキー第3番」
           弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 OP.74 「ハープ」
           弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調OP.95 「セリオーソ」
           弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調OP.127
          弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調OP.130
          弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調OP.131
          弦楽四重奏曲第15番 イ短調OP.132
          弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調OP.135
          大フーガ 変ロ長調OP.133 

弦楽四重奏:ブダペスト弦楽四重奏団

                       ヨーゼフ・ロイスマン(1st Vn)
                       アレクサンダー・シュナイダー(2nd Vn)
                       ボリス・クロイト(Va)
                       ミーシャ・シュナイダー(Vc) 

CD:ソニー・ミュージック 88697776782

 ブダペスト弦楽四重奏団は、20世紀を代表する弦楽四重奏団の一つ。1917年にブダペスト歌劇場管弦楽団のメンバーによって結成され、1967年2月まで活動した。最終的なメンバーは全員ロシア人となっが、1938年からアメリカに定着して活動した。名声を得たのはロシア人のヨーゼフ・ロイスマンが第1ヴァイオリンとなって以降である。ブダペスト弦楽四重奏団が名声を得た最大の理由は、それまでの多くの弦楽四重奏団が、第一ヴァイオリン奏者がリーダーシップを発揮し、ロマン主義を色濃く持った、主観主義的傾向が強い演奏内容であったのに対し、ブダペスト弦楽四重奏団は、あくまで楽譜に忠実に、客観的に演奏する、いわゆる新即物的演奏内容に徹しためある。そして4人の奏者が平等に演奏するというスタイルに徹した。要するに、現代的なクァルテットの原型をつくり上げたのはブダペスト弦楽四重奏団であると言ってもよかろう。1940年から長年にわたりアメリカ合衆国の議会図書館つきの弦楽四重奏団としても活躍したが、現在では、ジュリアード弦楽四重奏団がこの後を継いでいる。このベートーヴェン:弦楽四重奏曲全曲集の録音で、一糸乱れぬ流麗な響きでリスナーを魅了するが、特に、第14番~第16番の最後の3曲は、他の追随を許さぬ名演奏を聴かせる。
(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-03-28 09:51:15 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~録音史上永遠の金字塔 アルトゥール・シュナーベルのベートーヴェン:中・後期ピアノソナタ集~

 

ベートーヴェン:ピアノソナタ第28番/第29番/第30番/第31番/第32番

ピアノ:アルトゥール・シュナーベル

CD:ANDROMEDA ANR 2542~43(2枚組)

 アルトゥル・シュナーベル(1882年-1951年)は、オーストリア出身の大ピアニスト。ウィーン音楽院で学ぶが、後にベルリンに移住する。1927年にはベートーヴェンのピアノソナタの全曲演奏を開催し、“ベートーヴェン弾き”としての名声を確立する。また、1932年から1937年にかけて、世界で初めてのベートーヴェンのピアノソナタ全集とピアノ協奏曲全集を録音したことでも知られる。ナチの台頭により、1933年からはユダヤ系であるためスイスに移住し、さらに1938年からはアメリカに本拠を移して、1944年にはアメリカの市民権を取得した。このCD2枚組のアルバムには、ベートーヴェンのピアノソナタの中・後期の傑作の5曲が収められている。今聴くと、音質は古めかしいが、ゆるぎないしっかりとした音質で収録されているため、鑑賞にはさして支障とはならない。驚くべきは、疾風怒濤のごとく、鍵盤に向かうシュナーベルの力強いピアノタッチだ。男性的ピアノ演奏の極致と言ったらいいのであろうか。極力恣意な解釈を避け、客観的にベートーヴェンの世界を深く掘り下げる。これによって、ピアノソナタに託したベートーヴェンの精神世界が、リスナーの前に赤裸々に解き明かされる。シュナーベルのベートーヴェンのピアノソナタ、特にこの中・後期の傑作の5曲は、録音史上永遠の金字塔と言える。(蔵 志津久)

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-03-24 11:06:17 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~名指揮者セルジュ・チェリビダッケの真価が聴けるムソログスキー:組曲「展覧会の絵」~

 

ムソログスキー:組曲「展覧会の絵」

           プロムナード/グノムス(小人)/プロムナード/古い城/プロムナード/
                 テュイルリーの庭/ブィドロ/プロムナード/卵の殻をつけたヒナの踊り/
           サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ/リモージュの市場/
           カタコンブ(ローマ時代の墓地)/死者との対話/ババ・ヤガー(鶏の足のうえ)の小屋/
           キエフの大門 

ラヴェル:「ボレロ」 

指揮:セルジュ・チェリビダッケ

管弦楽:ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1933年9月24日&25日(展覧会の絵)/1994年6月18日(ボレロ)<ライヴ録音>

CD:EMIミュージック・ジャパン TOCE16009

 セルジュ・チェリビダッケ(1912年―1996年)は、ルーマニア生れのドイツで活躍した名指揮者。ベルリン音楽大学などで学び、第二次世界大戦後、ベルリン放送交響楽団の指揮者コンクールで優勝。その後、ベルリン・フィルで指揮者デビューを飾り、ベルリン・フィルの首席指揮者に就任する。当時チェリビダッケへの評価は高かったが、楽団員との間でトラブルが多く、ベルリン・フィルを指揮することを止めてしまう。その後、南ドイツ放送交響楽団(シュトゥットガルト放送交響楽団)の定期客演指揮者を経て、1979年ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任。1977年には初来日を果たし、以後しばしば日本を訪れた。このCDのムソログスキー:組曲「展覧会の絵」においてチェリビダッケは、ゆっくりとしたテンポで始め、この曲の持つ多彩な側面を詩情豊かに表現する。この曲で多くの指揮者は力強くダイナミックに演奏するが、チェリビダッケは1曲、1曲に物語性を持たせるように、色彩感溢れる指揮ぶりを聴かせる。この結果、従来のイメージを一新した「展覧会の絵」が、ここで新たにつくられたように感じられるような名演を遺すことになった。フルトヴェングラーやカラヤンの人気の陰に隠れた名指揮者セルジュ・チェリビダッケの真価を見せつけたのが、このライヴ録音番だ。(蔵 志津久) 

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-03-14 08:06:21 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 

~プラード・カザルス音楽祭 第1巻(ライヴ録音、CD4枚組)~

<Disk1>

モーツァルト:ピアノ四重奏曲第2番

  ピアノ:ミェチスワフ・ホルショフスキ
  ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン
  ヴィオラ:アーンスト・ウォルフィッシュ
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1956年7月7日

シューマン:ピアノ三重奏曲第3番

  ヴァイオリン:シャンドール・ヴェーグ
  ピアノ:ルドルフ・ゼルキン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1956年7月11日

<Disk2>

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第1番

  ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン
  ピアノ:フェフィツバ・メニューイン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1959年7月18日

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第4番(幽霊)

  ヴァイオリン:シモン・ゴールドベルク
  ピアノ:ルドルフ・ゼルキン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1954年6月18日

<Disk3>

ブラームス:ピアノ三重奏曲第3番

  ヴァイオリン:ユーディ・メニューイン
  ピアノ:ユージン・イストミン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1955年7月13日

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第5番

  ヴァイオリン:シモン・ゴールドベルク
  ピアノ:ルドルフ・ゼルキン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1954年6月18日

<Disk4>

バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番

  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:不明

ベートーヴェン:チェロソナタ第5番

  チェロ:パブロ・カザルス
  ピアノ:ミェチスワフ・ホルショフスキ

  録音:1953年6月

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第9番「カカドゥ変奏曲」

  ヴァイオリン:シモン・ゴールドベルク
  ピアノ:ルドルフ・ゼルキン
  チェロ:パブロ・カザルス

  録音:1954年6月18日

CD:MUSIC & ARTS 688-4 

 このCD4枚組のアルバムは、チェロの神様・パブロ・カザルス(1876年―1973年)が、コロンビア社の資金協力を得て1950年からフランスのプラードで主宰した「プラード・カザルス音楽祭」のライヴ録音盤である。スペイン出身のカザルスが何故フランスのプラードなのかというと、当時カザルスはスペイン内戦を避けてスペインとの国境に近いフランスのプラードに移り住んでいたためだ。同音楽祭は、毎年7月末から8月中旬までカニグー山のふもとのサン・ミシェル・ド・キュクサ修道院で開催される室内楽のための最高峰の音楽祭で、1976年にはプラード音楽アカデミーが設立され、若い演奏家のための器楽・室内楽のマスタークラスが設置され多のに続き、2005年からは作曲コンクールが創設されている。カザルスは、チェロの近代的奏法を確立した20世紀最大のチェリストと言われ、特に、それまで単なる練習曲と考えられていたバッハの「無伴奏チェロ組曲」(全6曲)の価値を再発見し、広く世界に紹介した功績で知られる。1908年以降は、チェリストと同時に指揮者としての活動も開始した。このCDには、1953年~1959年に開催された「プラード・カザルス音楽祭」の模様が収録されている。思ったほど音質は悪くなく、当時の一流の演奏者たちによる名演奏を存分に聴くことができる。(蔵 志津久)

 

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◇クラシック音楽◇歴史的名盤CD選集

2017-03-09 07:43:13 | 歴史的名盤CD選集

 

【歴史的名盤CD選集】

 


~イタリアの名ピアニスト アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリのライヴ録音盤~

<Disk1>

シューマン:ウィーンの謝肉祭の道化芝居
       謝肉祭

<Disk2>

ドビュッシー:映像第2集
           第2曲 荒れた寺にかかる月   
           第1曲 葉ずえを渡る鐘
         映像第Ⅰ集
           第2曲 ラモー讃歌
           第1曲 水に映る影

ショパン:幻想曲
       バラード第1番

モンポウ:第6曲 歌(「歌と踊り」から)

ショパン:ワルツ 変ホ長調(遺作)

リハーサル風景

録音:1957年3月4日、ロンドン、ロイヤル・フェスティバル・ホール(ライヴ録音)

CD:TESTAMENT SBT 2088

ピアノ:アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ

 このCDは、イタリアの名ピアニストであったアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1920年―1995年)がロンドンで開催したリサイタルの模様を就労した2枚組のアルバムである。2枚組としたためか、32分強のリハーサル風景が収録されており、ミケランジェリの肉声が聴くことができる貴重な録音。ベネデッティ・ミケランジェリは、抜群のテクニックを有し、色彩感豊かなダイナミックでスケールの大きな演奏が特徴で、このCDに収録されているシューマン、ショパン、ドビュッシーなどを得意にしていた。ミケランジェリは10歳でミラノ音楽院に入学。1939年「ジュネーヴ国際音楽コンクール」で優勝し、審査員長のアルフレッド・コルトーから「リストの再来」と賞賛されたという。初来日は1965年。ミケランジェリは極端な完璧主義者で、専用のピアノでなければ演奏しないし、調律師を同行させたりもした。また、体調の不調などの理由でよく演奏をキャンセルすることがあったが、来日時も演奏会をキャンセルして物議を醸した。ミケランジェリの演奏そのものには誰もが皆脱帽するが、演奏以外でトラブルを引き起こすことでも知られていた。このCDはライヴ録音であることから、ミケランジェリの生の演奏の様子が手に取るように聴き取れる。ピアノの音そのものが今聴いても生き生きと躍動することに驚かされる。(蔵 志津久)

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