★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-29 10:50:44 | コンサート情報



<コンサート情報>



~第20回東京音楽コンクール 優勝者コンサート~

①トランペット:河内桂海 金管部門第1位

    トマジ:トランペット協奏曲

②バリトン:池内響 声楽部門第1位及び聴衆賞

    プッチーニ:オペラ『ジャンニ・スキッキ』より 「声は瓜二つだったか」
    モーツァルト:オペラ『フィガロの結婚』より 「訴訟に勝っただと」
    ヴェルディ:オペラ『ドン・カルロ』より 「私の最後の日がきました」

③ホルン:吉田智就 金管部門第1位

    R.シュトラウス:ホルン協奏曲第1番 変ホ長調 Op.11

④ピアノ:中島英寿 ピアノ部門第1位及び聴衆賞

    グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16

指揮:高関 健

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

司会・インタビュー:朝岡聡

日時:2023年1月9日(月) 午後3時

会場:東京文化会館 大ホール

 第20回「東京音楽コンクール」各部門の覇者が、ソリストとしてオーケストラと共演。ソリスト自身が選んだプログラムを披露するとともに、朝岡聡によるインタビューで演奏家の魅力と素顔に迫る。東京文化会館から羽ばたく新進アーティストの熱演に、乞うご期待。
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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-28 09:37:11 | コンサート情報



<コンサート情報>



~フェスティバルホール  ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団  ニューイヤー・コンサート2023~

ヨハン・シュトラウス 2世:ワルツ「春の声」
ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ・フランセーズ 「芸術家の挨拶 」
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ 「騎手」
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ 「オーストリアの村つばめ」
ヨハン・シュトラウス 2世:芸術家のカドリーユ
ヨハン・シュトラウス 2世 :ワルツ「ウィーンの森の物語」
ヨハン・シュトラウス 2世: 喜歌劇「ヴェネツィアの一夜」序曲
ヨーゼフ・シュトラウス:鍛冶屋のポルカ
ヨハン・シュトラウス 2世: ポルカ・シュネル「ハンガリー万歳!」
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「水彩画」
ヨーゼフ&ヨハン・シュトラウス 2世:ピツィカート・ポルカ
エドゥアルト・シュトラウス:ポルカ・シュネル 「テープは切られた」
ヨハン・シュトラウス 2 世 :ワルツ「美しく青きドナウ」

指揮&ヴァイオリン:ヨハネス・ヴィルトナー

管弦楽:ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団
 
会場:フェスティバルホール

日時 2023年1月7日(土) 午後2時

 ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団(WJSO)は、オーストリア・ラジオ(ORF)とヴァイオリニストのオスカー・ゴーガーの主導により、1966年に結成された。オーストリアの首都ウィーンを拠点とした、シュトラウス・ファミリーの音楽をプログラムの中心とし、19世紀後半にヨハン・シュトラウス2世らが率いたシュトラウス管弦楽団を継承するオーケストラ。楽団員は、ウィーン放送交響楽団を中心としたウィーンの名だたるオーケストラから選抜される。専属団員から成る常設団体ではなく、年15回程度のコンサートと録音、演奏旅行などのたびに集まる。ことウィンナ・ワルツの演奏に関してはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に次いで権威あるオーケストラとなっている。
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◇クラシック音楽◇新譜DVD情報

2022-12-27 09:48:56 | 新譜DVD情報



<新譜DVD情報>



~ゆかりの地パレルモで上演されたワーグナー最後の大作 舞台神聖祝典劇「パルジファル」(ライヴ)~



ワーグナー: 舞台神聖祝典劇「パルジファル」

演出:グラハム・ヴィック

指揮:オメール・メイア・ヴェルバー

管弦楽:マッシモ劇場管弦楽団

歌手:ジュリアン・ハバード(テノール/パルジファル:無知で無垢な若者)
   ジョン・レリエ(バス・バリトン/グルネマンツ:老騎士)
   トマス・トマソン(バリトン/アムフォルタス:聖杯の城の王)
   キャサリン・フーノルト(ソプラノ/ クンドリ:聖杯の城の女使者)
   トーマス・ガゼリ(バス・バリトン/クリングゾル:魔法使い)
   アレクセイ・タノヴィツキ(バス/ティートゥレル:アムフォルタスの父)

合唱:マッシモ劇場合唱団(合唱指揮:シロ・ビスコ)
   マッシモ劇場児童合唱団(合唱指揮:サルヴァトーレ・プントゥロ)

収録:2020年1月26日、マッシモ劇場、パレルモ(ライヴ)

DVD: C MAJOR(Blu-ray Disc、タワーレコード)

 ワーグナー最後の大作「パルジファル」は、彼の死後30年間(1913年まで)バイロイト祝祭劇場に独占上演権が与えられていた。ワーグナー自ら「舞台神聖祝典劇」と銘打ったこの作品は、中世スペインのモンサルヴァート城を舞台に、磔刑に処せられた十字架上のイエス・キリストのわき腹を刺したとされる「聖槍」とキリストが最後の晩餐に使ったとされる「聖杯」を巡る、「救済」をテーマとした物語。

 今回リリースされるのは、イタリア、パレルモにあるマッシモ劇場で2020年1月に上演された際の映像。パレルモの地はこの「パルジファル」とゆかりがあり、ワーグナーがパレルモのホテル「グランド・ホテル・エ・デ・パルメ」に1881年~1882年にかけて長期滞在していた際に作品を完成させた。またパレルモに滞在中のワーグナーを訪ねてやってきた画家のルノワールが、ワーグナーの肖像画を描いたのも同ホテル。

 演出は、世界中の歌劇場で活躍したイギリス人演出家のグラハム・ヴィック。2016年にマッシモ劇場で「ニーベルングの指環」を演出し、マッシモ劇場が近年積極的に取り組んでいるドイツ・オペラのレパートリーの拡充に一役買っていた。しかし、2021年7月17日、新型コロナウィルス感染症により67歳で逝去。数多くのプロダクションを手掛け、世界で最も活躍した現役演出家だっただけに、その死は大変惜しまれている。

 指揮のオメール・メイア・ヴェルバー(1981年生まれ)は、イスラエル、ベエルシェバ出身。テルアビブの音楽アカデミーなどで学び、ラアナナ・シンフォニエッタ、イスラエル・オペラの指揮者として活動をスタート。その後、各地の歌劇場、オーケストラを指揮。2010年「サイトウ・キネン・フェスティヴァル」で、降板した小澤征爾に代わってR.シュトラウスの「サロメ」を指揮した。2011年スペイン・バレンシアのソフィア芸術宮殿の音楽監督、2018年ドレスデンのザクセン州立歌劇場の首席客演指揮者、2019年BBCフィルハーモニックの首席指揮者、2020年イタリアのテアトロ・マッシモ劇場の音楽監督に就任。また2022年ウィーン・フォルクスオーパーの音楽監督に就任するなど、現在、世界が最も注目する若手指揮者の一人。

 歌手陣は、タイトル・ロールにはアイルランド・ダブリンを拠点に活躍するテノール歌手ジュリアン・ハバード。クンドリには優れたワーグナー歌手として注目のフランスのソプラノ歌手キャサリン・フーノルト。アムフォルタスは、ドイツ・オペラを中心に大活躍のトマス・トマソンという実力派が揃っている。
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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-26 09:45:14 | コンサート情報



<コンサート情報>



~住友生命いずみホール ニューイヤー・コンサート2023 ウィーン・リング・アンサンブル~

スッペ:オペレッタ「ウィーンの朝・昼・晩」序曲
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「ディナミーデン」
J.シュトラウスⅡ: 常動曲(音楽の冗談) 
ヘルメスベルガー:妖精の踊り
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「トランスアクツィオン」
J.シュトラウスⅡ:クリップ・クラップ・ギャロップ
プロコフィエフ・メドレー (没後70年記念)
J.シュトラウスⅠ:ポルカ「アリス」
ヨーゼフ・シュトラウス: ワルツ「天体の音楽」
J.シュトラウスⅡ: ポルカ・シュネル「浮気心」
A.ランナー: ワルツ「最初の願い」
J.シュトラウスⅡ: オペレッタ「こうもり」から チャールダーシュ

演奏:ウィーン・リング・アンサンブル

会場:住友生命いずみホール

日時:2023年1月5日(木) 午後7時

 「ウィーン・リング・アンサンブル」は、ウィーンの旧市街を取り巻く環状道路“リング”にちなんで命名された。ウィーン・フィルのコンサートマスターを務めたライナー・キュッヒルを中心に、ウィーン・フィルの腕利きの主要メンバーたち(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、ホルン、クラリネット)により編成。ウィーン情緒の香り高いシュトラウス・ファミリーやツィーラー、ランナーたちのワルツ、ポルカの演奏は、聴く者をこの上ない幸福感で満たしてくれる。日本へは1991年に初来日し、以後毎年のように来日。ウィーンでの「ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート」に出演後、すぐに日本へ駆けつけて、本場の響きと香りをそっくり日本のファンに届けている。
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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2022-12-23 09:38:59 | 新譜CD情報



<新譜CD情報>



~ニッポン放送「新日鉄コンサート」(1970年)における  安川加壽子のモーツァルト、ドビュッシーとショパン~



モーツァルト:ロンド イ短調K.511
       変奏曲イ長調K.anh137
ドビュッシー:前奏曲集第2巻~枯葉
       前奏曲集第2巻~ビーニョの門
       前奏曲集第2巻~ヒースの草むら
       前奏曲集第2巻~花火
ショパン:前奏曲Op.28~第7、8、15、16、17、22、23、24番
     華麗なる大ワルツOp.18
     英雄ポロネーズOp.53
     ノクターン変ホ長調Op.9の2

ショパン演奏について(安川加壽子の肉声)

ピアノ:安川加壽子

録音:1970年4月5日、8月9日放送

CD:キングインターナショナル KKC-2533

 このCDは、ラジオのニッポン放送で1955年から2005年まで続き、音楽ファンから支持を受けていた「新日鉄コンサート」(1970年まではフジセイテツ・コンサート)の録音盤。このラジオ放送は、既成のレコードを放送するのでなく、内外の名演奏家の実演を公開収録する趣旨だったため、貴重な音源が多数作られた。安川加壽子は、広いレパートリーを持っていたが、とりわけショパンとドビュッシーは絶品とされ、彼女のトレードマークの感があった。それを貴重なライヴ録音で体験できる。

 ピアノの安川加壽子(1922年―1996年)は、兵庫県武庫郡深江(現・兵庫県神戸市東灘区深江)出身。1923年一家で渡仏。1934年パリ国立高等音楽院ピアノ科本科入学しラザール・レヴィに師事。1937年同音楽院一等賞卒業。1939年国際情勢悪化のため帰国。1940年国内でのデビューリサイタルを開く。受賞歴は、1937年「パリUFAM国際婦人コンクール」名誉賞、1947年「芸術祭文部大臣賞」、1953年「毎日音楽賞」、1959年「学術シュヴァリエ勲章」(フランス政府)、1960年「文芸オフィシエ勲章」(フランス政府)、1967年「レジオンドヌール勲章シュヴァリエ」(フランス政府)、1970年第21回「NHK放送文化賞」、1972年第13回「毎日芸術賞」、1975年第31回「日本芸術院賞」、1984年「ポーランド国家功労金章」、1986年第2回「東京都文化賞」「有馬賞」(NHK交響楽団)、1993年「勲二等瑞宝章」、1994年「文化功労者顕彰」など。また、芸術家会議会長、日本演奏連盟理事長、日本ピアノ教育連盟会長、日仏音楽協会会長、東京藝術大学名誉教授などを務めた。
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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-22 10:04:52 | コンサート情報



<コンサート情報>



~サントリーホール ニューイヤー・コンサート 2023  ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団~

ヨハン・シュトラウスⅡ世:オペレッタ『こうもり』序曲
レハール:『ジュディッタ』より「友よ、人生は生きる価値がある」
ヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ『春の声』作品410
レハール:オペレッタ『ジプシーの恋』より「ツィンバロンの響きを聞けば」
ヘルメスベルガーII世:『悪魔の踊り』
カールマン:オペレッタ『マリッツァ伯爵家令嬢』より 二重唱「ハイと言って、私の大切な人」
ヨハン・シュトラウスⅡ世:『皇帝円舞曲』作品437
スッペ:オペレッタ『軽騎兵』序曲
レハール:オペレッタ『ほほえみの国』より「ああ、恋をしたい」
ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ・フランセーズ『小さな水車』作品57
レハール:オペレッタ『ほほえみの国』より「私の心のすべては君のもの」
ブラームス:ハンガリー舞曲第5番 ト短調
レハール:オペレッタ『ほほえみの国』より「私たちの心にだれが恋を沈めたのか」
ヨハン・シュトラウスⅡ世:ワルツ『美しく青きドナウ』作品314

指揮&ヴァイオリン:オーラ・ルードナー

管弦楽:ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団

ソプラノ:エリーザベト・フレヒル
テノール:メルツァード・モンタゼーリ

バレエ・アンサンブルSVOウィーン

会場:サントリーホール

日時:2023年1月1日(日・祝)  午後2時(午後1時20分~40分:プレ・コンサート)

 指揮・ヴァイオリンのオーラ・ルードナーは、カメラータ・ザルツブルク、ウィーン・フォルクスオーパー、ウィーン交響楽団など世界有数のオーケストラのコンサートマスターとして活躍した後、1995年フィルハーモニア・ウィーンを設立。指揮者としてタスマニア交響楽団、ボルツァーノ・ハイドン・オーケストラの首席指揮者を歴任し、BBC交響楽団、フランクフルト放送交響楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、ウィーン室内管弦楽団などで多くの客演を重ねる。毎年フィルハーモニア・ウィーンを率いて、ウィーン楽友協会で演奏会を行うほか、オペラの指揮でも活躍しており、フォルクスオーパーや各地のオペラハウスに招かれている。シュトラウス自身が弾き振りしたようにヴァイオリンを片手に華麗な演奏を披露する。

 ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団は、ウィーン・フィルと並び世界最高のウィンナ・ワルツ、ポルカを聴かせてくれる。この楽団は、ウィーンを代表するオペラ、オペレッタハウスとして1898年に皇帝フランツ・ヨーゼフ即位50年を記念して創設されたウィーン・フォルクスオーパー(国民劇場)のオーケストラ・メンバーにより結成された。以来、ウィーン市民に愛され続け、2017年に創立100周年を迎えた。日本には1994年から20年以上にわたって毎年、年越しとお正月に来日し、サントリーホールを中心に各地で演奏会を開催。日本にウィーンの薫りを届けてくれる。
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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-21 09:40:24 | コンサート情報



<コンサート情報>



~ベートーヴェン 弦楽四重奏曲【9曲】演奏会~

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1 「ラズモフスキーNo.1」
        弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 Op.59-2 「ラズモフスキーNo.2」
        弦楽四重奏曲第9番 ハ長調 Op.59-3 「ラズモフスキーNo.3」
        弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127
        弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 Op.130
        弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.133 「大フーガ」
        弦楽四重奏曲第14番 嬰ハ短調 Op.131
        弦楽四重奏曲第15番 イ短調 Op.132
        弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 Op.135

弦楽四重奏:古典四重奏団

         ヴァイオリン:川原千真、花崎淳生
         ヴィオラ:三輪真樹
         チェロ:田崎瑞博

       クァルテット・インテグラ

         ヴァイオリン:三澤響果、菊野凛太郎
         ヴィオラ:山本一輝
         チェロ:築地杏里

       クァルテット・エクセルシオ

         ヴァイオリン:西野ゆか、北見春菜
         ヴィオラ:吉田有紀子
         チェロ:大友肇

会場:東京文化会館 小ホール

日時:2022年12月31日(土) 午後2時

 毎年、恒例の大晦日に開催される、「ベートーヴェン弦楽四重奏曲【9曲】演奏会」は、わが国を代表する弦楽四重奏団、三団体によるマラソンコンサート。毎年それぞれの団体が熱演を繰り広げ、大晦日のホールは興奮に包まれる。本年の公演では、古典四重奏団、クァルテット・インテグラ、クァルテット・エクセルシオが演奏する。
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◇クラシック音楽 NHK-FM「ベストオブクラシック」レビュー◇角野隼斗 ピアノリサイタル

2022-12-20 09:51:34 | NHK‐FM「ベストオブクラシック」レビュー



<NHK-FM「ベストオブクラシック」レビュー>



~角野隼斗 ピアノリサイタル~



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」
ショパン:スケルツォ 第1番 ロ短調 作品20
     ノクターン 第13番 ハ短調 作品48 第1
     バラード 第2番 ヘ長調 作品38
     ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄」
     小犬のワルツ 第6番 変ニ長調 作品64 第1
角野隼斗:大猫のワルツ

ピアノ:角野隼斗

収録:2021年3月9日 武蔵野市民文化会館 大ホール

放送:2022年12月19日 午後7:30 ~ 午後9:10

 ピアノの角野隼斗(1995年生まれ)は、千葉県八千代市出身。2014年に開成高校から東京大学理科一類に進学。東京大学大学院進学後は情報理工学系研究科創造情報学専攻にて機械学習を用いた自動採譜と自動編曲について研究。2018年ピティナ・ピアノコンペティション(PTNA/ピティナ)特級グランプリを受賞。これにより音響工学研究者に加え音楽家になる決意を固め、プロピアニストとして活動を始める。2018年フランス音響音楽研究所 (IRCAM) に留学し、音楽情報処理の研究に従事。2019年に東大POMPの先輩らと男女混成6人のシティソウルバンド「Penthouse」を結成し、Cateen名義でPf.(ピアノ/キーボード)を担当。同年「リヨン国際ピアノコンクール」第3位。2020年東京大学総長大賞を受賞し、大学院(修士課程)を修了。2021年第18回「ショパン国際ピアノコンクール」三次予選進出(セミファイナリスト)。自身のYouTubeチャンネルでは「Cateen かてぃん」名義で活動し、チャンネル登録者数は100万人、総再生回数は1億1600万回を超えている。

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調作品53「ワルトシュタイン」は、1803年から1804年にかけて作曲された。この時期にはヴァイオリンソナタ第9番「クロイツェル」や交響曲第3番「英雄」などの傑作が生みだされた時期に重なるが、衰え続ける聴力はベートーヴェンを悩ませ、1802年にはハイリゲンシュタットの遺書を書かせるまでとなった。しかし、1803年、エラール製のピアノが贈られると、その結果、これまでになく輝かしく壮麗なピアノソナタが生み出されることとなった。構成は壮大である一方、抒情性は豊かに広がり、管弦楽的な書法はピアノ音楽史に新たな地平を切り拓くものとなった。「ワルトシュタイン」という通称は、この曲がフェルディナント・フォン・ワルトシュタイン伯爵に献呈されたことに由来する。1805年にウィーンの美術工芸社から出版されたが、初版時の表題は「ピアノフォルテのための大ソナタ」であった。

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」における角野隼斗の演奏は、既成概念に捕らわれず、角野隼斗が肌で感じたベートーヴェン像がくっきりと表されていた。日本のクラシック界は、長い長い年月をかけてドイツ音楽を吸収し、そしてベートーヴェンへの音楽へとたどり着いた。そこには、ある一定の決まり、掟のようなものが存在しており、演奏家も聴衆も、その伝統の下でのドイツ音楽、ベートーヴェンの音楽に接してきたのである。それは、それで正解であったわけではあるが、これからのわが国のクラシック音楽界を演奏の面から考えてみると、かつての伝統の基盤の上に、さらに新しい視点を持った、わが国独自の演奏スタイルの確立が渇望される。その意味で、角野隼斗のベートーヴェンの演奏スタイルは、その候補の一つに挙げてもいいのではないのか。私は、今夜の角野隼斗のベートーヴェンの演奏を聴きながら、突然、かつてサンソン・フランソワ(1924年―1970年)が遺したベートーヴェンのピアノソナタの録音を思い起こしてしまった。ショパン弾きの達人サンソン・フランソワが、ベートーヴェンの核心をズバリと表現した演奏内容だ。角野隼斗も既成概念に捕らわれず、新しいわが国独自のクラシック音楽像の確立に今後、尽力して行ってほしいものだ。

 ショパン:スケルツォ第1番は、1833年に作曲され、1835年に出版された。ショパンは、スケルツォを憤怒・激情を訴える楽曲に仕立て上げたが、この曲はその第1作で、青年ショパンの激しい感情が随所に漂っている。ショパン:ノクターン第13番は、1841年作曲され、翌1842年に出版された。ショパンの円熟期の作品で、ジョルジュ・サンドとのノアンでの生活のうちに作られ、心身が充実していた時期のもの。劇的な華やかさと男性的なたくましさを伴った作品。ショパン:バラード第2番は、1839年に完成され、シューマンに献呈された。ショパンは全部で4曲のバラードを作曲したが、シューマンは、この第1番はショパンがポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチのある詩に霊感を得て作曲されたものであると語ったと述べている。ショパン:ポロネーズ「英雄」は、力強いリズムを持つこの作品は、ポーランドの栄光をたたえ、ショパンの愛国心のあらわれとされる。ショパン:第6番「小犬のワルツ」は、晩年の1846年から1848年にかけての作品。ショパンの恋人であったジョルジュ・サンドが飼っていた子犬が自分の尻尾を追ってぐるぐる回る習慣を描写した曲。

 今夜のショパン作品における角野隼斗の演奏は、角野隼斗が本来持つ感性がショパンの曲に良くマッチして、聴き応えのある演奏内容となった。単に、感傷に溺れることなく、筋の通った演奏内容であるので、説得力を持ったものに仕上がっていた。角野隼斗のショパン演奏には、何か澄んだ清々しさが漂う。ショパンの作品は、”棘を持ったバラのようだ”と表現されることがある。これは、表面的な穏やかさとは裏腹に激しい感情を内包しているためにいわれる言葉だ。角野隼斗の演奏は、このショパンの激しい感情を内包している場面においても、決してバランスを失うことはない。むしろ、純化の度合いがますます濃くなり、その研ぎ澄まされた感覚が聴衆の心を奪っているかのように思える。ベートーヴェンと同様、わが国におけるショパン演奏にも既成概念があり、「ショパン演奏はこうあらねばならない」と言うような見えざる高い壁があるように思えてならない。今夜の角野隼斗のショパン演奏を聴くと、その壁を乗り越えられるピアニストであるとも思える。クラシック音楽の歴史を見ると、当時流行った貴族だけでなく大衆の舞曲なども積極的に取り入れ、現在のクラシック音楽のスタイルにたどり着いた。角野隼斗はクラシック音楽以外の音楽にも関心が高いと聞く。今後、これらの視点での角野隼斗のショパン演奏が聴けることを楽しみに待ちたい。(蔵 志津久)
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◇クラシック音楽◇コンサート情報

2022-12-19 09:45:44 | コンサート情報



<コンサート情報>



~第20回ベートーヴェンは凄い! 全交響曲連続演奏会2022~

ベートーヴェン:全交響曲

  第1番 ハ長調 Op.21
  第2番 ニ長調 Op.36
  第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」
  第4番 変ロ長調 Op.60
  第5番 ハ短調 Op.67 「運命」
  第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」
  第7番 イ長調 Op.92
  第8番 ヘ長調 Op.93
  第9番 ニ短調 Op.125 「合唱付」
  他

指揮:広上淳一

管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)

ソプラノ:中村恵理
アルト:池田香織
テノール:宮里直樹
バリトン:甲斐栄次郎

合唱:ベートーヴェン全交響曲連続演奏会特別合唱団

お話:三枝成彰

会場:東京文化会館 大ホール

日時:2022年12月31日(土) 午後1時

 指揮の広上淳一(1958年生れ)は、東京都出身。1984年第1回「キリル・コンドラシン国際青年指揮者コンクール」で優勝。1991年~2000年日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者。1994年度「渡邉暁雄音楽基金音楽賞」受賞。2008年京都市交響楽団常任指揮者就任(2014年より常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)。2015年広上淳一が常任指揮者に就任してからの京都市交響楽団は驚異的な能力の向上を遂げたとして、京都市交響楽団とともに第46回(2014年度)「サントリー音楽賞」を受賞。2016年第36回「NHK交響楽団 有馬賞」受賞。2020年京都コンサートホール館長に就任。2021年日本フィルハーモニー交響楽団のフレンド・オブ・JPO(芸術顧問)に就任。2022年オーケストラ・アンサンブル金沢のアーティスティック・リーダーに就任。


【ベートーヴェンは凄い!全交響曲連続演奏会の歴代指揮者】

<2003年>

指揮:岩城宏之、大友直人、金聖響
管弦楽:東京交響楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

<2004年>

指揮:岩城宏之
管弦楽:N響メンバー達による管弦楽団

<2005年>

指揮:岩城宏之
管弦楽:イワキオーケストラ(N響メンバーを中心とした特別編成のオーケストラ)

<2006年>

指揮:下野竜也、岩村力、大友直人、高関健、井上道義、秋山和慶、ジャン=ピエール・ヴァレーズ、外山雄三
管弦楽:イワキオーケストラ

<2007年>

指揮:小林研一郎
管弦楽:イワキオーケストラ

<2008年>

指揮:小林研一郎
管弦楽:イワキオーケストラ (コンサートマスター:篠崎史紀)

<2009年>

指揮:小林研一郎
管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ (コンサートマスター:篠崎史紀)

<2010年>

指揮:ロリン・マゼール
管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ (コンサートマスター:篠崎史紀)

<2011年~2021年>

指揮:小林研一郎
管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ (コンサートマスター:篠崎史紀)

<2022年>

指揮:広上淳一
管弦楽:岩城宏之メモリアル・オーケストラ(コンサートマスター:篠崎史紀)
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◇クラシック音楽◇新譜CD情報

2022-12-16 09:35:48 | 新譜CD情報



<新譜CD情報>



~ヒラリー・ハーン 1年以上の沈黙を破り 長年に亘って愛してきた作品を初録音~



ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53
ヒナステラ:ヴァイオリン協奏曲 作品30
サラサーテ:カルメン幻想曲 作品25

ヴァイオリン:ヒラリー・ハーン

指揮:アンドレス・オロスコ=エストラーダ

管弦楽:フランクフルト放送交響楽団

CD:ユニバーサル ミュージック UCCG-45062

 ヴァイオリンのヒラリー・ハーン(1979年生れ)は、アメリカ、バージニア州レキシントン出身。1991年11歳の時に初リサイタル。その後、クリーヴランド管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団、フィラデルフィア管弦楽団、ニューヨーク・フィルハーモニックなどと協演。1997年デビューアルバムである「バッハ:無伴奏ソナタ・パルティータ集」が「ディアパゾン・ドール賞」を受賞。1999年カーティス音楽学校を卒業。2003年ネヴィル・マリナー指揮のアカデミー室内管弦楽団とのブラームスとストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲の録音により「グラミー賞」受賞。現在、世界中で演奏活動を続ける世界を代表するヴァイオリニストの一人。

 指揮のアンドレス・オロスコ=エストラーダ(1977年生れ)はコロンビア出身。ウィーン国立音楽大学で学ぶ。いくつかの歌劇場の指揮者、ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者を経て、2014年から、Hr交響楽団の首席指揮者、ヒューストン交響楽団の音楽監督を務める。さらに、2015年からはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者も務めている。
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