御託専科

時評、書評、そしてちょっとだけビジネス

友よ、日本を悲観することなかれ

2010-01-15 17:40:24 | 時評・論評
以下は日本企業や日本経済の先行きを悲観する、というよりも悲観を煽るマスコミを嘆く友人に送ったメールである。

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日本企業の生きる道なんていくらでもあるし、日本が不幸になるわけじゃあないと思いますよ。そんなに誇張された危機感をふりまわしちゃあいかんと僕は思います。それじゃあかつてバブルに胡坐をかいたことと本質的にはまったく一緒です。

そんなに不幸になるわけじゃあないと言うことからいえば、これは前に申したとおりで、中国にGDPが抜かれたからってなんだ、一人当たりGDPが17-8位だからどうした、ってことですよね。戦後すぐは「東洋のスイスになる」といって非武装中立(スイスはほんとは重武装ですがね)の理想を追いましたし、エコノミックアニマルだのウサギ小屋だとか言われて恥じたこともあるわけですよ。経済力こそがレゾンデートルと認識したのはほんの20年前のこと。そのときから経済的には停滞してるからまあ認識と実情はなかなかかみ合わないもので。 でもね、失われた20年の間に野茂を先頭としたメジャーリーグへの進出、村上隆をある種キュレーターとしたアニメ・かわいい文化の輸出をするなどしてきたんですよ。エコノミックアニマルと言われて恥じていたころの日本人からすればこれは理想じゃないっすかねえ? やたらと危機感が強いのは経済力にしかレゾンデートルがないと思っている貧しい思考の持ち主と言うことでしょう。ある程度の経済力は必要ですが、経済力それ自身は目的ではないっすよね。それは人間と同じことで。

日本企業の生きる道、ってのはおっしゃるとおり品質にあると思います。まあこれは日本企業というよりも日本全体ですが。で、これが日本企業・日本人のちょっと弱いところですがそれを全部自分でしないといけないと思っているわけです。
そんな必要はないのです。中国で「日式農法」を実施した農作物はぐんと値段が高く共産党幹部御用達でもあるときいたことがありますが、まさにこれですね。メイド・イン・ジャパンからスーパーバイズド・バイ・ジャパンにもって行きましょう。ついでにプリファード・バイ・ジャパニーズがつけばこれは天下無敵のブランドとなるわけです。 アップルのiPodにはしてやられましたが、あれとおんなしことをいろんなプロダクトでやってゆけばよいのだと思いますし、それはある程度すすめられていると思うんですよ。そんなことが重なってゆくと、実は中国なんかは相当に日本化してゆくんじゃないかと思います(最近知り合いがアモイに行って、アモイが相当程度「台湾化」しているのに驚いてましたが、まあそんな話です)。ついでに言えば、日本は独自の高度な発展をしているからこそガラパゴス化しているのです。ガラパゴスから凡庸なる世界標準に戻してしまうつまらないことをするのではなく、むしろ世界をガラパゴス化しようじゃあありませんか。平和で幸福な大東亜共栄圏の夢がいま実現、なんてことになればいいっすね。

などと、なんだかネオパトリオットと呼ばれそうな話に最後はなっちゃいましたがね。また機会がありましたらこんなお話でもしましょう。