ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

「頭頂部付近がピカッと反応」 プロ棋士のひらめきはここにあった=理化学研究所、富士通、日本将棋連盟

2008年07月10日 | 心のしくみ
 将棋のプロ棋士は、局面を認識するときに一般人とは異なる特有の脳活動が現れることが、理化学研究所と富士通、日本将棋連盟の共同研究で分かった。大脳の頭頂葉の一部が活発化するほか、記憶などに関係する脳波が素早く出現する。盤面から瞬時に最善手を判断するプロ棋士の“直感”を、科学的に解明する糸口になりそうだ。東京都内で開催中の日本神経科学大会で10日発表する。

 理研脳科学総合研究センターは、プロ棋士11人(7~4段)に将棋の盤面を次々に見せ、局面が変化したかどうかを瞬時に判断してもらう実験を行った。脳の神経細胞の活動を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で測定したところ、頭頂葉の頭頂連合野という領域の後ろの部分(背内側部)がピンポイントで活発化することを突き止めた。

 頭頂連合野は空間認識などに関係しているが、背内側部の役割は分かっていなかった。チェスの盤面や人の顔など将棋とは無関係の画像を見たときや、将棋の初級者では活発化しないことから、プロ棋士の「脳のツボ」といえそうだ。

[msn産経ニュース 2008年07月10日]
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080710/acd0807100038001-n1.htm


プロ棋士の「ひらめき」を共同研究=理化学研究所、富士通
http://blog.goo.ne.jp/cinogi/e/6dde0772aaa62e8e44839ba7f2771171
昨年の記事↑から1年、中間発表ですね。小脳の働き(仮説)はまだ分からなかったのでしょうか。
それにしても「ひらめき」なかなか降りてきてくれないんですよね。

積水メディカル、新薬候補検証で米市場に進出

2008年07月10日 | 創薬
 積水化学工業の医療関連子会社、積水メディカル(東京・中央)は9日、新薬候補物質の試験会社、米ゼノテック(カンザス州)を月内に買収すると発表した。買収金額は数十億円程度とみられ、動物や細胞を使って新薬候補物質の効き目を検証するサービスを米国で展開する。積水は同分野の国内首位。買収を通じて米国市場に本格参入する。
 積水が手掛けるのは臨床試験(治験)でヒトへの投与を始める前に行う薬物動態試験。新薬候補として見込める化合物の効き目を実験動物や細胞を使って評価する。積水は2006年に第一化学薬品を買収し同事業に進出。マウスを使う試験に強く、国内売上高は08年3月期で年39億円で国内首位という。


[NIKKEI NET/日本経済新聞 2008年07月10日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2008070908281h1

インフルエンザ新薬に道?ウイルス増殖の仕組み発見=東京大学医科学研究所

2008年07月10日 | 創薬
 インフルエンザウイルスが人の細胞に感染して増えるために欠かせない複数のたんぱく質を、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス感染)らのグループが突き止めた。新薬の開発に道を開く成果として注目されそうだ。10日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。

 ウイルスは感染した細胞がもともと持っているたんぱく質を利用して増殖している。しかし、インフルエンザの場合、どんなたんぱく質がかかわっているかはほとんどわかっていなかった。

 ショウジョウバエの細胞に感染するように遺伝子を改変したインフルエンザウイルスを作製。細胞のどのたんぱく質が増殖にかかわっているかを調べた。

 すると、人と共通して持っているたんぱく質のうち、エネルギーを生み出したり、細胞の呼吸を助けたり、リボ核酸(RNA)の輸送にかかわったりする三つのたんぱく質の働きを抑えると、ウイルスが増殖できないことがわかった。

 現在、インフルエンザの治療薬として使われているタミフルは、すでに薬が効かない耐性ウイルスが報告されている。河岡教授は「今回特定したたんぱく質とウイルスの相互作用を抑えることができれば、新しい薬や治療法の開発につながる」と話している。

[朝日新聞 2008年07月10日]
http://www.asahi.com/science/update/0710/TKY200807100163.html

インフルエンザ新薬に道?ウイルス増殖の仕組み発見=東京大学医科学研究所

2008年07月10日 | 蛋白質
 インフルエンザウイルスが人の細胞に感染して増えるために欠かせない複数のたんぱく質を、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授(ウイルス感染)らのグループが突き止めた。新薬の開発に道を開く成果として注目されそうだ。10日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。

 ウイルスは感染した細胞がもともと持っているたんぱく質を利用して増殖している。しかし、インフルエンザの場合、どんなたんぱく質がかかわっているかはほとんどわかっていなかった。

 ショウジョウバエの細胞に感染するように遺伝子を改変したインフルエンザウイルスを作製。細胞のどのたんぱく質が増殖にかかわっているかを調べた。

 すると、人と共通して持っているたんぱく質のうち、エネルギーを生み出したり、細胞の呼吸を助けたり、リボ核酸(RNA)の輸送にかかわったりする三つのたんぱく質の働きを抑えると、ウイルスが増殖できないことがわかった。

 現在、インフルエンザの治療薬として使われているタミフルは、すでに薬が効かない耐性ウイルスが報告されている。河岡教授は「今回特定したたんぱく質とウイルスの相互作用を抑えることができれば、新しい薬や治療法の開発につながる」と話している。

[朝日新聞 2008年07月10日]
http://www.asahi.com/science/update/0710/TKY200807100163.html

ゾウリムシの仲間 琵琶湖で新種発見、種の分化、知る鍵に=滋賀県立琵琶湖博物館、ザルツブルク大学ら

2008年07月09日 | 生きもの色々
 滋賀県立琵琶湖博物館(草津市)は8日、琵琶湖で新種の原生生物が見つかったと発表した。ゾウリムシなど全身が短い毛で覆われた繊毛虫の一種で、琵琶湖にちなむ学名が付いた。琵琶湖にすむ生物の種の分化を研究する上で貴重という。

 「コレプス科」と呼ばれる分類グループに属するラグビーボール形の単細胞生物で、全長60マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1ミリ)、厚さ30マイクロメートル。同館とザルツブルク大(オーストリア)、宮城教育大の共同研究で、2年前に草津市の烏丸半島東側の湖岸で採取された。

 DNA解析の結果、コレプス科のほかの繊毛虫とは遺伝子配列が異なることが判明。後部にとげを持たないなど外見上の差異も見られ、新種と断定した。生物分類学上で「種」より上の分類の「属」のレベルでの新発見になるという。

 個体は外見の特徴や琵琶湖にちなんで「レビコレプス・ビワエ」と命名。先月発行の国際原生生物学会の学術誌にも掲載された。

 琵琶湖は約400万年前に誕生した古代湖とされ、研究に携わった同館の楠岡泰主任学芸員は「固有種かは不明だが、古い時代に成立した種と考えられ、古代湖にすむ生物種の分化過程を知る上で役立つ」と話している。

[京都新聞 2008年07月09日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008070900042&genre=G1&area=S00


種の多様性、地球上でたくさんの種類の生きものと一緒に生きることの喜び。みんなに感じてもらいたいといつも思っています。
いつもwikipediaネタで恐縮なのですが、ゾウリムシの項目にとても実用的な飼育方法が掲載されていて、ちょっと微笑ましかったです。
小さな生き物もよ~く観察しているとそれはそれは不思議な気持ちが湧き上がってくるものです。
ふむふむ、乾燥酵母ですね、とても役に立ちました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BE%E3%82%A6%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B7

犬の殺処分数全国一 問われるモラル、多い飼い主持ち込み=沖縄県動物愛護管理センター

2008年07月09日 | 生命&倫理
 犬や猫を飼う県民のモラルが問われている。2006年度に県動物愛護管理センター(南城市)に捕獲・収容され、殺処分された犬は6399匹。

全国と比較できる05年度の人口10万人当たりの殺処分数は、全国(72匹)の約6・2倍の477匹で全国一多かった。県は動物愛護管理法の改正に伴う「県動物愛護管理推進計画」の策定に取り組んでおり、09年度から10年間で殺処分の半減を目指す。
 センターには1日平均30匹の犬が捕獲、収容される。センター1階の掲示板には収容されている犬、猫の種類や捕獲、保護された場所、収容日、処分日が記された一覧表が張られている。処分日は動物たちの“命のリミット”だ。
 収容日、処分日ごとに分けられた7つの「成犬室」。雑種がほとんどだが、中にはラブラドールレトリバーやダックスフント、チワワなどの人気犬もいる。人が通ると訴え掛けるような鳴き声が響く。犬は収容日を含め5日間、猫は4日間、ここで飼い主が迎えに来るのを待つ。その間に飼い主に返還されなかったり、人に危害を加えた経歴を持つ犬や苦情犬、病気で譲渡に適さない犬や猫はガスで殺処分される。
 県内の殺処分の多さの要因には飼い主が飼えなくなってセンターに持ち込む「引き取り」と捕獲数の多さがある。05年度の10万人当たりの犬の捕獲数は371匹で全国ワースト、引き取りも7番目に多い。猫の引き取りも6番目の多さだ。
 犬に限ってみると、飼い主への返還が少ないことも殺処分の多さにつながっている。06年度に収容された犬が飼い主の元に戻った返還率はわずか10・3%で、9割近くが飼い主から見捨てられているのが現状だ。
 センターに捕獲・収容される犬の大半は首輪があるものの、鑑札・注射済票、迷子札などの所有者を特定できる物を装着していないため、返還を困難にしている。予防注射の接種と鑑札の装着は狂犬病予防法で定められている。同センターの川崎克主幹は「返還の際には返還手数料が発生する。このため探しにも来ずに新たな犬を飼う人もいる」と動物の命が軽んじられていることに警鐘を鳴らす。
 川崎主幹は「15―20年先のこと、ライフスタイルなどすべてを勘案して動物を飼ってほしい」と呼び掛けている。(玉城江梨子)

[琉球新報 2008年07月09日]
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-134013-storytopic-98.html


悲しいニュース。
生命の大切さ、愛おしさを教えてくれるはずのペット、一緒に生きる約束をしたはずの飼い主なのに、この心の貧しさ、両方の不幸。
面倒くさいから、お金がかかるから・・・解決方法が見つかりますように。出来ることならばすべての可哀相なペットに里親が見つかりますように、と祈ります。

たんぽぽ計画:生命の源、宇宙で探せ 11年にも「きぼう」で=国際宇宙ステーション

2008年07月06日 | 宇宙へ
 地球上の最初の生物はどのようにして誕生したのか? 「生命」の根源的な謎の解明に挑む実験が計画されている。舞台は国際宇宙ステーション(ISS)に設置された日本の有人宇宙施設「きぼう」。宇宙を飛び交う「ちり」を捕獲し、その中から生命の誕生につながる有機物を探し出す。宇宙を飛び交う生命の種をイメージし、計画は「たんぽぽ」と名付けられた。早ければ11年にも実験が始まる。【奥野敦史】

 ◆最初の「命」どこから

 最初の生命は宇宙から来た、という説は、20世紀初頭、スウェーデンの物理化学者でノーベル賞受賞者のスバンテ・アレニウスが唱えた「パンスペルミア仮説」が有名だ。長年、少数意見の域を出なかったが、96年、米航空宇宙局(NASA)が「南極で見つかった火星由来の隕石(いんせき)に生命の痕跡を発見した」と発表し、この説が注目を集めた。

 この痕跡は後に「生命活動でなくても生じる」とされたが、逆に地球上の微生物が火山の噴火で宇宙に飛び出している可能性も指摘され、宇宙空間での生物の移動についての検討が始まった。宇宙生物学(アストロバイオロジー)とも呼ばれる分野だ。

 従来の研究手法は主に二つ。宇宙から降ってくる隕石の解析と、気球や飛行機、ロケットを使った高空での微生物・有機物採集だ。しかし、隕石は大気圏に入った時点で地球の生物や有機物が付着する問題がある。気象観測ロケットを使った方法では、高度58キロで細菌が採取された例が最高で、宇宙を含むそれ以上の高度での調査は不可能だった。

 ◆粒子を採集、分析

 「たんぽぽ」計画には、東京薬科大、横浜国大、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など、9大学・機関の研究者約20人が参加する。研究の要は二酸化ケイ素で作った「シリカエアロゲル」という板だ。縦横10センチ、厚さ2センチのタイル状の板数十枚を、高度約400キロを周回するきぼうの船外実験施設に張り付け、宇宙にさらす。板は宇宙空間を飛び交うさまざまな粒子を、スポンジのように受け止め、それを1~5年後に回収して、地上に持ち帰り分析する。研究チームの代表を務める山岸明彦・東京薬科大教授(極限環境微生物学)は、この実験で「何らかの有機化合物を採集できる可能性は十分ある」と言う。

 宇宙空間にある分子の雲に宇宙線(高エネルギーの放射線)が当たると、アミノ酸の20~30倍もの大きさの有機化合物「複雑有機物」ができることが、地上での実験で分かっている。さらに複雑有機物を分解するとアミノ酸ができる。

 原始の地球では、大気中のメタンなどが、雷の作用などで有機化合物になり、たんぱく質や核酸ができたと考えられている。だが、この作用だけで十分な量の有機化合物ができたかどうかが疑わしい。山岸教授は「当時、宇宙から大量に降っていたちりに含まれる複雑有機物が、有機化合物の供給源だったのでは」と指摘する。

 ◆生物は火星まで?

 一方「たんぽぽ」計画では、地球の生物が宇宙を遠く旅する可能性も探る。数種類の細菌を地球から持ち出し、きぼうで長期間宇宙空間にさらし、どれほど生存できるかを調べる。

 ほぼ真空状態で超低温、さらに強烈な紫外線を浴びるという宇宙の厳しい環境に、細菌をそのままさらすとあっという間に死滅する。しかし山岸教授は「地球上の微生物は、火山の爆発などで土砂と一緒に宇宙に飛び出す可能性がある。その場合、直径数ミリ程度の粘土などに細菌が包まれて休眠状態になり、かなり長期間生き続けるのではないか」と推測する。数年間生きることが確認できれば、地球の生物が火星まで“漂着”している可能性すら出てくる。山岸教授は「従来の生物学の常識を覆す発見をしたい」と話している。

 ◇超軽量ゲルでキャッチ
 たんぽぽ計画が捕獲しようとしている「ちり」は、地球の周りを超高速で飛び交っている。「きぼう」との衝突速度は最大、秒速約16キロにも達する。これを壊さぬよう、やさしく受け止めるのが「シリカエアロゲル」だ。

 新開発のゲルは体積の99%以上が小さな穴でできており、重さは1立方センチあたり0・01グラム。受け止めたちりを、摩擦熱で変質させないよう、すき間だらけで軽いものの開発が進められてきた。今回のゲルは、従来のものより3倍も軽くなり、持ち上げても重さを感じないほどだ。

 チームはこのゲルの性能実験も行った。細菌を粘土と混ぜてポリカーボネート製の弾丸に入れ、秒速4キロでゲルに衝突させ、細菌を採取できることを確認。今後、さらに衝突速度を上げて実験する予定だ。

[毎日新聞 2008年07月06日]

http://mainichi.jp/select/science/news/20080706ddm016040063000c.html

受精卵、自分を栄養に 着床前、マウスで発見=東京医科歯科大学

2008年07月04日 | 発生
 マウスの受精卵が着床するまでの数日間、自分自身のたんぱく質を分解して栄養にしていることを、東京医科歯科大のチームが発見した。魚や鳥と違い、ほとんど養分を持たない哺乳(ほにゅう)類の卵子の生き延び戦略を解明した成果で、体外受精の成功率向上などにつながる可能性もある。3日発行の米科学誌サイエンスに発表した。

 ヒトをはじめ動物や植物の細胞には、飢餓時の栄養分の自給自足や細胞内の浄化のため、自分自身のたんぱく質を分解する「オートファジー」(自食作用)と呼ばれるリサイクル機能がある。出生直後や絶食時などに、全身の細胞で活発化することが知られていた。

 水島昇・東京医科歯科大教授(分子細胞生物学)らは、生きた細胞でオートファジーの様子を観察する新手法を開発。マウスの受精卵を凍結保存しようとした際、偶然、受精直後の卵子でもオートファジーが活発化することを見つけた。

 オートファジーが働かない受精卵は、たんぱく質の合成量が通常の7割程度に落ち、生育できずに着床前に死んだ。哺乳類の卵子にはほとんど栄養分がなく、このリサイクル機能がなければ必要な器官を作る材料がなくなるためと考えられるという。

 水島教授は「今後、オートファジーのような卵細胞内のたんぱく質の代謝機構が不妊に関係しているのかどうかを解明したい。体外受精卵の培養方法の改善などにつながる可能性もある」と話している。【西川拓】

[毎日新聞 2008年07月04日]
http://www.mainichi.jp/select/science/news/20080704k0000m040153000c.html

科学技術振興機構(JST)プレスリリース
 哺乳類胚発生におけるオートファジーの役割を解明
 -マウス受精卵、自身の細胞内たんぱく質を分解して栄養に-
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20080704/index.html

<掲載論文名>
"Autophagy is essential for preimplantation development of mouse embryos"
(マウス胚の着床前発生に、オートファジーは必須である。)




 不妊治療を受けている人は増えているそうです(上記プレスリリースでは約50万人(2002年厚労省の推計データ)、体外受精による出産は全出産の1%以上といわれているそうです)。 子どもに恵まれない夫婦は多額の費用と精神的、肉体的苦痛を覚悟して不妊治療に臨んでいます。
 まだまだ分かっていないことの多い妊娠の仕組みですが、少しずつ解き明かされて、不妊治療の現状が改善されますように。

スイカにバイアグラ効果? 似た成分含有=米、テキサスA&M大学

2008年07月04日 | 食品・栄養
 夏の味覚スイカに、性的不能治療薬「バイアグラ」に似た効果のある成分が含まれていると、米テキサスA&M大学の野菜果物改良研究所が3日までに発表した。

 スイカの成分「シトルリン」が体内で酵素の働きによってアルギニンというアミノ酸になり、バイアグラの主成分と同様、酸化窒素を活性化し血管を拡張、血流量を増やすという。

 ビム・パティル所長は「バイアグラと基本的に同じ効果だ。局所的に効くのではないかもしれないが、副作用はない」と指摘している。

 AP通信によると、米農務省の研究者は「研究内容は正しいが、体内のアルギニン濃度を上げるには6切れも食べなければならない。スイカには利尿作用もあり、頻繁にトイレに行くことになるだろう」と述べている。(共同)

[msn産経ニュース 2008年07月04日]
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080704/amr0807040944006-n1.htm



 一酸化窒素の放出による血管拡張の効果があるのなら、「心臓病、高血圧に効きます」、とか、「頭皮の毛細血管の循環も良くするので育毛効果もあるかも知れません」、というような発表にすれば良かったのに。 高血圧のヒトには利尿作用があるのもメリット。 むくみのあるヒトもすっきりします。

 「バイアグラ」は局所で効くから「バイアグラ」なので、この所長さんのコメントはちょっと変かも。 ググったらシトルリンは1930年に発見されたとありました。

 夏の味覚、スイカ。 子どもの頃を懐かしく思います。 けれども最近食卓では敬遠されぎみのようす。 今年はたくさん食べようかな。

ファイザー:新薬研究開発のベンチャー企業設立

2008年07月03日 | 創薬
 米製薬大手ファイザーの日本法人は3日、閉鎖を決めた中央研究所(愛知県武豊町)の従業員が独立し、新薬の研究開発を行うベンチャー企業「ラクオリア創薬」を1日に設立したと発表した。製薬会社の研究開発組織が独立して新会社をスタートさせるのは国内初という。ベンチャーキャピタルやファイザーなどが計111億円を出資。ファイザーから15の新薬候補物質の知的財産権を譲り受け、毎年二つの新薬候補物質の創出を目指す。同研究所は会社の業績低迷で昨年1月に閉鎖を決めていた。

[毎日新聞 2008年07月03日]
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080704k0000m020099000c.html



ラクオリア創薬株式会社
ファイザー株式会社


旧ファイザー中央研究所、ファイザー社より独立
ラクオリア創薬株式会社としてスタート

米国ファイザー社の研究開発グループの一翼を担ってきた愛知県の中央研究所はこのたび、日欧の投資会社の出資とファイザー社の支援により、独立した新たな研究開発型ベンチャー企業であるラクオリア創薬株式会社(RaQualia Pharma Inc.)として7月1日に事業を開始いたしましたのでご報告いたします。

新会社は、自ら新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業であり、世界において最も革新的な新薬を生み出すグローバル研究開発型ライフサイエンス企業を目指します。ラクオリア創薬株式会社の従業員は70人です。本社は、旧ファイザー(株)中央研究所が所在した愛知県知多郡武豊町に置き、既存の研究施設や最先端研究機器を活用いたします。

新会社は、当初3年間は、探索研究と前臨床開発研究を中心にプロジェクトを推進し、4~5年目にはPOC(Proof Of Concept:臨床効果の検証)までの臨床試験を実施できる組織へと事業の拡大を図ります。新会社は、今後も市場成長が見込まれる「疼痛」と「消化管疾患」の2つの治療領域に関する革新的な創薬研究をビジネスの中核とするとともに、米国ファイザー社との契約に基づいて取得した知的財産を駆使して、製薬企業向けのライセンス供与の展開を積極的に行っていきます。

新会社はまず、疼痛疾患と消化管疾患の領域において6つの創薬研究プログラムを推進し、2008年度から継続して臨床開発候補品を創出し、開発ステージに進めていく計画です。開発ステージのパイプラインには、前臨床から臨床第2相試験までの有望な6つのグローバル開発化合物、及び、海外で既に上市あるいは申請済の3剤の国内開発販売権を持ち、豊富な導出機会があります。また、世界中の製薬企業、大学、公的研究機関やベンチャー企業と積極的に提携・共同研究を進めていきます。このようにオープンな形でのネットワークとバイオテクノロジーのイノベーションを推し進め、患者さんにとって有益な新薬候補と薬物標的の発見に寄与していきます。

会社概要
社名:ラクオリア創薬株式会社(RaQualia Pharma Inc.)
代表取締役社長&CEO:長久厚(ながひさ・あつし)
本社:愛知県知多郡武豊町字5号地2番地
従業員:70名(2008年7月1日現在)
事業内容:医薬品の研究開発、医薬品及び臨床開発候補品に関わる基盤技術の知的財産の販売及び使用許諾
資本金:1000万円(2008年7月1日現在)
主な出資予定者:
(1)エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社
(2)コラーキャピタル(Coller Capital)(英国)
(3)ファイザー株式会社

ビジョン:私たちは、創薬を通じて健康と幸せに貢献し、人々の心に陽をもたらします
経営理念:私たちは「Life(生命、生きるもの、人生)」の尊さを最優先に考え、サイエンスとテクノロジーを追求することで、社会に貢献していく集団です
文化:私たち一人ひとりは「Life(生涯)」を通じて、常に新たな価値を創造していく「Innovator=革新者」であり続けます
コーポレートスローガン:innovators for life

ラクオリア創薬の特徴と知的財産
(1)資産
多くのベンチャー企業が、初期の研究段階にあるごく限られた数の化合物、あるいは単一のターゲットや適応疾患を基盤としてスタートします。ラクオリアは、疼痛疾患と消化管疾患の領域において、継続的な生産性をもたらす複数の化合物と多様なターゲットを有しており、それらの多くはブロックバスターとなりえる製品を生み出す可能性を持っています。

またラクオリアは、旧ファイザー中央研究所時代に自ら開発した複数のプログラム「新薬の分子ターゲット(分子標的)」を保有しており、事業開始日から効率的な研究を行うことができます。

(2)IOCN(Integrated, Open Collaboration Network)ビジネスモデル
IOCNは、ラクオリアの根幹となるビジネスモデルで、社内外コラボレーションを最大限活用することにより、創薬イノベーションを促進する新しいプロセス・モデルといえます。IOCNは、大学やバイオベンチャー企業、公的研究機関、製薬会社と連携し、お互いに長期的な信頼関係に基づいてオープンな情報交換やノウハウの開示、相互学習に近い共同研究、柔軟なコラボレーションを促進させるネットワークです。

新薬開発におけるコラボレーションや提携は、1対1の限られたコラボレーションや提携であったり、自社の知的財産を守ろうとする意識が強く働くために情報の共有が阻害されたりして、多くの英知で優れた価値を生みだそうとする良い関係の構築には至っていないのが現状です。IOCNビジネスモデルでは、このモデルを実現することで1社では実現することが難しい革新的な薬の開発や社会的価値の創造、そしてラクオリアの最終目標である人々の生活を豊かにすることができるものと確信しています。

多くの企業は、新規にネットワークを作り上げなければなりません。ラクオリアは、過去数十年のファイザーで構築した多彩な国内外のネットワークを受け継いでおり、これはラクオリアの貴重な財産となっています。

(3)フラットな組織
組織は、極めて簡潔でマネジメントは一階層だけで構成されています。これは、社員間のオープンなコミュニケーションの促進、社風の強化、迅速な意思決定と行動、効率的な情報伝達、透明性と責任の明確化、これらすべてが競争優位につながっていきます。

(4)プロジェクト中心の組織
ラクオリアのオペレーションはプロジェクト単位で動くため、プロジェクト・リーダーが各部門長との相談の上、あらゆる専門の研究者や間接部門のスタッフを活用することができます。リーダーは、研究開発、臨床開発、あるいはビジネス開発の各ゴールを達成するために、集まった社員をその責任においてリードします。リーダーにはプロジェクトを遂行するための権限と責任が付与されていますが、メンバー間の上司という立場ではなく、あくまでもプロジェクトを成功に導く推進役です。

ラクオリアは、それぞれの仲間、ビジネスパートナーやステークホールダーの方々と「信頼」で結びついた関係を重視した企業活動を行います。

(5)トップクラスのプロフェッショナルな研究者集団
研究者たちは、多くの開発候補化合物を作り出してきた経験豊富な元ファイザー中央研究所の社員で、また、欧米研究所での研究経験、国内外学会発表経験や多くの論文発表など、優れた能力を有しています。

多くの新規企業は、企業立ち上げの際に優秀な人材の確保が困難であり、また生産性に影響する社風や文化の構築にその多くの時間と労力を割かなければなりません。ラクオリアでは、当初からトップクラスの人材が確保されており、その多くはファイザー以外の製薬会社での経験を持った研究者です。大手製薬企業のシステム、ノウハウ、さらには、ベンチャー企業のもつ柔軟性やスピードや情熱を、設立したその日から一体化できる集団です。

(6)最先端テクノロジーと充実した研究支援体制
ラクオリアは、設立時点から最先端の研究機器やテクノロジーを保有しており、ダイナミックな研究ができる環境です。

多くの新規企業は、その資金力の制約から研究のための十分な施設や研究設備の保有が困難ですが、ラクオリアには再購入価格で約43億円の最先端の機器類が使いやすい研究施設の中に整っています。

新規研究開発型企業の多くが保有することが困難なIT、人事、財務のインフラ機能に既に経験豊富な優秀な人材が配置されており、スタート時点からサイエンスに集中した効率的な研究活動が行える環境にあります。

[日刊工業新聞 2008年07月03日]
http://www.nikkan.co.jp/newrls/rls0704a-03.html

ファイザー株式会社 プレスリリース
 旧ファイザー中央研究所、ファイザー社より独立
 ラクオリア創薬株式会社としてスタート
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2008/2008_07_03.html



突然の閉鎖のニュースはとてもショックでした。
新会社スタート、頑張って下さい! エールを送ります。

乳牛への成長ホルモン投与で温室効果ガス削減?=ニューヨーク、コーネル大学

2008年07月03日 | 生命&倫理
【7月3日 AFP】100万頭の乳牛に乳量を増加させる成長ホルモンを投与すると、自動車40万台分に相当する温室効果ガス削減が可能とする米研究チームの研究が、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)6月30日号に発表された。

 ニューヨーク(New York)のコーネル大学(Cornell University)のジュディス・キャッパー(Judith Capper)氏らの研究チームは、乳牛への遺伝子組み替えウシ成長ホルモン(rbST)の投与が温暖化防止につながると主張している。

 キャッパー氏は、大規模な牛乳生産には、広大な土地に加え、水や飼料も大量に必要であることを指摘。rbSTを使用すると生産者は需要を満たす量の牛乳を生産しながら、温室効果ガスを削減することができるとしている。

 米国では約15年前からrBSTが使われており、「組み換えウシソマトトロピン(recombinant bovine somatotropin、rBST)」、「ウシ遺伝子組み換え型成長ホルモン」(recombinant bovine growth hormone、rBGH)」、「人工成長ホルモン」などとも呼ばれる。米化学大手モンサント(Monsanto)は「ポジラック(Posilac)」の商品名で販売している。

 しかし、rbSTの使用に反対する意見も根強い。欧州連合(EU)は乳牛の健康への懸念からrbSTの使用を禁止しているし、rbSTは伝統的な小規模農家が生産する農産物価格を下げる大手企業の権益の象徴とみなされることもある。

  研究チームでは、100万頭の乳牛にrbST を投与すると、15万7000頭少ない乳牛で同じ量の牛乳が生産でき、乳牛の飼料もトウモロコシが49万1000トン、大豆が15万8000トン、飼料全体で最大230万トンの削減できるとしている。また、酪農に使う土地を最大で21万9000ヘクタール減らすことができ、土壌流出を年間で最大230万トン減らせるとしている。

 さらに研究チームは「酪農業界全体で乳牛にrbSTを投与すれば酪農の持続可能性が改善され、酸性化や藻の発生などの水質汚染の低減、地球温暖化対策への貢献にもつながるだろう」と期待を示している。

 国連(UN)の食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)が2006年にまとめた報告書によると、人間活動に起因するメタンガス(CO2以上に地球温暖化を促進する)の37%がウシの飼育によって排出されたもので、その大半が家畜の消化に伴って発生したものだという。また、人間活動に起因するアンモニア(酸性雨の原因となる)については64%がウシの飼育によって発生しているという。

 FAOのこの報告書は、ウシの飼育に起因するCO2は、人間活動に起因するCO2全体の9%を占め、世界全体では自動車が排出する量を上回るだけでなく、SO2(二酸化硫黄)などのCO2よりも有害な温室効果ガスも排出しているとしている。(c)AFP

[AFP BB News 2008年07月03日]
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2412951/3096561


いやなニュース。
ヒトは、たとえば狂牛病から、なんにも学習していないんですね。

小笠原移送のアホウドリ北へ、人工衛星で確認=山階鳥類研究所

2008年07月03日 | 生きもの色々
 伊豆諸島・鳥島からヘリコプターで移送し小笠原諸島・聟島で人工飼育後、5月に巣立ちしたアホウドリのひなについて山階鳥類研究所は3日、人工衛星による追跡で、野生のひなと同様に北を目指して飛んでいることが分かったと発表した。

 速度は成鳥並みの時速20-30キロとみられ、聟島から約3900キロ離れたカムチャツカ半島東で確認されたひなもいた。鳥島を巣立った野生のひなと行動や進路はほぼ同じで、同研究所は「まさに本能だろう。移送は、巣立ち後の進路を狂わせるかと心配したが、影響はなく安心した」としている。

 ひなの追跡調査は初めて。移送したうちの5羽と野生の5羽に発信機を付け、発信機の故障などとみられる2羽を除き、受信が続いている。

 同研究所の分析では、巣立ったひなの多くは1週間ほど海面を漂った後に本格的な飛行を開始。当初は東に向かったり、西に向きを変えたりしていたが、6月4日ごろに進路を北に変えた。

 その後も迷走を続けながら北に向かい、成鳥なら10日ほどで到達するアリューシャン列島まで、最も早いひなで約1カ月かかった。(共同通信)

[京都新聞 2008年07月03日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008070300121&genre=G1&area=Z10

東邦大学メディアネットセンター バーチャルラボラトリー
アホウドリ復活への軌跡
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/ahoudori/index.html



 うれしいニュース。
 以前テレビで観たアホウドリの雄姿、2mをゆうに超える翼でほとんど羽ばたかず空を滑るように飛翔する姿に感動しました。 長旅、気をつけて。元気に還って来て、新しい棲家でもたくさん繁殖してほしいと思います。

ダチョウの卵で抗体、ウイルス撃破、ベンチャー設立=京都府立大学

2008年07月03日 | 創薬
 京都府立大生命環境科学研究科の塚本康浩教授が2日までに、ダチョウの卵黄からウイルス感染を防ぐ抗体を作るベンチャー企業「オーストリッチファーマ」(京都府精華町・けいはんなプラザ)を設立した。大流行の発生が懸念されている鳥インフルエンザウイルスの感染を防御するマスクの販売を年内に始めるとともに、感染症やがんなどのワクチンや治療薬開発も進める。

 抗体は、ウイルスなどの外敵(抗原)から守るために体内で作られ、抗原と結合して不活性化する。

 塚本教授は、人に極めて近い抗体を雌のダチョウで作り、卵黄から精製する世界初の技術を開発した。従来のマウスやウサギと比べ、質のよい抗体を安価に大量生産できる。この技術で、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の感染力を奪う抗体を作製した。マスクに抗体を染み込ませた実験で、ウイルス感染を完全に防ぐことができた。

 ファーマは、兵庫県内の契約牧場でダチョウを飼育しており、近く抗体の本格生産を始める。病院で使用するマスクや空調フィルターなどを生産、秋をめどに販売を開始する。さらに、他の感染症やがんなどの抗体の開発、検査キットや治療薬への応用も進める。

 塚本教授は「インフルエンザの感染を抑えたデータは世界で初めて。1カ月ほどで抗体開発はできるので、新型ウイルスにも対応できる」と話している。

[京都新聞 2008年07月03日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008070300033&genre=G1&area=K00

糖尿病治療に「適度な空腹」必要、マウス実験で確認=東京大学

2008年07月02日 | 生活習慣病
 生活習慣がおもな原因とされる2型糖尿病を治すには、適度な空腹が必要であることが、発症にかかわるたんぱく質の働きの解明から裏付けられた。東京大学などの研究チームによるマウスの実験で、このたんぱく質は空腹が続くと増え、血糖値を下げるインスリンの働きを仲介していることをつかんだ。2日付の米代謝学専門誌で発表する。

 東京大の窪田直人准教授(糖尿病・代謝内科)らは、インスリンの働きにかかわる、IRS2というたんぱく質が肝臓にないマウスをつくり、調べた。

 その結果、IRS2は、肝臓が体内の脂肪などを分解して糖をつくるのを抑えるインスリンの働きを促し、空腹が続くほど増え、食後にほとんどなくなることがわかった。インスリンは、肝臓が食後に糖から脂肪をつくってためこむのを助ける働きもあり、これにはIRS1という別のたんぱく質がかかわっていた。

 IRS1の量はほぼ一定なので、食べ続けることで肝臓には脂肪がためこまれる。2型糖尿病患者に高血糖と脂肪肝が同時に起こる原因とみている。治療薬開発につながる成果という。

 共同研究者の門脇孝・東大教授は、「間食をせずに3食リズムよく食べることが大切」と話している。(鍛治信太郎)

[朝日新聞 2008年07月02日]
http://www.asahi.com/science/update/0702/TKY200807010538.html

母の食事が子のリズム作る、ラットで解明=東北大学

2008年07月02日 | ラット
 妊娠中の母親の食事パターンが、胎児の体内で1日のリズムを刻む生物時計の働きに、大きく影響を与える可能性があることを、太田英伸東北大助教(小児科学)らのチームがラットの実験で突き止め2日、米科学誌プロスワンに発表した。

 人間でも胎児の順調な成長や発達に、規則正しい食事が重要なことを示す成果という。

 チームは、妊娠したラットに、人工的に12時間ごとに昼夜を過ごさせた。ラットは夜にえさを食べる「夜型」だが、明るい時にしかえさを与えず「昼型」の食事パターンにしたラットも作り、出産直前の母親と胎児の脳などで、時計の役割をする遺伝子の働き方によって刻まれるリズムを調べた。

 母親の遺伝子が刻むリズムは、食事パターンにかかわらず夜型だったのに、昼型にしたラットの胎児は、リズムが夜型とは異なる昼型になっていた。

 えさを食べることで分泌されるホルモンなどが胎児に伝わり、時計遺伝子の働き方に影響を与えているとみられる。(共同)

[中日新聞 2008年07月02日]
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2008070290104626.html


【胎児の生物時計:母の食習慣が影響 ラットで確認=東北大学】

 ラットの胎児の体内で約24時間周期のリズムを刻む「生物時計」が、昼夜の日照の変化ではなく、妊娠中の母親ラットがいつ食事をするかという「食習慣」の影響で決まることを、東北大病院周産母子センターの太田英伸助教(発達生理学)らが発見した。

 多くの生物は、生物時計を刻む時計遺伝子を持っている。太田助教らは、胎児の生物時計が母親から受ける影響を調べるため、人工照明で12時間ずつ昼夜が交代する環境を作り、妊娠中のラット10匹を飼育。うち5匹は1日1回、照明の点灯(日の出にあたる)から5~9時間後にだけえさを与え、残る5匹はいつでも自由に食べられるようにした。後者の5匹は、夜行性の習性で自然と暗くなってからえさを食べた。

 その後、母親と胎児の脳と肝臓で時計遺伝子「Per1」の発現と、日照を受けた情報を伝えるホルモン「メラトニン」の分泌リズムを調べた。すると母親は昼に食べたグループも、夜に食べた方も全く同じリズムだった。一方、胎児は母親が昼型の食事をしているとリズムのピークが昼だが、夜型だとピークも夜に変化した。

 このことから、母親の生物時計は人間が太陽を浴びて時差ぼけを治す時のように、日照の変化で決まるが、胎児は日照以上に、母親の食事スケジュールの影響を強く受けていることが分かった。胎児も生まれた後は、日照リズムに合わせて生物時計が調整されるという。

 太田助教は「生物時計の仕組みは人間でも共通で、妊娠中のお母さんの生活リズムが赤ちゃんの成育に重要だと再確認できた。この成果を元に、早産の赤ちゃんの生物時計をきちんとコントロールできる保育器の開発などに生かしたい」と話している。

 米国のオンライン科学誌「プロス・ワン」で発表した。【奥野敦史】

[毎日新聞 2008年07月13日]
http://www.mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/07/13/20080713ddm016040048000c.html



 そりゃやっぱり「昼型」で「規則正しく」食事を摂っている方が健康に良いような気がしますよ、なんとなく。胎児にだってそりゃ良いことだろうとは思います。

 でもね、妊婦にも妊婦を取り巻く環境にもいろいろな事情はあります。
 こんな記事で「ちゃんと睡眠や食事の管理をしなければいけませんよ」とか要らぬプレッシャーをかけないでください!と言いたいです。 「~だから最近の子どもはキレ易いんだ」とか 「ちゃんと産休を取って、会社は休ませて、ご主人は家事をしなければいけませんよ」とか、世の中の意見をこういう方向に誘導しているように感じてしまい、少しイラっとします。

 夜行性のラットが明期に(ちょっと不安な心持ちですが)ご飯を食べられるのに、暗期には(どういうわけか)ご飯にありつけない。こういう条件を学習し、仔ラットに内分泌レベルで何かを伝える、ということはあるかも知れません。仔ラットも昼型になればご飯にありつける可能性は上がるかも知れません。
 ですが、これらの遺伝子の働き方なんて、環境でどんどん左右されるでしょうし、元に戻らなくてもなにかで代償がきくような気がします。 明期と暗期を反転させて日周期リズムを変えたラットでも、数日でたいてい元に戻るという記事を読んだことがあります。 きっと生きものの仕組みは、もっと芯が強くて柔軟に出来ているはず。

 ですから、妊婦さんも赤ちゃんも新米お母さんも、どうか不安になりませんように。
夜更かししてしまったり、食事が不規則だったり、つわりとかご主人の午前様とか姑とか、まったりスルーで良いと思います。

(それにしてもYahoo!ニュースのコメント欄も、なんだか荒れていました)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080703-00000027-nkn-ind