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酸化悪玉コレステロール、動脈硬化進行に関与=東北大学

2008年07月02日 | 生活習慣病
 動脈硬化を起こして心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞の原因となる悪玉コレステロール(LDL)のうち、酸化LDLだけが動脈硬化の進行にかかわっていることを、東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(代謝学)と岡芳知教授(同)らの研究グループが解明した。動脈硬化の治療法開発につながる研究成果として注目される。

 グループは、(1)酸化LDLに結合するタンパク質の遺伝子を肝臓に注入して酸化LDLを吸着させ、血液中の酸化LDLの濃度を抑えたマウス(2)コレステロールに作用しないタンパク質の遺伝子を肝臓に注入したマウス―の2匹を比較した。
 2匹とも高脂血症マウスで、総コレステロール、LDLの数値は変わらない。

 1週間後、(1)は酸化LDLの血中濃度が(2)の3割に低下した。4週間後、血管の変化を観察したところ、(2)は動脈硬化が15%増えたのに対し、(1)は進行が止まっていた。

 片桐教授は「酸化LDLの値が低いマウスの動脈硬化が進まなかったことから、酸化LDLが動脈硬化の原因と特定できる」と説明する。

 心筋梗塞などは動脈硬化の病変部の破裂をきっかけに、血管が詰まって発症する。酸化LDLが少ないと病変部を平滑筋が覆い、破れにくくなることも分かった。

 LDL全体のうち酸化LDLは数%程度。現在はLDLを減少させる内服薬が普及しているが、下げすぎるとがんの発症リスクや死亡率が高まるとの指摘もある。

 片桐教授は「酸化LDLだけを取り除く薬剤が開発されれば、動脈硬化の改善も可能」と話す。

 酸化LDLが動脈硬化に影響するのは、細胞レベルの実験で確認されていたが、動物体内での作用を突き止めたのは初めて。研究成果は1日、米科学誌に掲載された。

[Yahoo! ニュース(河北新報) 2008年07月02日]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080702-00000003-khk-l04