ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

米ぬか:抗酸化作用で糖尿病腎症の発症抑制に効果=和歌山県立医科大学

2008年01月21日 | 食品・栄養
 和歌山県立医大、同県工業技術センターなどの共同研究グループは、米ぬかに含まれるフェルラ酸が、糖尿病腎症の発症を抑える効果があることが分かったと発表した。ラットを使った実験で、腎症発症を示す尿たんぱく排出量が少なくなり病気の進行が遅いことが確認された。オランダの糖尿病専門誌に発表した。

 フェルラ酸はポリフェノールの一種。強力な抗酸化作用がありサプリメントなどの原料に使われている。糖尿病腎症は糖尿病の3大合併症の一つで、高血糖が長く続くことで発症する。代謝異常のために活性酸素が過剰となることが原因として注目されており、研究グループは酸化防止機能を持つフェルラ酸の効果を調べた。

 実験では、糖尿病だが腎症発症前のラットにフェルラ酸を含む飼料を与え、12週間後に観察。通常の飼料を食べたラットと比べ、尿たんぱく排出量が半分以下となった。谷口久次・同センター化学技術部長は「医薬品や特定保健食用品としての実用化を目指し、将来的には腎症患者を減らしたい」と語った。

 糖尿病腎症に詳しい槙野博史・岡山大大学院教授は「効果のメカニズムを詳しく調べれば、人間への効果も期待できるのではないか」と話している。【辻加奈子】

[毎日新聞 / 2008年01月21日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080121k0000m040112000c.html

脂っこい食事でも平気?肥満遺伝子特定=神戸大学

2008年01月21日 | 遺伝子組替マウス
 脂肪分が多い食事をした時に働いて、細胞内に脂肪をため込むのを促す作用がある遺伝子を神戸大の春日雅人教授らがマウス実験で特定し、20日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 この遺伝子の働きを抑えると、マウスに脂っこい餌を与えてもあまり太らなかった。春日教授は「人に応用できれば新たな肥満治療薬につながるかもしれない」としている。

 春日教授らは、内臓肥満の主な原因となる白色脂肪細胞で、インスリン伝達にかかわるDok1と呼ばれる遺伝子が肥満時に強く働いているのに着目。Dok1が別の肥満関連遺伝子に働き掛け、脂肪細胞内に脂肪をため込むのを促進する作用があることを確かめた。

 Dok1が働かないようにしたマウスと正常なマウスで比較すると、通常の食事では太り方に差がないが、脂肪分が多い食事を与えた場合、Dok1が働かないマウスの体重が20%以上軽くなった。

[神戸新聞 / 2008年01月21日]
http://www.kobe-np.co.jp/knews/0000807929.shtml

ES細胞で筋ジストロフィー症を治療、マウスで成功=テキサス大学

2008年01月21日 | 医療技術
 筋肉の力が徐々に失われる遺伝性疾患の筋ジストロフィーの症状を示すマウスに、遺伝子操作した胚性幹細胞(ES細胞)を注射して、筋肉の機能を一部回復させることに成功したと、米テキサス大の研究チームが20日、米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表した。

 筋ジストロフィーのマウスを、あらゆる細胞に分化する能力を持つES細胞の移植で治療したのは初めて。遺伝子を操作するため、すぐには人への応用はできないという。

 筋ジストロフィーのうち患者の多いデュシェンヌ型は、筋細胞の形を保つタンパク質「ジストロフィン」が遺伝子変異のため作られず、筋力の低下や筋委縮が起きる。

 研究チームは、マウスのES細胞を培養し、筋細胞への分化を促進する遺伝子「Pax3」を人工的に導入。筋細胞になるよう分化し始めたものだけを取り出した。

 これを病気のマウスの大動脈に注射したところ、1カ月後には筋細胞になって筋肉に定着し、ジストロフィンも作られていた。通常のマウスほど強くないが、ある程度筋力が回復したという。

 ES細胞を注入する治療では、無限に増殖するがん化が懸念されるが、筋細胞に分化するものだけを厳選した結果、3カ月後にもがんは起きなかったとしている。

[京都新聞(共同通信) / 2008年01月21日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008012100013&genre=G1&area=Z10


朗報です。早く臨床段階に移って、ヒトで実用化されることを願っています。
世界中の今この病気と闘っている人に、希望の光が見えてきたように思います。