魚の特定の神経回路を蛍光物質で光らせ、機能を止めると行動がどう変化するかを観察することに、国立遺伝学研究所の浅川和秀・日本学術振興会特別研究員らの研究チームが成功した。脊椎(せきつい)動物の神経回路を生きたまま可視化し、制御できたのは初めて。パーキンソン病や認知症などの神経の病気が起こる仕組みや、記憶のメカニズムの解明に役立つ可能性があり、米国科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
生物の行動や思考は脳や脊椎に張り巡らされた感覚神経、運動神経などの神経回路が制御するが、各神経回路の働きはよく分かっていない。チームは、狙った細胞で目的の遺伝子を働かせる手法を開発。熱帯魚のゼブラフィッシュを使い、狙った神経回路に蛍光たんぱく質を作る遺伝子と、神経の機能を阻害する毒素を作る遺伝子を導入して実験した。
その結果、狙った神経回路を光らせ、機能を止めることに成功。例えば、感覚神経と運動神経の働きのバランスを調整する「介在神経」の働きを抑えた魚は、針でつつかれても逃げずにその場で奇妙な動きをするなど、行動の異常が表れた。
同研究所初期発生研究部門の川上浩一准教授は「神経の異常によって起きる病気の解明だけでなく、記憶や学習をつかさどる神経回路がどう形成されているかを解明することができるかもしれない」と話している。【永山悦子】
[毎日新聞 / 2008年01月15日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080115k0000e040028000c.html
国立遺伝学研究所 News & Topics
http://www.nig.ac.jp/hot/2007/0116kawakami.html
初期発生研究部門 川上研究室
http://www.nig.ac.jp/section/kawakami/kawakami-j.html
生物の行動や思考は脳や脊椎に張り巡らされた感覚神経、運動神経などの神経回路が制御するが、各神経回路の働きはよく分かっていない。チームは、狙った細胞で目的の遺伝子を働かせる手法を開発。熱帯魚のゼブラフィッシュを使い、狙った神経回路に蛍光たんぱく質を作る遺伝子と、神経の機能を阻害する毒素を作る遺伝子を導入して実験した。
その結果、狙った神経回路を光らせ、機能を止めることに成功。例えば、感覚神経と運動神経の働きのバランスを調整する「介在神経」の働きを抑えた魚は、針でつつかれても逃げずにその場で奇妙な動きをするなど、行動の異常が表れた。
同研究所初期発生研究部門の川上浩一准教授は「神経の異常によって起きる病気の解明だけでなく、記憶や学習をつかさどる神経回路がどう形成されているかを解明することができるかもしれない」と話している。【永山悦子】
[毎日新聞 / 2008年01月15日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080115k0000e040028000c.html
国立遺伝学研究所 News & Topics
http://www.nig.ac.jp/hot/2007/0116kawakami.html
初期発生研究部門 川上研究室
http://www.nig.ac.jp/section/kawakami/kawakami-j.html