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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

ヒトES細胞:大量培養法開発 パーキンソン病などに朗報=理化学研究所

2007年05月28日 | 脳、神経
 あらゆる細胞に分化する能力を持つヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を大量に培養する方法を、理化学研究所・神戸研究所などの研究グループが開発した。この方法で、脳の神経細胞を効率よく作ることにも成功した。パーキンソン病など神経変性疾患の再生医療につながる成果で、27日付の米科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー」(電子版)に掲載された。

 未分化のまま増やしたES細胞の塊をバラバラにし、再び未分化の細胞塊に成長させる方法で、マウスの場合は効率よく増やす方法があった。しかし、ヒトの場合はバラバラにする操作を加えると、ほとんどの細胞が死んでしまい、少しずつほぐしながら増やす効率が悪い方法しかなかった。

 研究グループは、特殊な細胞の死だけに関係するたんぱく質「Rho」と結合して活性化される酵素「Rhoキナーゼ(ROCK)」に注目。ROCKの阻害剤を培養液に添加すると、塊をバラバラにしても細胞がほとんど死ななくなり、培養効率が1カ月当たり100倍以上も向上した。

 笹井芳樹・理研グループディレクター(神経発生学)は「ヒトES細胞の大量培養の道を切り開く画期的な技術開発で、パーキンソン病やハンチントン病など大脳の神経変性疾患の再生医療や創薬開発につながる可能性がある」と話している。【河内敏康】

[毎日新聞 / 2007年05月28日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20070528k0000m040097000c.html

理化学研究所 プレスリリース
  ヒトES細胞の画期的培養法開発:大量培養や大脳神経細胞産生が可能に
 - 再生医療や創薬開発を加速する新技術の確立 -


(図2の説明:分散したヒトES細胞のROCK阻害剤による劇的な生存促進
ROCK阻害剤(Y-27632またはFasudil; 10 μM)の培養液への添加により、細胞分散による細胞死はほとんど抑制され、多数の細胞コロニー(単一細胞から増殖した細胞塊)が生じる。
1回の植え継ぎで十数倍程度の細胞数に殖やすことが可能。)
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070528/index.html

ヒトES細胞大量培養に成功 従来の100倍以上の効率(朝日新聞) - goo ニュース