ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

爆薬臭で光る酵母、米大が開発 地雷除去などに利用期待=テンプル大学

2007年05月08日 | 可視化技術
 地雷などの爆薬のにおいを感じて緑色に光る酵母を、米テンプル大のチームが開発した。地雷除去や仕掛け爆弾の探知だけでなく、生物兵器や化学兵器などを見つけ出す技術にもつながると注目される。米科学誌ネイチャー・ケミカル・バイオロジー電子版に7日、論文を発表した。

 においを嗅(か)ぎ分けられるのは、鼻の奥に嗅覚(きゅうかく)受容体と呼ばれるセンサーがあるためだ。「におい成分」がこのセンサーにくっつくと、電気信号が神経を伝わり脳に届く。

 開発チームはこの仕組みを利用し、TNT火薬の中にわずかに含まれるジニトロトルエン(DNT)という物質に注目。DNTのにおい成分にくっつくセンサーをネズミの嗅覚受容体の中から探し出し、その遺伝子を酵母に組み込んだ。

 さらに、クラゲがもつ緑色蛍光たんぱく質(GFP)をつくる遺伝子も酵母に導入。GFPは外部からのエネルギーなどを得て、緑色に光る。同チームは、センサーがDNTにさらされると、酵母が反応して緑色に光ることを確認した。この仕組みを使えば、環境中の有毒物質などの検出にも使える、とみている。

[朝日新聞 / 2007年05月08日]
http://www.asahi.com/science/update/0508/TKY200705080317.html

"Biosensor Sniffs Out Explosives"
[Science Daily (May 9, 2007)]
http://www.sciencedaily.com/releases/2007/05/070508185845.htm

日仏チーム、ミトコンドリア病の原因遺伝子発見=東京大学、パリ大学

2007年05月08日 | 遺伝子
 東京大学の中村祐輔教授らとフランスのパリ大学などの共同チームは、筋力や知能が低下するミトコンドリア病の新たな原因遺伝子を発見した。中村教授は「ミトコンドリア病の新しい診断に応用できる」と話している。7日付の英科学誌ネイチャー・ジェネティクスの電子版に発表される。
 ミトコンドリア病は、細胞内の小器官でエネルギーをつくり出すミトコンドリアの遺伝子が異常をきたし、筋力や知能の低下などが起きる病気。国内には数万人の患者がいるとみられており、難病に指定されている。


[日本経済新聞 NIKKEI NET / 2007年05月08日]
http://health.nikkei.co.jp/news/top/index.cfm?i=2007050708747h1

大脳皮質形成の仕組み発見=理化学研究所、慶応大学

2007年05月08日 | 脳、神経
【共同通信】
 理化学研究所(埼玉県和光市)や慶応大などの研究チームは8日、記憶や思考など脳の高次の機能をつかさどる大脳皮質を形成するために必要な酵素が働く仕組みをマウスで発見したと発表した。

 この酵素の作用で働くタンパク質が分かれば、記憶や学習を助ける薬の開発などに応用できる可能性があるという。

 理研脳科学総合研究センター研究員だった大島登志男早稲田大教授(分子脳科学)によると、哺乳類の胎児の大脳皮質では、内側で増殖した神経細胞が外側に向かって順に移動。神経細胞自体も当初は未完成な姿だが、移動中に細長く伸びて成熟した姿に近づき、生後、大脳皮質に規則正しい6層構造が形作られる。

[共同通信 47NEWS / 2007年05月08日]
http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007050801000873.html

理化学研究所 プレスリリース

脳梗塞治療に水素が効果、動物実験で確認=日本医科大学

2007年05月08日 | 医療技術
 動脈硬化などの原因となる活性酸素を、水素が取り除き、脳梗塞(こうそく)による脳の損傷を半分以下に減らす効果があることを、日本医大大学院の太田成男教授らが動物実験で確認した。

 体に悪い活性酸素だけを選択的に除去する性質も判明し、脳梗塞などの治療薬開発が期待される。研究成果は8日付の科学誌ネイチャー・メディスン(電子版)に掲載される。

 活性酸素は細菌など外敵を退治するのに有効だが、一方で身体の“さび”と言われ、老化の黒幕と考えられている。特に脳梗塞では、一度詰まった血流が再開する時に大量の活性酸素が発生し、脳を傷める。

 太田教授らは、人工的に脳梗塞にしたラットを使い、一方に濃度2%の水素ガスを与え、もう一方は何も与えずに血液の流れを再開した。その結果、水素ガスを与えたラットの脳損傷の程度は、何も与えないラットの半分以下だった。

 活性酸素には、いくつかの種類があり、水素は、最も酸化力が強い「ヒドロキシルラジカル」にだけ作用することもわかった。

 太田教授は「水素は善玉の活性酸素には作用しない。既存の脳梗塞治療薬より効果は顕著で、有望だ」と話している。

[読売新聞 / 2007年05月08日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070508i401.htm