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ピロリ菌 胃の粘膜破壊の仕組み解明=北海道大学

2007年05月17日 | 消化器
 胃炎や胃潰瘍(かいよう)、胃がんの原因とみられている細菌ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が胃の粘膜を破壊する仕組みを、北海道大遺伝子病制御研究所の畠山昌則教授らのグループが突き止めた。17日発行の英科学誌ネイチャーに発表される。

 ピロリ菌は胃の粘膜をつくる上皮細胞にくっつくと、CagAというたんぱく質を細胞の中に打ち込んで粘膜を破壊することが知られている。畠山さんらは培養できるイヌの上皮細胞を使い、CagAが粘膜を破壊する仕組みを詳しく調べた。

 それによると、CagAはまず、隣り合う上皮細胞同士を固く結びつけている「装置」を作る酵素(PAR1)と結び付くことがわかった。CagAが結合するとPAR1の働きが鈍り、装置が破壊されて、正常な粘膜組織が維持できなくなっていた。

 畠山さんらは今回の研究に先立ち、CagAが細胞の増殖を促すたんぱく質(SHP2)を活性化させてがん化を促進するらしいことも明らかにしており、(1)CagAとPAR1が結合して胃粘膜を破壊(2)結合したCagAがSHP2を活性化させてがんを起こす、との2段階を考えている。

 日本人はざっと2人に1人がピロリ菌に感染しており、胃がんのほとんどが感染者で起きていることもわかってきた。抗生物質による除菌が健康保険でできるが、うまくいかない人もいる。「今の抗生物質では除菌できない耐性ピロリ菌が20%を超える。CagAがPAR1と結合できなくする薬ができれば、胃がんなどを大幅に減らすことができるかもしれない」と畠山さんはいう。

[朝日新聞 / 2007年05月17日]
http://www.asahi.com/life/update/0517/TKY200705160394.html

ピロリ菌と胃がんのメカニズムを解明…北大研究チーム(読売新聞) - goo ニュース