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チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

県外からの機動隊の撤退を求める住民監査請求---公安委員、県警警備部長の陳述への反論

2016年11月28日 | 沖縄日記 高江

 

 県外からの機動隊の撤退を求めて県民391名が住民監査請求を起こした。その陳述会が11月22日(火)に開催された。請求人からは、高江・住民の会のGさん、そしてMさんと私が陳述した(私の陳述書は先日のブログを参照)。

 相手側は、天方沖縄県公安委員と重久県警警備部長が陳述した。彼らの陳述への反論を陳述書(その2)として提出したので、以下に掲載する。

(注)ただし、以下に掲載したものは、実際に提出したものに加筆・訂正したものである。

                       (11月22日の陳述会)

 

***************** 

陳 述 書 (その2)  

                                                                                   2016年11月26日 

1.はじめに

   本件住民監査請求の陳述会が2016年11月22日に開催された。

  この陳述会では、請求人らが最初に陳述を行い、その後、重久沖縄県警察本部警備部長、天方沖縄県公安委員が陳述を行った。そのため、警備部長や公安委員は、我々の陳述に対する反論を陳述の場で行うことができた。しかし、我々請求人が警備部長や公安委員の陳述に対する反論を行うことは許されず、「何か反論があるのなら文書を提出せよ」とのことであった。

  口頭による陳述と文書では当然、説得力に大きな違いがある。こうした陳述会の運営方法は公平中立なものとはいえない。今後、このような一方に偏した運営方法を改められるよう申し入れる。 

  以下、当日の天方沖縄県公安委員、重久沖縄県警警備部長の陳述に対して次のとおり反論する。

 

2.天方沖縄県公安委員の陳述に対する反論

(1) 「陳述書(11月22日付)」にも詳述したが、天方委員は警察法第60条第2項の解釈を誤っている。沖縄県警は、沖縄県公安委員会が援助要求を決定する前に警察庁に連絡し、警察庁は11月11日、6府県警察本部長に通知を行った(事実証明書1)。沖縄県公安委員会が援助要求の決定を行ったのはその翌日の7月12日であり、当然、それまでは内容の変更や決定そのものを行わない事態も当然、あり得たのである。

  警察法第60条第2項の趣旨は、まず沖縄県公安委員会が援助要求を決定した後に警察庁に連絡するというものであり、その後に、各府県公安委員会に援助要求を発出すべきであった。また、警察庁は沖縄県公安委員会の決定を待って、6府県警察本部長に通知すべきであった。 

(2) また、7月12日の援助要求決定にあたっては公安委員の会議が開かれておらず、沖縄県公安委員会運営規則第2条第1項に違反している。同規則第9条の2では、「緊急の必要がある場合」は会議以外の方法によることができるとされているが、今回は「緊急の必要」があったとはいえない。

  この点について天方委員は、「7月22日に工事を始めるという話が7月になって入ってきたので7月14日の定例会まで待つことはできなかった」と陳述した。しかし、沖縄防衛局からの要請は7月11日に沖縄県警察本部に出されており、しかもそこには「7月中を目途に工事再開」とされていたにすぎない(事実証明書5)。とても「緊急の必要」があったとはいえない。

  また、天方委員は、「3人の公安委員が別個に説明を受け、持ち回りで決裁した」とも陳述した。しかし、公安委員会運営規則第9条の2は、「緊急の必要がある場合は、会議以外の方法で他の委員と協議を行い、委員会の権限を行使することができる」というものである。ところが今回は、委員間の協議は全く行われておらず、この点でも公安委員会規則に違反している。 

(3) また天方委員は、「抗議参加者は、道路に座り込む、車の前に飛び出すなどの道路交通法違反行為を続けている。警察官が違法行為を確認しながら放置することはできない」とも陳述した。

  しかし、「陳述書(11月22日付)」でも述べたとおり、現場の警察官らはダンプ規制法や道路運送車両法に違反するダンプトラックの走行に対して、我々が現場で指摘しているにもかかわらず、何の規制もしていない。抗議する県民の道路交通法違反をいうのなら、保安基準に適合しない車両を運転することも道路交通法第62条違反であるが、警察官らは全て黙認してきた。

  天方委員の「警察官が違法行為を確認しながら放置することはできない」との陳述は、こうした実態を無視したものである。 

(4) 我々は措置請求書において、県知事、県議会が再三、ヘリパッド工事に抗議や意見を出しているにもかかわらず、政府・防衛局はそれを無視して工事を強行していること、そして警察は、そうした政府の工事強行を常に助けていることを指摘した。

  この点について、天方委員は次のように陳述した。

「警察法第2条では、警察の責務は『不偏不党且つ公平中正を旨とし』と定められている。したがって政府の一方的な政治的立場に汲みすることもできなければ、あるいは政府と意見を一つとしないたとえば選挙結果が政府と違う、あるいは知事方針が政府と違っても、それは一つの政治的立場だからそこに一方的に寄与することは当然できないし、やってはならない。

 警察は固人の生命、身体及び財産の保護、公共の安全と秩序の維持という警察法に定められた職責をたんたんと果たすということが求められている。だから、民意がここにあるから、それに反する警察活動は違法・不当だというのは、警察法のもとではそういうロジックは成り立たないと理解している」

 これは高江のヘリパッド工事における警察活動の実態を全く無視した詭弁である。高江において、警察は常に政府・防衛局の工事強行を助ける活動を続けている。「政府の一方的な政治的立場に汲みすることもできない」というのは、現実を無視した全くの虚偽説明である。 

(5) 私は当日の陳述で、「公安委員会が、派遣人数等を不開示とした理由を、『犯罪を敢行しようとする勢力』に利用される」としたことを批判した。それに対して天方委員は、「現場で反対している人たちを犯罪勢力と言ったのではない。たとえば、その県から機動隊が何人派遣されたかが分かると、警備に穴が開いているということが犯罪勢力に利用されるかもしれないという意味だ」と弁解した。

  仮に東京都から100名の機動隊が沖縄に派遣されているとすれば、その100名という数字を明らかにすることが、何故、犯罪勢力に利用されるというのか? あまりに見苦しい弁解で失笑する他ない。沖縄県公安委員会や県警が、現場で抗議する県民を「犯罪を敢行しようとする勢力」と見なしていることは明らかである。 

 

2.重久沖縄県警察本部警備部長の陳述に対する反論

   重久警備部長は、我々が職員措置請求書の(2)にあげた「警察法違反の活動」の例についてそれぞれ反論・弁明した。陳述書の提出期限が短く、全ての点について触れることはできないが、以下、いくつかの点について反論する。

*事実関係について

 重久警備部長は、「まず事実関係について説明する」として次のように陳述した。

「県外部隊の燃料費や修繕費を県が負担する根拠については、警察法第6条の援助要求により、県外からの部隊は県警の指揮監督下に入り職務に従事することから、国庫補助対象の県費として負担する。沖縄自動車道の通行料は、協定により負担はない。

 旅費(移動費、宿泊費)、派遣に伴う経費については、国が払う。警察職員の俸給については派遣元の各自治体が負担する。県が負担するのは燃料費、修繕費のみ。沖縄のために来てくれているのだから、県が負担するのは当然。サミットや東日本大災害の警備などでも同様だった。派遣する側が燃料費を負担した例はない。

 以下、請求人が述べている個別の論点について反論する」

 

1.「違法な車両検問」について

 この点について重久部長は、「一般車両の方々にも、反対派の皆さんが道路いっぱいに座り込んだり、車を止めたりしているので通れませんと説明し、任意に協力を求めている」と陳述した。

 しかし、陳述書(11月22日付)でも説明したように、7月22日など当初の一時期を除いては、警察は工事車両を通すために道路封鎖を行っているにもかかわらず、それを「反対派が座りこんでいるため通行できない」と虚偽の説明を続けている。また、通行止等の措置は、「任意に協力」を求めたものではない。何の説明もなく車の前に鉄製の柵を置いて、一方的な通行禁止にしているのである(事実証明書21-1、28頁、29頁、30頁、31頁32頁)。

 なお、ゲート前で抗議する市民らの座り込みは、当初の一時期を除いては、常に1車線を確保して行われており、一般車両の通行に支障はない。

2.「法的根拠なくN1ゲート前の車両を撤去し」について

「県道70号線のゲートに入るところに車両をバリケードとして放置している。沖縄県も車両放置は違法だと言っている。

 ナンバープレートのない車が1台。これは交通の妨害となるような方法でみだりに道路に置かれており、道路路交通法76条の3違反として、同法81条2項にもとづく措置を行った。

 また、ナンバープレートのある車が3台あった。これらについては道路交通法47条の違法駐車であり、同法51条にもとづきレッカー移動を行った。

 これらの措置はいきなり行ったのではなく、7月16にに警告を出している」

3.「N1ゲート前に設置されていたテント他の物品を法的根拠なく防衛局職員らが持ち去ることを助け」について 

 (略)

4.「道路管理者である沖縄県に事前に連絡もせずに県道を封鎖し」について

 (略) 

5.「抗議する県民に暴力をふるって傷害を負わせ」について

  重久警備部長はこの点について、「7月11日以降のケガ人は17人、そのうち救急車で搬送されたのは12名だ」としたが、「警察官がケガをさせたという報告は把握していない」と陳述した。警察が認めているだけでもこれだけの多数のケガ人が発生しているにもかかわらず、「警察官がケガをさせたという報告は把握していない」というのはどういうことか? 7月22日、車の上の多数の市民を、すさまじい機動隊の暴力で強制排除し、肋骨骨折等のケガ人が多数でた際の映像は、インターネットで広く拡散されている。

  また、重久警備部長は、この間、事後逮捕が相次いでいる8月25日の事例を次のように述べた。

 「当日、午前8時、反対派の中でも特に過激な人たちが、防衛局の職員を6人がかりで羽交い締めにし、書類を奪い取るということがあった。非常に痛ましいことだが、本人は全治2週間のケガを負った。そのため、公務執行妨害、傷害罪で山城博治被告他5名、合計6名を逮捕した。この6人の中で県民は1人のみ、残りの5人は県外から来られた方だ」、「7月以降の逮捕者は、公務執行妨害、往来妨害、傷害、器物損壊等で、合計7件、13名となっている」

 すでに起訴し、まもなく裁判が始まろうとしている事案、また逮捕拘留を続けて捜査中の事案について、「6人がかりで羽交い締め」にしたなど、警察の一方的な見解を述べたこと、また、「特に過激な人たち」や「非常に痛ましいことだが」などと、客観的な事実ではなく、警察の主観的な主張を公開の場で述べたことは許しがたい。

6.「排除した県民らを、機動隊バスや機動隊が包囲した『檻』のようなところに長時間拘束し」について

 この点について重久警備部長は、「抗議行動が適正・適法に行われている場合は警察は関与しない。---しかし、危険・違法な行為が行われていることから、警告を行い、必要最小限の範囲で安全なところに移動していただいている」と陳述した。

 しかし我々が問題としているのは、「座りこんでいる市民を無理矢理に道路脇の警察車両と機動隊員の列の間に閉じ込め、外に出ることを一切禁止する行為である。炎天下の下、飲み物もなくトイレにも行けない。また、警察車両からの排気ガスがたちこめ、体調不良を訴える市民らが相次いでいる(事実証明書21-1の15頁、16頁、17頁、18頁)」ということである(陳述書(11月22日付))。このような規制は、まさに「監禁」であり、医師も指摘するように熱中症の危険が高く、決して許されない(同)。

 重久警備部長は、この日の陳述で1名の機動隊員が熱中症となったことを認めた。若い屈強な機動隊員ですら熱中症を発祥しているにもかかわらず、高齢者が多い県民らをこのような炎天下の「檻」の中に拘束し続けたことは許されるものではない。このような「檻」を、「必要最小限の範囲で安全なところ」と述べた重久警備部長の陳述には怒りを禁じ得ない

7.「取材にあたっていた新聞記者まで拘束し」について

  重久警備部長はこの点について、 琉球新報の女性記者については、現場が入り乱れている中で、記者腕章もしておられず反対派と見分けがつかなかった。この記者は腕章を腕にではなくカメラにつけておられた。沖縄タイムスの記者も、腕章をされていなかった。また、現場にはプレスという腕章をつけた新聞記者やテレビの記者でもないフリーのジャーナリストの方もけっこうおられた。この新報の記者については、まわりの誰かが新報の記者だというので現場から離したが、また腕章をしないまま混乱した現場に戻ってきた。取材中の記者さんを狙い撃ちにして規制することはない」と陳述した。

 しかし、この警備部長の説明は事実に反している。当日の状況について、琉球新報、沖縄タイムスは次のように報道している。

 「排除される際、本紙記者は機動隊員に腕章を示した上で『琉球新報だ』と訴えたが、解放されず、その後、閉じ込められた」、「そのまま別の機動隊員2人に両腕をつかまれ、さらに背中を1人に押される形で排除され、約40m離れた場所で機動隊員の人垣の中に閉じ込められた」(事実証明書21-1、15頁、琉球新報 2016.8.21)、「沖縄タイムスの記者は県警の腕章をつけた隊員に社員証を提示し、取材中なので出してもらいたいと申し入れた。いったん拘束を解かれたものの、しばらくして別の機動隊員が近寄ってきて別の場所に押し込められたという」(沖縄タイムス 2016.8.22)

 こうした記者の規制は、「主権者が知るべきことを報道する権利を侵害する行為で許されない」ものである(小口弁護士、事実証明書21-1、16頁)。

8.「工事作業員を警察車両で運搬するなどの行為」について

 この点についても、重久警備部長は「混乱を避けるためにやむを得なかった」などと弁明したが、その後、米軍提供施設内で工事業者のダンプトラックに多数の機動隊員が乗っていることも確認されている(事実証明書 21-1、25頁)。県警は、「ダンプ3台で機動隊員約50人を運んだ」と認めているが、このような実態は、警察が、工事業者・防衛局と一体の関係にあることを示している。 

 

 以上、11月22日の天方公安委員、重久県警警備部長の陳述内容への疑問・批判点をまとめた。

 

                              (以上)

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