防衛局は、辺野古の埋立のために、本部港(塩川地区)と琉球セメント安和桟橋からの土砂海上搬送を続けている。しかし、この両港からの土砂海上搬送には、現行法令上も多くの問題があるが、沖縄県、本部町はそれを黙認したままの状態が続いている。
今日は、まず、本部港(塩川地区)の岸壁使用許可の問題点を指摘する。
県管理の港湾の岸壁を使用するには、事前に県に岸壁使用許可を得なければならない(本部港の場合は、条例で本部町にその権限が委譲されている)。
沖縄県港湾管理条例施行規則が定める岸壁使用許可申請書の「3号様式」は、「着岸日時」「離岸日時」を記載するようになっている。これは、毎回の着岸、離岸のたびに許可申請の必要があることを意味している。ところが本部町は現在、10月1日~30日というように、1ケ月単位で許可を出してしまっている(業者の申請は3ケ月間だが、さすがに許可は1ケ月としている)。これは明らかに条例・施行規則の趣旨に反する。
こうしたやり方は、本部町だけではなく、沖縄県の方針でもある。県は、以前、辺野古への石材搬送のために、奥港の岸壁使用許可を1年もの長期間、出していた(地元や県民の抗議で、わずか1回の使用に終わったが)。
本年8月31日、オール沖縄会議現場部会が副知事との意見交換の場を持ったが、そこで私たちはこの問題を指摘した。これに対して、上原土建部長は、「一般に船舶の施設使用に関しては天候や波浪、海砂利の採取地の状況等により、利用時間は変更を生じる場合があります。使用の予定日時を書いてもらうのですが、細かな日時までそのたびに提出させるのは難しいです。」と答えた。しかし、条例・施行規則の定めがある以上、こんな解釈が許されるはずはない。
現に、施行規則の「3号様式」には、「申請書は、入港の前日の正午又は24時間前のいずれか早い時刻までに必ず提出すること」と注意書きされている。前日までに申請することになっているのだから、土建部長の弁明は通用しない(この注意書も明らかに毎回の入港前に申請の必要があることを意味している)。
また、本部町が出している岸壁使用許可の3号様式には、上記の「前日までに提出すること」という部分は抹消されているが、これも問題であろう。
条例、施行規則を遵守させることは当然である。県、そして本部町は、毎回の着岸・離岸のたびに岸壁使用許可申請書を提出させなければならない。条例をきちんと適用させるだけで、辺野古への土砂海上搬送は大幅にペースダウンする。