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チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

県当局、埋立承認の取消しに向けて積極的な姿勢を示すが、いくつかの問題点も---8.21県民会議の県交渉

2015年08月22日 | 沖縄日記・辺野古

 辺野古新基地建設事業について、政府と県は8月4日から「1ケ月の作業停止・集中協議」期間に入った。この問題について、「基地の県内移設に反対する県民会議」(以下、「県民会議」)が8月21日(金)、県へ申入れを行った。そこでは埋立承認取消しに向けた県の積極的な姿勢が明らかとなったが、ただ、いくつかの問題点もあった。

・「承認取消しを市民団体が要請」(NHKニュース 2015.8.21) 

 以下、県民会議の申入れに対する県の回答について説明する。

    (県民会議の県への申入れ(8月21日))

 

●印:県当局(池田基地防災統括監、伊禮土木整備統括監、赤崎海岸防災課長、新里水産課長)

〇印:県民会議交渉団 

 

1.政府との協議にあたって、絶対に辺野古新基地建設は許さないという県の基本的姿勢を再度確認すること。

 

<県の回答>「県の新基地は造らせないという県の方針は変わらない 」

●「辺野古に新基地は造らせないという県の方針は変わりございません。今後とも皆様とも連携して、辺野古新基地建設阻止に向けて取り組んでいきたいと考えております。」

 

 

2.政府との協議は密室で行うのではなく、県民に公開した形で進めること。

 

<県の回答>「公開はできない 」

●「集中協議は冒頭部分のみ公開して行うことで政府と合意しており、議事録も作成していないため公開はできません。知事による記者会見等を通して県民に説明するようつとめます。」

 

 

3.集中協議終了後、知事はすみやかに埋立承認の取消しに踏み切ること

 

<県の回答>「第3者委員会の報告書を最大限尊重するという知事の方針に基づき適切に対応する 」

●「7月16日に第3者委員会の報告書が提出されました。その報告を受けて判断される知事の方針に基づき、適切に対応していく考えです。知事は、政府との協議前に第3者委員会からの報告書を最大限尊重し判断を下したいと述べております。」 

 

 

4.埋立承認の取消しと同時に、昨年12月5日の仲井真前知事による設計概要変更申請(工事 用仮設道路の追加、中仕切護岸工の追加)の承認を取消すこと。さらに。昨年8月28日の埋立本体部分の岩礁破砕許可を取消すこと。

 

<県の回答>「埋立承認を取消す場合は、同時に設計概要変更の承認、岩礁破砕許可についても取消すこととなる」 

●「(知事が判断を下す際には)設計概要変更の承認についてもあわせて対応することとしております。また、岩礁破砕の許可は県漁業調整規則に基づくものであり、埋立承認とは根拠法令が異なります。そのため、当該規則に基づき、適切な時期に適切な対応ができるようつとめてまいりたいと考えております。」

●「埋立承認を取消す場合は、同時に設計概要変更承認の取消しを行うことになる。」

●「岩礁破砕許可については、根拠法令が異なることと、また、現地立入調査の結果を踏まえて適切な時期に適切な判断をしたい。」

●「現地立入調査については、8月31日からを予定している。10日間ほどかかるので9月9日の集中協議期間を過ぎると想定している。それについては、8月10日の日米合同委員会の合意事項の但し書きに、台風等によって延びる場合は配慮するとされているので、9月9日を過ぎた場合でも調査は出来ると確認しています。」

 

 

5.また、埋立承認の取消しと同時に、海上ボーリング調査の中止、さらに、フロート、コンクリートブロック等の撤去を指示すること。

 

<県の回答>「埋立承認を取消した場合は、海上ボーリング調査の中止、フロート、コンクリートブロックの撤去を指示する 」

●「海上ボーリング調査は、代替施設本体の設計に必要な地質データーを取得するためのもので、埋立にともなう一連の行為として埋立承認の内容に含まれているものと認識しております。そのため埋立承認を取消した場合は、当然に海上ボーリング調査も中止されるものと考えております。また、現在、防衛局が設置しているフロート等は海上ボーリング作業の実施に伴い、作業の安全を確保するため、設置していると聞いております。

(埋立承認の取消し後)事業者が海上ボーリング調査を継続し、フロート等を撤去しない場合は、ボーリング調査の中止及びフロート等の撤去について指示します。」

●「コンクリートブロックについてもフロートと一対のものですので、撤去を指示します。」

●「フロートやコンクリートブロックを改めて設置しようとする場合は、公共用財産使用許可の手続が必要です。」

 

 

6.防衛局が7月24日に提出した事前協議書への対応について

 

<県の回答>「事前協議書を拒否することはせず、集中協議終了後は質疑応答に入る。ただ、工事はさせないということを前提に、皆さんのご意見についても検討したい」 

*集中協議終了後、事前協議について質疑を始めることの問題点

●「事前協議は県が承認の際の留意事項で求めたものなので、事前協議書を収受しないと事業者が県が拒否したと解釈して本体工事に着手する口実を与える恐れがあります。そのため、今回の事前協議書を拒否することはせず、協議書を収受して対応することとしました。県と政府の集中協議期間中は事前協議も停止している状態です。

 事前協議については、今後、質疑応答していくものと考えていますが、集中協議の結果を踏まえて対応することになると思います。」

〇「協議期間終了後、事前協議書について質疑応答していけば、埋立承認取消しと矛盾することとなる。県としては埋立承認に向かって作業を進めるのだから、事前協議書への質問等については保留するという態度が必要ではないか。事前協議書に質問を出すこと自体が、埋立承認の延長上で作業をすることになってしまうのだから、県民にまちがったメッセージを与える。その辺は慎重にやってもらわないと。」

●「ここで県の手の内をみせるわけにはいかないが、基本的にはそういう対応ももちろん検討しています。事前協議の質疑応答をするという捉え方はまちがった発信になるのでその点は検討していきたい。」

〇「事前協議書は22種類の護岸工のうち12種類の護岸工の標準断面図が添付されているだけだ。実施設計の事前協議はこの程度の内容でいいのか。埋立本体工事の設計書を防衛局から公文書公開請求で入手したが膨大な図面がついている。事前協議書には標準断面図だけしかないが、何故、それ以上の詳しい資料の請求をしないのか。」

●「まさしくおっしゃるとおりです。その点は我々も感じており、いろんなものを国に求めていきたいと考えています。ただ、詳細については今、お話することはできません。」

 

*防衛局が提出した事前協議書の浅瀬部分の護岸工から着手するには設計概要変更申請が必要

〇「防衛局は事前協議書を出した際、協議が不調に終われば今回事前協議書を出した浅瀬部分の護岸工から工事に着手すると言っている。部分的に出していることについても、現場の工事は順次するのだからそれにもとづいて事前協議をすればいいと言っている。

 今回提出された実施設計の事前協議書は、12種類のうち10種類が辺野古沖の浅瀬部分のものだ。しかし、埋立承認願書の設計概要の工事施工順序は、大浦湾の深いところの護岸工から始めることとなっている。浅瀬部分の護岸工から始めるのなら施工順序の変更となる。その場合は設計概要変更申請を提出させ、知事の承認が必要ではないのか。 事前協議が不調に終わったとしても、知事の承認がない限り、防衛局は浅瀬部分の護岸工から工事に着手することはできないと、県としてはっきり示してほしい。」

●(海岸防災課長)「埋立承認願書の設計概要の中にそれが書かれておれば設計概要の変更になる。しかし、設計概要の説明書に書かれているだけでは、設計概要の変更の対象ではない。」

〇「それはおかしい。承認願書の設計概要そのものはほんの数頁のものだ。ほとんどは添付図書の設計概要説明書に書かれている。今の県の説明は、最近の防衛局の主張と同じものになってしまっている。県の課長がそんなことを言ってもらっては困る。」(末尾の(注)参照)

●「分かりました。いずれにしても、我々は知事のもとで工事をさせないという姿勢ですので、いろんな策をもって、今言われたことも含めて対応していきます。」

〇「埋立承認願書の設計概要の変更だけではなく、添付図書の設計概要の変更についても設計概要変更の手続が必要だということを確認してくれ。」

●(土木整備統括監)「認めているわけではなく、一般論として言ったものです。工事の施行方法が変われば全然埋立の内容というのは変わってしまう。おっしゃったことを含めて今、内容をチェックしているところです。」

 その後、最後に、「少なくとも国連で演説する前に、埋立承認の取消しを明言してほしい」と強く訴えてこの日の申入れを終えた。

 

********

(注)この、海岸防災課長の見解(「埋立承認願書の設計概要に記載された内容の変更の場合は、県に設計概要変更申請の手続が必要だが、埋立承認願書に添付された設計概要説明書の変更であれば、設計概要変更申請の手続は必要ない」)は明らかに誤っている。

 そもそも埋立承認願書の「本文」は全27頁しかなく、しかもそのうち19頁は埋立区域、施工区域の座標値を連ねたものだ。「本文」の中の「4 設計の概要」はわずか4頁でしかない。「埋立必要理由書」、「設計概要説明書」(全100頁にもなる)、「資金計画書」、「環境保全に関し講じる措置を記載した文書」、「埋立に用いる土砂等の採取場所及び採取量を記載した文書」等の重要な書類は、全て埋立承認願書の「本文」ではなく、「添付図書」としてつけられている。

 また、昨年9月、防衛局が提出した設計概要変更申請の一つは、「美謝川の切替」だった。しかしこれは埋立承認願書の「本文」には記載されておらず、添付の「設計概要説明書」に記載されているものである。防衛局も県も、添付の「設計概要説明書」の変更の場合も、設計概要変更申請を提出することが必要とみなしてきた。

 昨日の申入れでも、海岸防災課長のこの発言に対して伊禮統括監が慌てて「一般論」と言葉を濁したが、設計概要変更の問題は今後の埋立工事を阻止するために極めて重要なポイントであり、県の早急な見解整理を求めたい。 

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