西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

猫の妻

2010-02-26 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
3ー「猫の妻」


市川団十郎(4代目)付きの立作者、金井三笑は
団十郎と大げんかをして、中村座を出て市村座に移った(1763・宝暦13年)。

市村座のタテ三味線、杵屋作十郎はそれをちょっと揶揄して、
めりやす「猫の妻」(1764・明和元年)を作ったのかもしれない。

『三年馴染みし猫の妻
 若し恋い死なば 三味線の 可愛いのものよ』

●三年馴染んだ猫の妻、もし恋い死んだら三味線の皮になるよ。

『色に弾かるる中継ぎの 棹は契りの鉄刀木(たがやさん)』

●色情に魅かれ合う二人の仲は、堅い契りで結ばれている。
○いい音色を出す三味線の棹は堅質の鉄刀木。

『逢わぬ辛さは どの上駒(かみごま)の撥当たり』

●逢えなくて辛いのは、どこの神さんの罰あたりかい。
○上駒は三味線の部品名。

『三は切れても二世の縁 思い切られぬ糸巻きの 
 絶えて根締めは一期忘れん』

●三世はともかく、二世(夫婦)の契り、諦め切れない縁の糸。
もし、振られてもこの恋心、一生忘れてなるものか。
○三の糸が切れても二の糸があるさ。糸巻きの加減で、三味線の音色は変わるのさ。


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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
コメント
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