西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

繭の会

2010-02-02 | よもやま話 (c)yuri saionji
その8

ひとたび衰退期に入ると、あとは、ああ無情です。
せっかく「繭の会」が精魂込めて開拓してくれた道なのに、あとに続けないという、現実。

こわごわ歩んでいたところへ、
100年に一度という経済ショックが、がつんと追い打ちをかけ、
ものすごい衝撃を、くらってしまった。

「繭の会」のお姉様方も、気がつけば70才前後、
「にゃろめ!」と腕まくりする気力は十分ですが、体力が少々…

「繭の会」のあと、女流の勉強会は一つとして立ち上がっていませんし、
この先に期待を持てそうもありません。

今年の長唄協会の新年会で、名誉会長の杵屋喜三郎師がこんなご挨拶をなさいました。

「世の中不景気で、長唄界は大変な時代を迎えていますが、
我々の先達の中には、戦争をくぐりぬけて大変な名人、達人となった方が
たくさんいらっしゃいます。
皆さんもどうか頑張って、不景気を吹き飛ばし、
長唄の発展に尽くしていただきたいと思います」

たいへんに力強いお言葉で、勇気づけられたのですが、
明るい未来は見えそうにもありません。

私は、「繭の会」の全盛期が、
平成長唄界の全盛期でもあったのではなかろうかと、思っているのです。
その意味で「繭の会」の存在は、実に意義がある。
もちろん、現在もなおその活動は進行中ですし、この先も続きます。

はからずも、「繭の会」が発足したのが、私のド素人時代。
駆け出しの頃、「繭の会」に呼んでいただき、その後のお姉様方のお引き立てが、
今日の私を築いてくれたのです。

私は本当にいいタイミングで「繭の会」の発足に巡り会いました。
私を育ててくれた「繭の会」にひたすら感謝です。

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tea breaku・海中百景
photo by 和尚