西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

152-田舎神子

2010-02-04 | 時系列的長唄の見方(c)y.saionji
杵屋六左衛門(9代目)―2「田舎神子」

六左衛門作曲の曲で伝存する最初の曲は「田舎神子」(1806年・中村座)だ。
5代目岩井半四郎による、七変化舞踊の一つ。

神子とはもちろん巫女のことで、本来は呪術などを行い、神に仕える者をさした。
巫女は女に限られていたのだが、大宝律令が発布され(702年)、
陰陽寮が制定されると、巫覡(ふげき)は男社会となり、
巫女は神座(かみくら)から放り出されてしまった。

巷に下りた巫女たちは、形骸化された、卜占や神降ろし、
俗なる性を売り歩き、糊口をしのぐようになった。
これが”歩き巫女”といわれるもので、
次第に土着して巫女村や巫女町を形成し、集団生活をすようになる。
また、200年も経つと、歩き巫女の進化した形、
遊女(あそびめ・平安初期に江口、神崎などの船泊りに発生)
なる職業が出現することになる。

この曲は歩き巫女の風俗を切り取ったもの。

 〓 〓 〓

tea breaku・海中百景 
photo by 和尚
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする