なぜ、こんなことを思い出したのだろう。
もう何十年も昔の浅丘ルリ子さんへのインタビューである。
それも、その部分だけ。
インタビュアーが、ルリ子さんに、「家にいる時は何をしていますか」と尋ねていた。
ルリ子さんは、「家を片づけている。私は片づけ魔なの。いつも片づけている」と答えていた、
ことばづかいの細かいところは、少し違うかもしれない。
けれども、私はとても印象に残ったのに違いない。
あでやかで、上品な「はっすぱさ」が魅力の女優さんだった。
当時の日活の女優さんの、だれよりも華やかだった。
片づけなんかと縁がない「妖精」に見えた。
それで、印象に残ったんだね。
★ ♔
先日、石坂浩二さんのインタビューをテレビで見ていた。
インタビュアーが、彼の過去にかかわりのあった女性について尋ねていた。
それは、はっきりと、浅丘ルリ子さんのことを指しているのではなかった。
しかし、女優とのプライベートの時間を聞かれて、石坂さんが言った言葉で、
一つだけ、印象に残った、
「落差ですね」
これも、私の中で意訳しているかもしれないので、ひょっとして違うかもしれない。
女優さんでなくても、個人的な時間を共にするとき、当然、
社会的な顔との間に落差があるのだけれど、
私は、この言葉を聞いたときに、数十年前のルリ子さんの「片づけ魔」を思い出した、
「家にいる時は、いつも片づけている」なんて、
ある意味、素敵な女性だけれど、
その落差が、彼女のイメージこわしたのでしょうか。
「家のこと、なんにもしないんだよ。やはり、野に置け、レンゲソウだったよ」
そんな風に言われる、美しい人がいたけれど、
どちらがいいのでしょうか。
とくに、男性にとっては。