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ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

沈黙

2014年06月12日 | 歌う



       髪一本 また一本と抜いていく 沈黙の世界を生きる手 なまめく


            ずいぶん前にワードに書きつけたまま、時おり読み返す歌です。
            重度の自閉症の女の子のお世話をしていたときの光景です。

            色白で目鼻立ちの美しい6年生の女の子でした。
            一言も言葉がなく、外の世界の何物にも興味をひかれないかのように見えました。

            毎日、部屋の隅の同じ場所ににうずくまっていました。
            ある梅雨空の日、黒いたっぷりとした髪の毛を、一本一本、抜き始めました。

            止めても、また、始めます。足元には、黒い毛がまるで床屋の床のように散らばっていきます。

            指に手袋をはめさせたり、花を手折ってきて持たせたりしましたが、効果はありません。

      
            夏が終わるころ、髪の毛を抜くのは止まりました。

            身長も、私を追い越しました。