猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アンダーグラウンド

2016-05-05 06:37:04 | 日記
1995年のフランス・ドイツ・ハンガリー・ユーゴスラビア・ブルガリア合作
映画「アンダーグラウンド」を観にいった。
1941年、ナチス進攻下のベオグラードでは、パルチザンの義賊・詩人にして
共産党員のマルコ(ミキ・マノイロヴィッチ)が電気工のクロ(ラザル・リスト
フスキー)を党に入党させ、めきめきと闇社会で頭角を表していく。4月6日、
ベオグラードはナチスの本格的な爆撃を受け、都市は焼け野原となり、マルコ
の弟・イヴァン(スラヴコ・スティマツ)が飼育係を勤める動物園も爆撃により
多くの動物が死傷した。ナチスによる共産党員・パルチザン狩りが進む中、
マルコはクロを含む一族郎党を丸め込み、地下室に退避させ、武器の密造を
行わせる。

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した、エミール・クストリッツァの作
品。ブラック・コメディになるのだろうか?変な人たちがたくさん登場する、悲
惨だけど笑える、笑えるけど悲しい、そんな映画だった。やっぱりこういう雰
囲気ってエミール・クストリッツァの作風なんだろうな。まだ2作しか観ていな
いけれど。
最初の方の爆撃のシーンはやはり悲惨で、死んだ動物たちを見ると「戦争
ってイヤだなあ」と痛感させられるし、ドイツ将校たちもリアルな怖さがある。
ずる賢いマルコは親類や近所の人たちを地下室へ避難させるが、戦争が
終わってもそのことを教えないまま、武器の密造を続けさせる。地下室にい
る人々はマルコに騙されていることを知らずに、それなりに平穏で楽しい生
活を送っている。マルコはクロの愛人だった女優のナタリア(ミリャナ・ヤコ
ヴィッチ)も自分のものにしてしまう。この物語で1番まともなのって、障害が
あるマルコの弟・イヴァンじゃないだろうか。そのイヴァンもチンパンジーの
ソニを親友としているのだけど(ソニ、賢くてパンくんみたい)。いやイヴァン
も自殺癖があるからやはりまともとは言えないのかもしれない。でもイヴァンの
存在感は私にはとても大きく感じられた。
マルコもクロもナタリアも気違いじみた人たちだ。というか登場人物は大体
変。音楽がやたら音が大きくてうるさく、全体的に騒々しい感じの映画だ。
けれども目まぐるしく変わるシーンに惹きつけられ、見入ってしまう。170分
の長尺だが、退屈することなく観られた。ラストシーンも良かった。私は歴史
が好きだが、ユーゴスラビアの歴史はよく知らない。理解した上で観たらも
っとおもしろいだろう。「リリー・マルレーン」の歌が印象に残った。


良かったらこちらもどうぞ。エミール・クストリッツァの映画です。
アリゾナ・ドリーム




全般ランキング
人気ブログランキング


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベルリン・天使の詩

2016-05-01 20:18:35 | 日記
1987年のフランス・西ドイツ合作映画「ベルリン・天使の詩」。
守護天使ダミエル(ブルーノ・ガンツ)は、長い歴史を天使として見届け、人間の
あらゆるドラマに寄り添うように見守ってきた。だが親友カシエル(オットー・ザン
ダー)に永遠の命を放棄し、人間になりたい、と打ち明ける。やがてサーカスで
空中ブランコをする美女マリオンに一目惚れするダミエル。ベルリンに撮影に来
ていた、「刑事コロンボ」で親しまれている俳優ピーター・フォーク(本人)はダミ
エルに人間になることを勧める。ダミエルはカシエルにマリオンへの愛を告白す
る。人間に恋すると天使は死ぬ。ダミエルはカシエルの腕の中で死んだ。ベル
リンの壁の側で目を覚ましたダミエルの目の前は、モノクロから色彩の世界に
変わっていた。

昔からタイトルだけは知っていた有名な映画だが、私は言われている程いいと
は思わなかった。絶賛されているが、そんなに感動的かなあ。
ダミエルとカシエル、2人の天使の目には世界がモノクロに映る。だからダミエル
が死んで、人間として復活するまでの間はずっと映画はモノクロである。そして
人間になると映画もカラーになる。この演出はいいと思う。元々私はモノクロ映
画は嫌いではない。天使たちには人間の心の声が聞こえる。絶望している人の
肩にそっと手を置くと、その人の考え方がポジティブになる。そうやって人間たち
を見守り、救い、彼らは長い長い時を生きてきた。天使が子供や少年ではなく、
おじさんというのもいい。そう言えば香港映画「ラベンダー」でも金城武が天使
の役をやっていて、チャーミングだった。
恐らく退屈な物語なのだと思う。でも私はそんなに退屈はしなかった。とにかく
ドイツ語の詩やセリフの響きがいい。ドイツ語というだけで(フランス・西ドイツ
合作なのでもちろんフランス語でもいいのだが)こうも魅力的な映画になるとは。
そしてピーター・フォーク目当てで観た私にとっては、彼は映画の中でもピータ
ー・フォーク役だが、意外で素敵な役どころだったのが嬉しかった。
なんだかいいところばかりを書いてしまったが、全体的にそんなにおもしろい
映画とは思わなかった。マリオンもそんなに美人だと思わなかったし。変な感
想だなー。とりあえずドイツ語とピーター・フォークが私のツボだった。



人気ブログランキングへ
映画(全般) ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする