猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

カティンの森

2014-01-14 03:58:03 | 日記
2007年のポーランド映画「カティンの森」。
1939年、ドイツがポーランドに侵攻し、第2次世界大戦が勃発した。その後ソ連は
ポーランド東部に侵攻し、秘密裏に独ソ不可侵条約が結ばれ、ポーランドはドイツ
とソ連に分割占領される。クラクフから夫のアンジェイ大尉(アルトゥル・ジェミ
イェフスキ)を捜しにきたアンナ(マヤ・オスタシェフスカ)とその娘ヴェロニカ(ヴィ
クトリア・ゴンシェフスカ)は、駅でソ連に連行される直前のアンジェイと、友人の
イェジ(アンジェイ・ヒラ)らポーランド軍将校たちに出会うことができた。アンナ
はアンジェイに逃亡することを勧めるが、彼は軍への忠誠心のためにそれを受け入
れず、家族と別れた。そして捕虜として教会に収容されたアンジェイは、これから
起きることを日記に記そうと心に決める。1943年4月、不可侵条約を破ってソ連領
に侵攻したドイツ軍が、カティンの森の近くで1万数千人のポーランド将校らの死
体を発見する。ドイツはこれを1940年のソ連軍の犯行であると大々的に報じた。

第二次世界大戦中に実際に起きた「カティンの森事件」を基に作られた映画である。
監督のアンジェイ・ワイダは、父親をこの事件で亡くしたそうである。昔NHKのド
キュメンタリー番組でこの「カティンの森事件」について見たことがあり、興味を
持っていた。こんなひどい事件が起きていたのか、と驚いた。映画はひたすら暗く、
救いがない。当時の実際の映像も流れ、そのむごたらしさに胸が痛む。
アンナの夫アンジェイは、ソ連軍に連行された後、手帳に日記をつけ始める。自分
が死んだ後、何があったかを克明に残すためである。そしてこの日記は、物語の最
後の方で重要な役割を果たすのである。
ポーランドはソ連とドイツに侵攻された気の毒な国だ。戦争が終わっても、自由は
なかった。GHQに占領された日本の方がまだましだったのかもしれない。当時のこ
とを私は知らないので、そういうことは簡単に言えないのかもしれないが。
この映画はR15指定である。ラストの10数分は目を覆いたくなるような残酷なシー
ンが続く。人間とはここまで残酷になれるものなのか。犠牲者たちが口にする神へ
の祈りの言葉が胸に突き刺さる。そして無音のエンドロール。これがこの映画の悲
惨さを一層際立たせている。忘れてはならない歴史のひとつだと思う。戦争とは不
条理で恐ろしいもので、こんな過ちを2度と繰り返してはいけないのだと痛感した。
忘れられない映画の1つである。




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