「捜査官X」おもしろかったなあ。もう1度観たい![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_pink.gif)
1981年の日本映画「泥の河」。世界的に高い評価を受けた作品ということで、
前から観たかったのだ。
昭和31年の大阪を舞台にした、モノクロの映画だった。主演は田村高広さん。
私は田村高広さんが昔から好きである。
田村さん演じる主人公はうどん屋を経営しており、妻と9歳の息子がいる。
経済状態はまあまあといったところ。
ある日息子の信雄が、喜一(きっちゃん)という同い年の少年と知り合う。
きっちゃんは、母と姉と舟に住んでいるという。
信雄が遊びにいくと、姉の銀子ちゃん(11歳)はとても優しくしてくれたが、母親は
姿を現さなかった。
信雄の両親は、その舟が廓舟だということを知る。が、子供たちにはそんなことは
関係のないことだった。両親は信雄がきっちゃんと銀子を連れてくると、優しく
もてなした。姉弟はよく信雄の家に遊びに来るようになる。
ある日信雄が、姉弟がいない時に舟を訪ね、初めて母親に会う。きれいな人だった。
母親は、「お父ちゃんが死んでから、何度も岸に上がろうと思ったけど、なかなか
上がれんのよ…」と話した。
そして信雄ときっちゃんがお祭りに行った夜、帰りに舟に寄って、信雄は母親の
仕事を知ってしまう。
短い間の、子供たちの触れ合い。それがとても悲しかった。
親子の住む舟は河を移動し始めた。信雄の「きっちゃーん、きっちゃーん」と呼ぶ声は、
去っていくきっちゃんに届いたのだろうか。
印象に残るシーンがいくつかあった。主人公の友人が冒頭で登場するのだが、荷車を
ひいていて、馬が暴れて、荷車の下敷きになって死んでしまう。
あまりにあっけない友人の死に、主人公は「戦争で死んだ方がマシだったかもなあ」と言う。
それと、きっちゃんが軍歌を主人公に歌って聞かせるところ。軍歌を全部覚えている
きっちゃん。その父親も、戦争の生き残りだったのだと知る。自分と同じように。
あと、映画の中で出てきた新聞に、「経済、もう戦後ではない」と書いてあったのだが、
登場人物たちの暮らしを見ているととてもそうは思えなかった。
そして、きっちゃんが信雄に「ぼく、普通の家に住みたいなあ」とつぶやいた場面。
あの親子はいつまであの生活を続けるのだろう、と思った。
静かで重たい映画だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hikari_pink.gif)
1981年の日本映画「泥の河」。世界的に高い評価を受けた作品ということで、
前から観たかったのだ。
昭和31年の大阪を舞台にした、モノクロの映画だった。主演は田村高広さん。
私は田村高広さんが昔から好きである。
田村さん演じる主人公はうどん屋を経営しており、妻と9歳の息子がいる。
経済状態はまあまあといったところ。
ある日息子の信雄が、喜一(きっちゃん)という同い年の少年と知り合う。
きっちゃんは、母と姉と舟に住んでいるという。
信雄が遊びにいくと、姉の銀子ちゃん(11歳)はとても優しくしてくれたが、母親は
姿を現さなかった。
信雄の両親は、その舟が廓舟だということを知る。が、子供たちにはそんなことは
関係のないことだった。両親は信雄がきっちゃんと銀子を連れてくると、優しく
もてなした。姉弟はよく信雄の家に遊びに来るようになる。
ある日信雄が、姉弟がいない時に舟を訪ね、初めて母親に会う。きれいな人だった。
母親は、「お父ちゃんが死んでから、何度も岸に上がろうと思ったけど、なかなか
上がれんのよ…」と話した。
そして信雄ときっちゃんがお祭りに行った夜、帰りに舟に寄って、信雄は母親の
仕事を知ってしまう。
短い間の、子供たちの触れ合い。それがとても悲しかった。
親子の住む舟は河を移動し始めた。信雄の「きっちゃーん、きっちゃーん」と呼ぶ声は、
去っていくきっちゃんに届いたのだろうか。
印象に残るシーンがいくつかあった。主人公の友人が冒頭で登場するのだが、荷車を
ひいていて、馬が暴れて、荷車の下敷きになって死んでしまう。
あまりにあっけない友人の死に、主人公は「戦争で死んだ方がマシだったかもなあ」と言う。
それと、きっちゃんが軍歌を主人公に歌って聞かせるところ。軍歌を全部覚えている
きっちゃん。その父親も、戦争の生き残りだったのだと知る。自分と同じように。
あと、映画の中で出てきた新聞に、「経済、もう戦後ではない」と書いてあったのだが、
登場人物たちの暮らしを見ているととてもそうは思えなかった。
そして、きっちゃんが信雄に「ぼく、普通の家に住みたいなあ」とつぶやいた場面。
あの親子はいつまであの生活を続けるのだろう、と思った。
静かで重たい映画だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます