猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

蟻が空を飛ぶ日

2015-11-03 03:18:04 | 日記
2010年の日本映画「蟻が空を飛ぶ日」。
東大生の健二(黒田耕平)は勉強に励み、普通に暮らしていたが、その裏で暗殺者
として殺しの仕事をこなしていた。それは誰にも知られてはいけないし、知られなけ
れば普通の人間のように幸福に生きていくことができる。彼は自分にそう言い聞か
せながら、偽りの日々を過ごすのだった。そんなある日、いつものように大道寺を
リーダーとする4人のチームで仕事を開始、健二はターゲットの男を1人追跡してい
た。だがその男は真紀(折原怜)という女に殺されてしまい、彼女は更に健二をも
殺そうと襲いかかってくる。

とてもおもしろかった。が、この映画のジャンルは何だろう。サスペンスでもないし、
人間ドラマとも違う、恋愛映画といえばそうなのかもしれないが。こういう変わった
映画、私は大好きである。
主人公が東大生でありながら殺し屋、というのがシュールだ。彼が属する殺し屋の
組織は、ある事情のある者たちで成り立っている。健二は冷酷で冷静だが、繊細な
面もある。その健二の前に現れたのは、愛人の男を殺した女・真紀。健二たちが
狙っていた男を真紀が先に殺しており、その現場で2人は出会う。孤独な心を持つ
者同士、惹かれ合っていく。そして真紀も組織の一員になるのだった。
真紀が愛人の男を殺した理由は悲しい。だがその後彼女の犯す殺人は、同情さえ
吹き飛ぶ程残酷だ。折原怜の迫真の演技。黒田耕平は割と無表情なのだが、冷酷
だけど繊細で孤独、というキャラクターをよく表現していたと思う。ラストは意外な
(私にとっては)方向へ向かうが、ラストシーンまで凄くいい。
この映画の監督の野火明は、作品が極端に少ない。しかもDVD化されているのは
この映画だけである。更に言うとこの映画は2010年の作品だが、DVDが出たのは
今年の9月である。更に更に言うと、前作の「シークレット・ワルツ」から15年ぶり位
の長編映画なのだそうだ。15年も映画作らないで、何してるのかなあ~( ̄▽ ̄)
「シークレット・ワルツ」も是非DVDを出して欲しい。テレビ放送で1度観たが、とても
おもしろかった。強く望む。

コメント
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