(日刊ゲンダイ)より
猛烈なインフレを招いた江戸時代の金融政策として知られるのが、小判の改悪である。
中でも有名なのが、元禄と享保の悪鋳だ。
通貨の供給量を増やすため、金の含有量を減らした。
その結果、とてつもないインフレが発生。
庶民生活は悲惨なことになった。
需要と供給を無視して強引に通貨の価値を下げると、暮らしはズタズタになる。
われわれ日本人が武士の時代に経験している大失策。
時の権力者が政治的な意図を持って通貨に手を加えるのは、
金融政策における最大の禁じ手なのだ。
ところが、選挙が終われば首相と目される自民党の安倍総裁は
タブーを犯そうとしている。
「日銀法改正」「無制限の金融緩和」「インフレターゲット政策の導入」
「建設国債の日銀引き受け」と、やりたい放題やる構えだ。
政府の思い通りに日銀を動かすようになれば、
通貨はとめどなく発行される恐れが強い。
本来、モノの値段が上がれば通貨の価値は下がる。
これが市場原理だ。ところが、安倍氏が目指すのは、
通貨を大量に発行して価値を下げ、物価を上げること。
無理やり主客を転倒させるわけだ。
そんな政策が国民を幸せにした歴史はない。
プラザ合意によって宮沢政権が金利を引き下げた結果、
日本は泥沼から抜け出せなくなっている。
バブル経済の突入で、一時はだれもが「景気が良くなった」とはしゃいだが、
張りぼての好況は長く続かなかった。
「失われた10年」は20年となり、今や30年目に入ろうかという段階。
いつの世も、禁じ手のツケは庶民に回される。
さすがに安倍氏のデタラメな主張は風当たりが強い。
本人も、建設国債の引き受けは「直接ではなく市場からだ」と軌道修正しているが、
すでに市場経由は必要に応じてやっている。
言葉を弄び、ケムに巻こうとしているのかもしれないが、
国債頼みの発想は第2次大戦中の戦時国債で懲りたはずだ。
戦後のインフレで紙クズ同然となり、国民に迷惑を掛けた“悪玉国債”。
その教訓がまったく生かされていない。
そもそも金融政策でインフレを起こせるという考えからして時代遅れだ。
グローバル化が進んでいるのである。
日銀が市場をジャブジャブにしようとしても、
カネは国内で使われず、海外でファンドマネーに化ける公算が大だ。
ーーーーーーーーーーーーー
コメント
アメリカは、すでに破綻国家です。
ドル札の増刷を24時間フル印刷して金融市場に流用していますが、
債務の超過は天文学的に増え続けドルの価値は、紙クズ同然です。
米国内には流用されていません。・・米国内は国民生活が最悪状態です。
ドル札の増刷が3サイクル終了。・・・4サイクル目が・・犯罪です。