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癌とうつの関連性が生物学的に明らかに

2009-05-28 | 癌の経路・因子
 癌とうつとの関連についてシカゴ大学の研究者らが、動物モデルで初の研究結果を発表した。癌の患者がうつになることが多いのは、長い間、専門家の間でもわかっていたが、それが、癌の診断を受けたことに起因するのか、化学療法などの資料によるものなのか不明であった。

チームは、うつに関連した物質を腫瘍が大量に放出し、脳に伝達していることを発見した。研究によると、腫瘍は、感情をつかさどる脳の海馬における遺伝子発現に変化をもたらすという。また、腫瘍がもたらす二つの分子が発見された。一つは、免疫システムにより分泌され、もう一つは、応用軸( stress axis )によって分泌されるこの両物質はうつ症状において見られるが、どちらも癌などの慢性疾患の特徴として長期間枠で、度合いを調査されたことはなかった。研究者らは、癌のマウスを含めた100匹のマウスを対象に、抗うつ剤を投与した。スイミングテストで、癌のマウスは、逃げようとする意欲や、砂糖水を飲む意欲が少ないといった人における抑うつでみられる症状を呈した。さらに研究をしたところ、マウスは、血中および海馬におけるサイトカイン値が増加していた。サイトカインは免疫システムによって産生され、その増加は抑うつと関連がある。また、癌のマウスでは、ストレスホルモンの産生に変化がみられ、ストレスホルモンであるコルチコステロンが産生されなかった。シカゴ大学原文記事

 「タモキシフェン+抗うつ剤(SSRI)で2倍の再発リスク」(記事日本語)へ


3 コメント

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これですな (ちゃしば)
2009-06-01 13:22:52
Peripheral tumors induce depressive-like behaviors and cytokine production and alter hypothalamic-pituitary-adrenal axis regulation.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 May 18. [Epub ahead of print]
Pyter LM, Pineros V, Galang JA, McClintock MK, Prendergast BJ.
Department of Psychology, Institute for Mind and Biology, University of Chicago, 940 East 57th Street, Chicago, IL 60637.

A strong and positive correlation exists between chronic disease and affective disorders, but the biological mechanisms underlying this relationship are not known. Here we show that rats with mammary cancer exhibit depression- and anxiety-like behaviors in the absence of overt sickness behaviors. The production of proinflammatory cytokines, known to induce depressive-like behaviors, was elevated in the periphery and in the hippocampus of rats with tumors compared with controls. In tumor-bearing rats, circulating corticosterone, which inhibits cytokine signaling, was suppressed following a stressor, and gene expression of hippocampal glucocorticoid receptors was elevated. The results establish that tumors alone are sufficient to trigger changes in emotional behaviors. Dampened glucocorticoid responses to stressors may exacerbate the deleterious effects of tumor-induced cytokines on affective states.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19451634


末梢の腫瘍が抑うつ様反応とサイトカイン産生を誘導し、視床下部・下垂体・副腎系の調節を変化させる


慢性疾患と情動障害との間には強い正相関が存在するが、この関係の原因となる生物学的な機序は分かっていない。われわれはここで、乳癌ラットが明らかな疾病行動なく不安様行動をことを示す。抑うつ様反応をもたらすことが知られている炎症性サイトカインの産生が、対照群と比較して腫瘍のあるラットの末梢と海馬で増加した。担癌ラットではサイトカインシグナル伝達系を抑制する血中コルチコステロンがストレス要因により抑制され、海馬の糖質コルチコイド受容体の遺伝子発現が増加した。この結果から腫瘍のみでも情動行動の変化の誘因として十分であることが明らかとなった。ストレス要因に対する糖質コルチコイドの反応が弱まることで感情状態における腫瘍誘発サイトカインの悪影響がさらに悪化する。
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抄録だけだとわけがわからないので (ちゃしば)
2009-06-01 13:26:37
Biological link established between tumors and depression

http://news.uchicago.edu/news.php?asset_id=1620

シカゴ大学のサイトから。。。でもねぇ・・、あんまり詳細には語られていないようです。実験にはのべ100匹のラットを使っているようですが。
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リンクはつけてますよ ()
2009-06-01 13:34:35
>あんまり詳細には語られていないようです。

私もそう思いました。
しかし、それらの物質が関連があることがわかったということが大きいのでしょう。初めて関連性が認められた研究だそうです。

最近、癌の方から、うつになって・・ということを偶然何度か耳にしましたので、お悩みの方もあるのだろうなと思いました。
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