EGFRを阻害する肺癌治療薬タルセバと、抗炎症薬であるCox2阻害剤セレブレックスを組み合わせることによって、タルセバ単独より3倍高い奏効率が得られた。この研究はUCLA Jonsson癌センターで行われたNCIのSPORE(Specialized Program of Research Excellence)プログラムの一環である。
以前のUCLAの研究で、タルセバ抵抗性の細胞とCox-2との関連が示されている。今回の第1相試験では、すべての標準療法に反応しなかった進行肺癌患者にタルセバ1錠とセレブレックス数錠を毎日服用させた。結果、タルセバの奏効率10%に対し、セレブレックスとの併用で33%に増加した。最長奏効期間は93週で、進行肺癌の平均の3~4倍に相当する。有害事象は軽度とされた。
「タルセバは肺癌のおよそ10%に奏効するが、どの患者の腫瘍に奏効するかの生物学的特長がまだ判明していない。90%の腫瘍に奏効しないということは、患者にとってはオプションではない。」と、試験の筆頭執筆者Karen Reckamp氏は述べている。秋にも第2相試験の予定。
UCLA記事原文
【追加記事】2008年2月
タルセバ/セレブレックスの奏効を予測するバイオマーカー
以前のUCLAの研究で、タルセバ抵抗性の細胞とCox-2との関連が示されている。今回の第1相試験では、すべての標準療法に反応しなかった進行肺癌患者にタルセバ1錠とセレブレックス数錠を毎日服用させた。結果、タルセバの奏効率10%に対し、セレブレックスとの併用で33%に増加した。最長奏効期間は93週で、進行肺癌の平均の3~4倍に相当する。有害事象は軽度とされた。
「タルセバは肺癌のおよそ10%に奏効するが、どの患者の腫瘍に奏効するかの生物学的特長がまだ判明していない。90%の腫瘍に奏効しないということは、患者にとってはオプションではない。」と、試験の筆頭執筆者Karen Reckamp氏は述べている。秋にも第2相試験の予定。
UCLA記事原文
【追加記事】2008年2月
タルセバ/セレブレックスの奏効を予測するバイオマーカー
早速PubMedでerlotinib AND COX-2で検索してみましたら,phase Iの試験として抄録が掲載されていました。
Reckamp KL, et al. Clin Cancer Res. 2006 Jun 1;12(11 Pt 1):3381-8.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=Abstract&list_uids=16740761&query_hl=1&itool=pubmed_docsum
COX-2の過剰発現がEGFRチロシンキナーゼの耐性をもたらしているとの基礎研究から併用したようですね。
副作用は皮膚障害が86%で,選択的COX-2阻害薬で問題になる心臓血管毒性は問題にならないと記載されていましたが,この試験は短期間ですので,長期投与の試験では問題になるかも知れませんね。
COX-2とがんとの関係はもう少し勉強しなければと思っています。
ご紹介ありがとうございました。
タルセバは日本でもすでに臨床試験も行われているとのことですが、まだまだわからないことが多いんですね。少しでも早く薬の位置づけが解明できればいいです。
心臓血管毒性がminorとされたのは、短期間であることが貢献していたということですかー
貴重なご意見、ありがとうございました。
この試験はタルセバの投与量を固定し,celeblexの投与量を200mgから800mgに増量した時の第I相試験です。
尿中のプロスタグランジンE-M濃度の最大の低下を至適生物学的濃度optimal biological dose (OBD)としていますので,これが奏効率と関係するのかどうかを第II相試験で確認する必要があるかも知れません。
celeblexなどの選択的COX-2阻害薬は大腸がんのchemoprevenntionの長期投与試験をやらなければあれほど問題にはならなかったかも知れません。
例数も少ないし,投与期間も短いので,心臓血管毒性の結論はもっと先を見なければならないのではと思います。
タルセバへの抵抗性はCox-2発現が原因とすると、非常に納得のいく結論でありますし、1日も早く効果、安全性ともに確認されるといいですね。
ちなみに英語など読めないという方のために抄録訳から追加しておきます。
21人の非小細胞肺癌ステージ3b、4の患者さんのうち部分寛解33%、病勢安定24%ということです。タルセバによる発疹や皮膚トラブルはやはり86%で発症したようです。