クリスマスの季節がやってきました。
我が家にも、きれいなアドベントカードが届きました。
聖なる日12月25日を心待ちにする楽しみを、わたしも味わっています。
そこで、サンタクロースに関する本を探して、葛野浩昭氏著「サンタクロースの大旅行」という本を読んでみました。
リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。
*****
(引用ここから)
「サンタクロースって誰?」と子供に聞かれたら、
「昔々、今から1700年も前に、今のトルコあたりに住んでいたキリスト教のお坊さんで、君たち子ども達の味方として活躍した「聖ニコラウス」という人のことだよ。
この「聖ニコラウス」、つまり「セント・ニコラウス」が、なまって「サンタクロース」という名前になったってわけさ」。
と、ここまでなら答えられる人も少なくないことでしょう。
しかし、「サンタクロース」は、私達の目の前に「サンタクロース」らしい姿で立ち現われてくるまでに、大変な大旅行を潜り抜けてきています。
「サンタクロース」や「クリスマス」の謎を解くには、トルコに住んだとされる「聖ニコラウス」がどのような人物だったのか?、
そしてこの「聖ニコラウス」への信仰を受け入れ、それを変形させたヨーロッパが、いったいどのような文化や歴史をもった土地柄なのかを考えることが、出発点になるでしょう。
聖ニコラウスとブタの不気味な関係
「サンタクロース」と「トナカイ」は、今や、切っても切れない関係にあります。
ところが、古い時代のクリスマスカードを眺めていると、「トナカイ」の登場するカードが意外なほどに少ないことに気が付きます。
そして、トナカイの代わりに活躍するのは、なんとブタなのです。
ヨーロッパの中部・北部が、あたり一面うっそうとした森に覆われていた17世紀頃まで、人々はブタを、村を取り囲む森の中に放し飼いにしていました。
ブタは、秋の間にドングリを食べて肥え太りますから、人々は初冬を待って、ブタを捕らえて、料理して食べました。
そして、「サンタクロース」のモデルでもある「聖ニコラウス」を祝う12月6日=「聖ニコラウスの日」は、そのブタを屠畜して食べる季節の始まりに当たっていたのです。
ブタは、料理されて食べられることで、聖なる供物へと変身します。
ブタは、それ自体が豊かな森の恵みの象徴でしたし、またドングリ=穀物の霊が宿っているとも考えられたからです。
ヨーロッパ中部・北部の人々は、「冬の神」としても恐れていた「ヴォータン」(北欧神話の「オーディン」)や、豊穣の神「フレイ」(オーディンの孫)へとブタを捧げ、そのことで翌年の穀物の豊作を祈ってきたのです。
このように「聖ニコラウス」信仰の裏側には、異郷の神たちへの民俗信仰がありました。
「聖人ニコラウス」は、かつてミュラと呼ばれたギリシア人の町(現在のトルコのデムレ)の司教を務め、西暦271年~342年12月6日まで生きていた、と伝えられます。
死後、その遺体はミュラに葬られましたが、トルコ人によって破壊され、1087年になって、遺骨は南イタリアのバーリへと運ばれて、「聖ニコラウス教会」に納められていると伝えられます。
聖人としての「聖ニコラウス」の姿を知るための公式資料は、13世紀のドミニコ会士でありジェノバ市の大司教も務めた人が集成した、「黄金伝説」という聖人伝説集です。
聖職者がミサや修道院の食事の際に、その日が記念日である聖人や殉教者を模範とするために、その生涯を朗読したものです。
そのため、中世においては聖書以上のベストセラーでした。
この中に「聖ニコラウス」に肩を並べる者、あるいはそれ以上に紙数を割いて紹介されている者は、聖ペテロ、聖パウロなどの7使徒や大天使ミカエルなど、極めて有名な24人のみです。
また「聖ニコラウス」に捧げられた教会、すなわち「聖ニコラウス教会」の数は、2000にも及ぶと言われます。
「聖ニコラウス」は、抜群の民衆的人気を博した聖人ですが、特に船乗り、パン職人、仕立て屋、織工、肉屋、公証人、弁護士、学生、乙女・子どもの守護聖人として有名でした。
(引用ここまで)
*****
主婦であるわたしは、クリスマスというと、何の料理を作ろうか、と思わず考えるのですが、たしかに、肉料理がメインなのは間違いないですよね。
心の中には、クリスマスと大晦日とお正月がごちゃごちゃに連続していて、主婦は料理の食材を集めることとメニューのことで頭がいっぱいになるのです。
ローストチキン、ローストビーフ、ローストポーク、、なにをメインディッシュにするか、心弾むひと時です。
「クリスマスと言えばブタ」と聞いたからには、今年はローストポークにしてみましょうか?。。
新聞の夕刊を開くと、トナカイが絶滅の危機にあるという記事がありました。
これも気がかりな出来事です。
・・・
「温暖化の影響、サンタにも? トナカイが絶滅危惧種に」
朝日新聞 2016・12・19
地球温暖化の影響が、サンタクロースのそりの引き手にも忍び寄っている。
気温上昇で北極圏のトナカイがエサを取れずに餓死したり、やせ細ったりしているという論文が相次いで報告された。
「国際自然保護連合」(本部・スイス)も温暖化でトナカイの生息数が減っているとして、新たに絶滅危惧種に分類した。
英国やノルウェーの研究チームは今月英国で開かれた学会で、北極圏のトナカイの体重が1994年から2010年までに12%減ったと発表した。
研究者は温暖化の影響の可能性があると指摘する。
北極圏で気温が上昇して雪が雨に変わると、冬場に草地が氷で覆われてエサが取りにくくなるからだという。
フィンランドやオーストリアなどの研究チームも11月、やはり気温上昇の影響で、トナカイが餓死の危機に陥っているとする論文を英専門誌「バイオロジー・レターズ」電子版に発表した。
2013~14年にロシアのヤマル半島では約6万頭が死んだという。
IUCNは今年公表した「レッドリスト」でトナカイを初めて絶滅危惧種に分類。
絶滅の恐れはない「軽度懸念」から、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧2類」に引き上げた。
約21~27年間で個体数が40%減少したと推定している。
・・・・・
ブログ内関連記事
「古代キリスト教」カテゴリー全般