「生活苦、ヤギ盗み食べた・・ベトナム人実習生、岐阜で公判
借金して来日、毎日20時間勤務、逃走」
朝日新聞2015・02・21
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岐阜県美濃加茂市で昨年8月に、除草用に飼われていたヤギを盗み、食べたとして、来日していたベトナム人の技能実習生が窃盗罪に問われる事件があった。
岐阜地裁で開かれた公判で、被告の男たちは日本での過酷な生活について供述した。
なぜここまで追い詰められたのか?
起訴状によると、いずれもベトナム国籍の両被告は、仲間5人と共謀し、昨年8月、美濃加茂市の公園でヤギ2頭を盗んだとされる。
除草効果を研究するため岐阜大学教授が市などと協力して飼っていた16頭の「ヤギさん除草隊」の内の2頭だった。
法廷での供述などによると、被告Aは来日前ベトナムの田舎町でタクシーの運転手をしていた。
両親と妻、娘の家族5人くらしで、月給は日本円で16000円ほど。
暮らしは貧しかったという。
日本で働けば月給20万円から30万円。一日8時間労働、週5日勤務で土日は休み。
こんな話を仲介会社から聞き、思いつかないほどすばらしいと飛び付き、来日を決めた。
仲介会社には、自宅と土地を担保にして銀行から借金した約150万円を支払い、2013年3月に農業の技能実習生として来日した。
長野県の農業会社でトマトを育てる仕事についたが、勤務状況は聞かされていたものとはかけ離れていた。
毎日午前6時から夜中の2時まで働き、休みはない。
午後5時までは時給750円。
以降は1袋1円の、出来高払いで、トマトの袋詰めをした。
1000袋詰めたこともあったという。
あてがわれた寮は、農機具の保管場所。
シャワーはあったが、トイレはなく、電源盤の下の約2平方メートルで寝ていた。
家賃として月額2万円が給料から天引きされ、手元には6万円程度しか残らなかった。
それでも可能な限りの3、4万円を母国に仕送りし続けた。
寮と職場を往復するだけの日々。
7か月間我慢したが、疲れてしまい、逃げ出した。
愛知県日進市の土木会社で、仕事を見つけた。
しかし在留期限が切れた14年3月に解雇され、無職になった。
借金を残したままベトナムに戻れば、担保にしている自宅などが奪われてしまう。
家族にも打ち明けられず、スーパーで弁当などの万引きを繰り返した。
同7月頃からはB被告と同県春日井市のアパートで一緒に暮らすようになった。
B被告も無職。
約200万円の借金をして、短期大学に通うために来日したが、学費が払えずに退学していた。
8月上旬、ベトナム人の仲間約20人で誕生日パーティーを開いた際、ヤギを盗む計画が持ち上がった。
居合わせた7人が、車で公園に向かった。
A被告が運転し、B被告が実行役で2頭のヤギを捕まえて、首輪をはずし、粘着テープで口や足をしばった。
ベトナムでは、ヤギは鍋ものなどの庶民の味で、すぐに解体して食べたという。
2人は別の窃盗事件と出入国管理法及び難民認定法違反の罪に問われている。
検察側は今月12日、懲役2年を求刑。
弁護側は最終弁論で、執行猶予付きの判決を求めた。
判決は27日に言い渡される。
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岐阜県美濃加茂市で昨年8月、除草用に飼われていたヤギを盗んで食べたとして、窃盗罪に問われた
ベトナム国籍の無職ブイ・バン・ビ被告(22)と、同レ・テ・ロック被告(30)=いずれも愛知県春日井市=の判決公判が27日、岐阜地裁であった。
四宮知彦裁判官は「安易で身勝手な動機で責任は重いが反省し、更生の意欲を示している」と述べ、2人に懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。
http://www.asahi.com/articles/ASH2W344FH2WOHGB001.html
2015・02・27朝日デジタル
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