10年ほど前、東京のある劇場で
中国の古典「京劇」を鑑賞したことがある
演目は忘れてしまったが
おそらく「孫悟空」か何かだったと思う
中国の歌舞伎ともいえる「京劇」は
かの国の重要な文化といえる
今なお、国民から愛されるエンタメなのだ
しかし残念ながら
僕には、その“文化”の鑑賞が苦痛だった
理由は演目などにあるのではない
その、凄まじい音量にある
音楽やドラ、そして演者の歌声のボリームは
耳がジンジンと痛むほど凄まじいものだった
劇場を出た後、しばらく耳鳴りが止まらなかった
数年後、某雑誌に中国文化に造詣の深い
ある学者の話が載っていたのを読んだ
内容は「京劇の素晴らしさ」である
記事には、京劇の歴史や成り立ち
優れた演者の紹介などがあった
そして最後に、日本での公演は
会場など、よくよく吟味しないと
失敗に終わるだろう…との記載があった
彼自身、日本の劇場で鑑賞した時
凄まじい音量に閉口したというのだ
本来、「京劇」は野外で行うもの
密閉した空間で行うのには適さないという
どうりで、耳鳴りがするはずだ
初めから言って欲しかった
僕が鑑賞した会場にいた観客が
僕と同じく、「京劇」を素直に素晴らしいと
感じ得なかったとしたら
主催者の責任は重い
この、常軌を逸した大音量
日本のラップやロックなどのコンサートにもいえる
どうして こんなに大音量にする必要があるのか
僕は以前から疑問に思っていた
後日…
ジャズピアニストの佐藤允彦氏が書いた一文に触れ
僕の疑問は解消した
佐藤氏によると
音楽家の職業病ともいえるらしいが
ヘッドホンの大音量で音を聴いているうち
多くの音楽家が「難聴」になってしまうらしい
彼曰く「文字通り、耳にタコが出来て」
音に鈍感になってしまう、というのだ
さらに、ステージでは、
自分の演奏に“酔う”より深い刺激を求めるために
400W4連装のスピーカーにし
他のプレーヤーの演奏を聴くための
サンウンド・ジステムも凄い音量となる
こうして“悪の連鎖”ならぬ
“大音量の連鎖”が
コンサートでの大音量になる…らしい
音楽家が“音”に鈍感とは
笑えないジョークだが…
←ま、気が向けば押して…
商売道具 お大事に…
難聴があたりまえ・・・という傾向はあると思います。
私は、朝のテレビの音量と夜の音量に差がでないように(耳が疲れて夜は朝と同じつもりでも大きな音量になってしまっているのが普通)気をつけています。
耳の中のセンサーが寝ている間に復旧するそうで、朝はとりわけ敏感なのだそうです。
そのセンサーが寝ている間に復旧しきれないとどんどん難聴になっていくわけで・・・耳が商売ですから、これは気をつけないとね、ほんとに・・・。