「へンくつ日記」

日常や社会全般の時事。
そして個人的思考のアレコレを
笑える話に…なるべく

ダチョウ倶楽部をやらんのかいっ!

2019年05月19日 14時59分25秒 | Weblog
それは、北区東十条のとあるラーメン店でのこと
券売機の前で何を食べようか迷っていたが
フッと見ると、返却口から数千円が出ている
とっさに「どなたかお釣りを忘れてますよ」と
店内を振り返り声を発すると、なんと3人の
男が「あ、俺だ。(僕だ)」と手を挙げた
なんで3人なんだと訝しく思ったが、同時に
私の芸人魂(素人やろが!)が頭をもたげた
そして、「じゃあ、僕も」と手を挙げた
台本通りなら、3人の男は「どうぞ、どうぞ」と
私に数千円を譲るところなのだが、実際は
笑いも起こらず、近くのカウンターに座っていた
中年の男が「忘れた、忘れた」と券売機に近づき
飛び出た札を引き抜いて元の場所に戻り
再びラーメンをすすりだしたのだ

「ダチョウ倶楽部をやらんのかいっ!」と
心の中でツッコんでみたが、誰もが無視
私は挙げた手を気まずく下ろし、再び券売機と
向かい合った
券を買い、カウンターの隅に腰を下ろしたとき
少し離れた席に座っていた三十代位の男性が
「あれ?」と声を上げた
「オッチャン、俺より前に買ってたやないか
それは俺の金や!細かいのがないから1万円
入れたのに、見ろ。財布に千円札が入ってない」

私は、札を引き抜いたオッチャンの顔を見た
オッチャンは明らかに動揺し
「え、そうでした? あれ~、そうでした?」
「返してや!」三十代の男性は金を取り戻して
再び、何事もなかったようにラーメンをすすりだした 
オッチャンは慌てたようにラーメンをたいらげ
すぐさま店から出て行った

浅ましい人間もいるものだ…そう思いながら
ラーメンを待っていると、金を取り戻した男性が
私の後ろに立ち「ありがとさんです。助かりました」
「これでビールでも呑んでください」と千円札を出した   
私は「いやいや、そんなの受け取ったら、私の善根が
台無しになってしまう。しまってください」と押し戻した
「そう言わんと。気持ちだから」
「本当、しまってください。当たり前のことを
しただけだし、それで金を受け取ったら、さっきの
オッチャンと同次元になってしまう」
困ったように笑う男性に私は
「では、また、会う機会があれば」
と背中を押した

運ばれてきたラーメンをすすりながら思ったのは
浅ましいオッチャンのことでも、金を渡そうとした
デタラメな関西弁を話す男性のことでもなく、あの時、
ダチョウ倶楽部の芸を皆が咄嗟にやってくれれば、
楽しいエピソードになったのに、ということだった
いまからでも遅くない。あのオッチャンたちが
戻ってきて、皆で「ヤーッ!」とやってくれれば
このエピソードは完結するのだが…




 
コメント
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